近年、国内外のウイスキーコンペティションで数々の受賞を果たす「アマハガン」。
2018年にリリースされたばかりの新しいウイスキーですが、2020年のWWA(World Whiskies Awards)という世界的なコンペティションでの受賞をきっかけに、その名が世界に知れ渡るようになりました。
今回の記事では、世界で注目されるウイスキー「アマハガン」の魅力を、以下の内容を主軸に解説していきます。
- 「アマハガン」の特徴や蒸留所について
- 主要なラインナップ紹介
>>「アマハガン(AMAHAGAN)」の主要ラインナップをすぐに見たい方はコチラ - おすすめの飲み方
「アマハガン(AMAHAGAN)」とは?

「アマハガン」は、滋賀県のびわ湖北部にある長濱蒸溜所で造られるブレンデッドモルトウイスキーのシリーズです。
ちなみに、「AMAHAGAN」を逆から読むと「NAGAHAMA(長濱)」となります。
ブレンデッドモルトとは?
複数の蒸留所で造られるモルトウイスキー原酒をブレンド(ヴァッティング)したウイスキーで、日本ではピュアモルトウイスキーと呼ぶこともある。
一部海外産の原酒を使用しているため、2021年に日本洋酒酒造組合が発表した「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」内の"ジャパニーズウイスキーの定義"に当てはまっておらず、厳密にいえば「ジャパニーズウイスキー」ではありませんが、味の質は確かです。
シリーズを通して度数が「47%」と高めで、モルト原酒の風味をしっかりと感じられます。
「アマハガン(AMAHAGAN)」を造る長濱蒸溜所について
「アマハガン」を造る長濱蒸溜所は、2016年11月に稼働を開始した、日本最小クラスの蒸留所です。
「100年後にも世界中のウイスキーファンに喜んでもらいたい」という強い思いを持ち、ウイスキー造りを続けています。
蒸留器は、小型でひょうたんのような形をした、アランビック型のポットスチル(単式蒸留器)を使用。
珍しい蒸留器を使うことで、他では味わえない独自の風味が生まれます。
クラフトビールの醸造所から始まった会社
長濱蒸溜所を保有する「長浜浪漫ビール株式会社」は、クラフトビールの醸造から始まった会社です。
1996年から稼働を開始し、近畿で3番目となるクラフトビール「長濱浪漫ビール」を造り上げました。
今でこそ地元に愛されるクラフトビール会社に成長しましたが、立ち上げ当時は醸造の熟練者がおらず、失敗ばかりだったそうです。
20年以上ビール造りを続けて培った経験は、ビール造りのみならず、ウイスキー造りにも活かされています。
「アマハガン(AMAHAGAN)」の主要ラインナップ

ブレンデッドモルトシリーズである「アマハガン」の中でも、5つの主要なラインナップをご紹介します。
- アマハガン エディションNo.1
- アマハガン エディションNo.2 レッドワインウッドフィニッシュ
- アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュ
- アマハガン エディション 山桜
- アマハガン ワールドモルト エディション ピーテッド
限定商品は今回ご紹介していませんが、「アマハガン」とアニメ・マンガ・映画がコラボレーションをした商品も度々リリースされています。
なかにはシリーズ化している商品も。
別記事で、映画『シン・仮面ライダー』との共同企画ウイスキー「シン・アマハガン」や、東映アニメーションとの共同企画ウイスキー「聖闘士星矢 ゴールドセイント ウイスキーシリーズ」についてもご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
アマハガン エディションNo.1

内容量 | 700mL |
度数 | 47% |
定価 | 6,050円(税込) |
受賞歴 | WWA 2020(World Whiskies Awards):銅賞TWSC 2022(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション):金賞 |
「アマハガン」の記念すべきリリース第一弾となるのが、「アマハガン エディションNo.1」です。
ウイスキーの製造において、最も重要な工程である"ブレンド"に焦点を当てて造られました。
バニラやモルトの甘さ、シトラスの爽やかさと酸味、樽由来のビターさ、スパイシーな余韻が感じられます。
若干のアルコール刺激がありますが、風味のバランスは良く、さっぱりとした爽やかな味わいです。
アマハガン エディションNo.2 レッドワインウッドフィニッシュ

内容量 | 700mL |
度数 | 47% |
定価 | 6,600円(税込) |
受賞歴 | WWA 2020:金賞 |
「アマハガン エディションNo.2 レッドワインウッドフィニッシュ」は、「アマハガン エディションNo.1」をベースに、赤ワイン樽で後熟して造られたウイスキーです。
赤ワイン樽由来の風味がしっかりと感じられ、キャラメル・レーズン・モルトの甘さ、ベリーのようなフルーティーさ、タンニンのようなビターさを楽しめます。
クセがなく、甘さとフルーティーさが強いため、飲みやすいウイスキーが好きな人におすすめです。
アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュ

内容量 | 700mL |
度数 | 47% |
定価 | 8,250円(税込) |
受賞歴 | WWA 2020:ベストジャパニーズブレンデッドモルトIWSC 2022(International Wine & Spirit Competition):銀賞TWSC 2022:銀賞 |
「アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュ」は、「アマハガン エディションNo.1」をベースに、日本原産の希少なミズナラ樽で後熟したウイスキーです。
ミズナラ樽由来の、香木を想起させるオリエンタルな風味がし、キャラメルやモルトの甘さ、シトラスやリンゴのフルーティーさ、ほのかなスパイシーさとビターさが感じられます。
ミズナラ樽の特徴をよりしっかりと感じるためにも、ベースとなる「アマハガン エディションNo.1」と飲み比べるのも面白いでしょう。

アマハガン エディション 山桜

内容量 | 700mL |
度数 | 47% |
定価 | 7,150円(税込) |
受賞歴 | WWA 2022:ベストインターナショナルブレンデッドモルトIWSC 2022:銀賞TWSC 2022:金賞 |
「アマハガン エディション 山桜」は、「アマハガン エディションNo.1」をベースに、山桜で作られた樽を使って後熟したウイスキーです。
「和」を感じさせる風味が特徴で、桜餅のような甘さとフローラルさ、シトラスやプラムのような酸味とフルーティーさ、樽による優しいビターさが楽しめます。
桜樽を使ったウイスキーは他にもありますが、限定リリースの銘柄ばかりでした。
定番モデルとして桜樽のウイスキーが楽しめるようになったのは、ウイスキー好きにとって非常に嬉しいことではないでしょうか。

アマハガン ワールドモルト エディション ピーテッド

内容量 | 700mL |
度数 | 47% |
定価 | 6,600円(税込) |
受賞歴 | WWA 2022:銀賞 |
「アマハガン ワールドモルト エディション ピーテッド」は、ピートを焚いて発芽させた大麦麦芽を原料に作られるピートタイプのウイスキーです。
以下の3種類の原酒をバランスよくブレンドし、その一部をバーボン樽で追加熟成することで、複雑な味わいを生み出しています。
- 長濱蒸溜所のモルト原酒
- 海外産のピーテッドモルト原酒
- 海外産のノンピートモルト原酒
ピーテッドモルト由来のしっかりとしたスモーキーさと薬品香を感じ、モルトやハチミツの甘さ、リンゴやシトラスのフルーティーさ、ビターでスパイシーな余韻が楽しめます。
同じくピートの効いた、スコッチのアイラモルトとの飲み比べも面白いでしょう。

長濱蒸溜所が造る「アマハガン(AMAHAGAN)」以外の銘柄

今回ご紹介した「アマハガン」以外にも、長濱蒸溜所はさまざまな銘柄をリリースしています。
その中でも、今回はシリーズとして複数本発売した銘柄を取り上げました。
- シングルモルト長濱
- 長濱ニューメイク
- ビート エモーション(BEAT EMOTION)
- サンバースト(SUNBURST)
- ヤズーカ(YAZŪKA)
- イナズマ INAZUMA
シングルモルト長濱

「シングルモルト長濱」は、「アマハガン」で培ったブレンド技術をもとに、自社のモルト原酒だけを使って造られる、シングルモルトウイスキーのシリーズ商品です。
日本洋酒酒造組合の定める「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」に合致しているため、"ジャパニーズウイスキー"と表記できます。
海外市場向けに造られた銘柄も多数あり、すでに40種類以上の銘柄をリリースしていますが、どれも販売本数に限定を設けたリリースでした。
しかし、ほぼすべての商品がカスクストレングスで瓶詰めされているため、販売本数に限りがあるのも納得です。
カスクストレングスとは?
樽から出した原酒に加水をせず、高いアルコール度数のまま瓶詰めしたウイスキーのことで、アルコール度数は55~60%程度のものが多い。
2023年5月16日には、シングルモルト第2弾「シングルモルト長濱 THE SECOND BATCH」が発売予定です。
また、2023年4月1日の「ジャパニーズウイスキーの日」の開催に合わせ、ウイスキー文化研究所との共同企画で造られた「長濱 2018 4年 ボルドー ソーテルヌカスク」について以下の記事でご紹介しています。併せてご覧ください。

長濱ニューメイク

「長濱ニューメイク」は、蒸溜したてのスピリッツ(蒸溜酒)で、モルトウイスキーの原型「ニューメイク(ニューポット)」です。
樽熟成はされていないため、ウイスキーではありません。
原料であるモルトの甘味や風味がしっかりと感じられ、高いアルコール度数から生まれる力強い味わいが楽しめます。
ノンピートタイプと、ライト・ミディアム・ヘビーと3種類のピーテッドタイプ、合わせて4種類のニューメイクがリリースされました。
ビート エモーション(BEAT EMOTION)

「ビートエモーション」は、世界的なギタリスト・布袋寅泰氏との共作で生まれたウイスキーです。
商品名は、1980年代に活躍した大人気バンド「BOØWY」のアルバムタイトルであり、ソロ活動開始後、初のチャート1位を獲得したシングルタイトルでもある「BEAT EMOTION」に由来します。
2023年4月26日が発売日で、「長濱ロマンビール ONLINE SHOP」などのサイトでも購入可能です。
発売日と同日の2023年4月26日から6日間、期間限定のポップアップバー「Bar BEAT EMOTION」が、表参道の「ZeroBase表参道」で展開されます。
以下の記事で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。

サンバースト(SUNBURST)

世界的なロックバンド「LOUDNESS」が、2022年に活動40周年となったことを記念し、同バンドのギタリスト・高崎晃氏との共作で生まれたウイスキーです。
商品名は、40周年を象徴するオリジナルアルバム『SUNBURST~我武者羅~』 に由来します。
販売本数5,000本の限定商品ですが、2023年4月現在でもまだ在庫がありますので、気になる方は早めの購入を検討しましょう。



ヤズーカ(YAZŪKA)

「ヤズーカ」は、日本の大人気ロックバンド「THE YELLOW MONKEY」のボーカル・ギターを務め、ソロ活動もするロックミュージシャン・吉井和哉氏との共作で生まれたウイスキーです。
「Father」と「BEAUTIFUL」という商品名は、それぞれ「THE YELLOW MONKEY」のアルバム内に収録されているタイトル「Father」、「吉井和哉」名義での1stシングルタイトル「BEAUTIFUL」に由来しています。
2021年に発売された商品のため、すでに公式サイトでは売り切れていますが、ネットには少量ですがまだ在庫がありますので、気になる方は早めの購入を検討しましょう。


イナズマ INAZUMA

「イナズマ」は、日本にある他の蒸留所とのコラボレーションにより造られるウイスキーです。
コラボレーションする蒸留所と、互いのモルト原酒を交換して造られるのが特徴で、現在までに3回のリリースがあります。
- 「イナズマ シナジーブレンド」「イナズマ エクストラ セレクテッド」
長濱蒸溜所 × 三郎丸蒸留所(富山) - 「イナズマ エクストラセレクテッド エディションNo.2」
長濱蒸溜所 × 江井ヶ嶋蒸留所(兵庫県) - 「イナズマ シナジーブレンド エディションNo.3」「イナズマ エクストラセレクテッド エディションNo.3」
長濱蒸溜所 × 三郎丸蒸留所 × 江井ヶ嶋蒸留所
シリーズ名となる「イナズマ」は、長濱蒸溜所がある滋賀県の「滋」という字の一部が、稲妻に見えることに由来しています。
今後、新しく「イナズマ エディションNo.4」が発売される可能性もありそうですね。




「アマハガン(AMAHAGAN)」のおすすめの飲み方

「アマハガン」は、エディションごとに樽や原料を変えるなど、さまざまな試みで造られています。
そのため、まずは銘柄ごとの特徴が感じられるストレート、もしくはトワイスアップで飲むのがおすすめです。
しかし「アマハガン」は熟成年数が若く、筆者がストレートで飲んだときにはアルコール刺激を強く感じたため、ピリピリした感じが苦手な人は、ロックから飲み始めてみるのもよいでしょう。
シリーズ全体を通して、落ち着いたニュアンスの味わいというよりも、明るいニュアンスの味わいが感じられ、ソーダ割りで飲んでもさっぱりとしておすすめです。
ブレンドにフォーカスして造られたというだけあり、水割りにしてもエグみや渋味が出ませんでした。
どのような飲み方をしても良いような、自由で気軽に飲めるウイスキーではないかと思います。
「アマハガン」と検索すると「まずい」と出てくる理由

ネットで「アマハガン」と検索すると、なぜか「アマハガン まずい」というワードが検索候補に出てきます。
なぜ候補に出てくるのか、考えられる理由を以下にまとめました。
- 2016年に稼働した新しい蒸留所で、どんな味なのか気になり、「まずいかどうか」を調べるために「まずい」と検索する
- 熟成年数の浅い原酒を使っているため、アルコールのピリピリした刺激が「まずい」と感じ、他にも同じ感想を持っている人がいないか探すため、「まずい」と検索する
「まずい」と検索する人が多いと、よく検索されるワードとして「アマハガン まずい」という検索候補がGoogleに登録されてしまいます。
実際は「まずい」なんてことは決してなく、むしろ新しい蒸留所なのにすでに質の高いウイスキーが生み出されており、今後のリリースも楽しみで仕方ありません。
最後に
今回は、滋賀県にある長濱蒸溜所がリリースする、ブレンデッドウイスキーシリーズの「アマハガン」について解説しました。
シリーズの定番商品となる5つの銘柄は、国内外のウイスキーコンペティションで数々の受賞歴を誇り、2016年に稼働し始めたとは思えない質の高さです。
蒸留所が目指す味わい・製法がしっかりと感じられるウイスキーなので、まだ飲んだことのない人は、ぜひ一度飲んでみてはいかがでしょうか。