世界の万国博覧会で5つの金賞を受賞し、世界や日本国内においてもその飲みやすさから愛好家が多い「I.W.ハーパー」。
入門用のバーボンとしても楽しめるアメリカンウイスキーのひとつです。今回は「I.W.ハーパー」についてユニークな歴史や種類、おすすめの飲み方を紹介します。
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「I.W.ハーパー」とは?
アメリカのポピュラーなウイスキーはバーボンといわれています。
「I.W.ハーパー」は、日本で最も親しまれているバーボンのひとつで、三浦翔平さんのCMでもおなじみですね。
名前の由来や、メーカーのポリシーを感じられるインタビューをご紹介します。
「I.W.ハーパー」の名前の由来
「I.W.ハーパー」は、ドイツからの移民であるアイザック・ヴォルフ・バーンハイムによって生み出されました。
アイザック・ヴォルフ・バーンハイムは、現在のヘブンヒル・バーンハイム蒸留所の前身であるバーンハイム蒸留所を建設。
品質にこだわったウイスキー造りを行いました。
出来上がったウイスキーに、自身のイニシャル「I.W.」と、無二の親友であるフランク・ハーパーの名を付けたことが、「I.W.ハーパー」の由来です。
「I.W.ハーパー」×有名人のインタビューも
「I.W.ハーパー」の公式サイトでは、「I'M HARPER. 〜自己満足に、生きる。〜」というブランドメッセージをテーマに、それぞれの分野に情熱を注ぐ著名人のインタビューが紹介されています。
モデルや写真家、プロサーファーなど多方面で活躍する人のストーリーは、とても刺激になるでしょう。
それぞれの「I.W.ハーパー」の好きな飲み方なども紹介されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
「I.W.ハーパー」の歴史
「I.W.ハーパー」には、品質の良いバーボン造りを目指してきた歴史があります。
バーボンのイメージを変える画期的な戦略など、注目すべき歴史について見てみましょう。
はじまりは移民兄弟から
「I.W.ハーパー」の創業者アイザック・ヴォルフ・バーンハイムは、ドイツのシュミーハイムに生まれました。
13歳から商社で見習いとして働いた後、19歳でアメリカへ。
叔父を頼って移り住んだケンタッキー州でバーボンに出会います。
バーボンに惚れ込んだアイザックは、弟のバーナードをドイツから呼び寄せ、2人で「バーンハイム商会」を創業しました。
当時、質の悪いバーボンウイスキーが流通していると感じた2人は、高品質のウイスキーを目指して、アメリカ中東部のケンタッキー州ルイヴィル地区にバーンハイム蒸留所を設立。
1877年には、現在の「I.W.ハーパー」の原型となる商品の販売を開始しました。
1888年にケンタッキー州ルイヴィルに本社を移転し、以降蒸留から販売まで一貫した経営を行っています。
博覧会での金賞をきっかけに世界的に認められる
「I.W.ハーパー」が世界的に注目されるようになったきっかけは、1885年にルイジアナ州ニューオーリンズで開催された万国博覧会で金賞を受賞したことです。
その後も、シカゴ万博(1893年)、パリ万博(1900年)、セントルイス万博(1904年)、サンフランシスコ万博(1915年)にて金賞を受賞。
万博での金賞受賞をきっかけに、ラベルに5つの金メダルがあしらわれた「I.W.ハーパー ゴールドメダル」が誕生したのです。
禁酒法時代を生き抜いた蒸留所
1920年代、アメリカでは禁酒法が施行され、多くのウイスキー蒸留所が閉鎖に追い込まれました。
しかし、バーンハイム蒸留所は国から特別な許可を受け、医薬品として「I.W.ハーパー」を販売し続けられたのです。
禁酒法が解かれた後、熟成年数の短いバーボンが売り出される中、「I.W.ハーパー」は5年熟成にこだわり、ますます人気が高まりました。
シルクハットの紳士でおしゃれなイメージを磨き上げる
「I.W.ハーパー」が人気となった理由は品質だけでなく、おしゃれなイメージにもあります。
初期の広告に登場しているシルクハットの紳士は、「I.W.ハーパー」に都会的な印象を与え、他のバーボンとは一線を画す「粋なバーボン」となりました。
ギフト用ボトルで贈答品としても注目
1949年から販売されたギフト用のクリスタルボトルは、「I.W.ハーパー」の上質で洗練されたイメージをさらに押し上げました。
毎年新しいデザインのボトルがリリースされ、ギフトボトルのコレクターがいるほど人気を集めています。
「I.W.ハーパー」の新たな挑戦
1961年には、「I.W.ハーパー 12年」を発表。
バーボンの熟成期間は10年に満たない短い期間が一般的ですが、「I.W.ハーパー 12年」は12年もの長期熟成に成功した最初のバーボンといわれています。
現在も新たな挑戦を続けている「I.W.ハーパー」。
2022年には、カベルネ・ソーヴィニヨンの樽を使ったカスクリザーブを発表しました。
ウイスキーとカベルネ・ソーヴィニヨンの組み合わせで、バランスの良い味わいに仕上がっています。
「I.W.ハーパー」の製法
庶民的なイメージのバーボンを、洗練されたイメージに変えた「I.W.ハーパー」は、その品質にも定評があります。
世界で人気を集める味わいを生み出す製法について見ていきましょう。
原酒を造るヘブンヒル・バーンハイム蒸留所
現在の「I.W.ハーパー」の原酒を製造しているのは、ケンタッキー州ルイヴィルにあるヘブンヒル・バーンハイム蒸留所です。
家族経営の蒸留所としては世界最大の規模を誇ります。
ヘブンヒル・バーンハイム蒸留所は元々、ケンタッキー州バーズタウンでシャピラ兄弟により設立されました。
しかし、蒸留施設が落雷によって炎上し、生産休止に追い込まれます。
1999年にルイヴィルのバーンハイム蒸留所を買収し、生産を再開させました。
現在も創業当時の伝統的な製法を守り、1日に1,300樽ものウイスキーを生産する大規模な蒸留所です。
トウモロコシの比率が高いバーボン
バーボンは、アメリカの連邦アルコール法により「原料の51%がトウモロコシ」と定められています。
しかし、「I.W.ハーパー」の製造に使われるトウモロコシは規定の割合を上回る量。
トウモロコシの比率の高さが「I.W.ハーパー」の滑らかな舌触りとコク、甘みを生み出しているのです。
レンガ造りの熟成庫
「I.W.ハーパー」の熟成は1881年以降、レンガ造りの倉庫で行われていて、年間を通して一定の気温で熟成されます。
12年もの長期熟成が成功したのも、レンガ造り倉庫のおかげといえます。
「I.W.ハーパー」の種類を紹介
こだわりの原料や製法で造られる「I.W.ハーパー」には、個性豊かな銘柄が揃っています。詳しく見てみましょう。
「I.W.ハーパー ゴールドメダル」

アルコール度数:40%
I.W.ハーパー ゴールドメダル | 700mL 2,200円程度 |
200mL 900円程度 |
フラッグシップボトルである「ゴールドメダル」には、700mLと200mLの2種類のボトルがあります。
700mLのボトルは2,300円前後で販売されているようです。
200mLの価格推移を見ると、2年ほど前は1,500円程度の販売額でしたが、ここ1年は900〜1,200円程度の価格が多くなっています。
前述の通り、「ゴールドメダル」は1885年にニューオーリンズの万国博覧会で金賞を受賞したことをきっかけに、世界の5つの博覧会で次々に金賞を受賞しました。
- 1885年 ニューオリンズ万博
- 1893年 シカゴ万博
- 1900年 パリ万博
- 1904年 セントルイス万博
- 1915年 サンフランシスコ万博
上記のように金賞を受賞したことで「ゴールドメダル」の名称がつき、ラベルには5種類のメダルが描かれています。
見た目、味わい共に洗練されたスタイリッシュさが特徴です。
バニラの高い香りと、トウモロコシのほのかな甘みが感じられます。
軽やかな口当たりで、アルコールの刺激と酸味が味わえるバーボンです。

「I.W.ハーパー 12年」 →2022年終売

アルコール度数:43%
I.W.ハーパー 12年 | 750mL 5,000円程度 |
四角の瓶にひし形のデザインが彫られているのが特徴的な「I.W.ハーパー 12年」。
750mLボトルのみの販売となっており、6,000円程度の販売価格でしたが、2022年5月頃から価格が上昇しています。
現在は11,000〜15,000円程の価格で販売されています。
通常バーボンは4〜6年くらい熟成させるのが最良とされてきました。
しかし、 「I.W.ハーパー 12年」 は世界で初めての12年という長期間熟成されており、プレミアムバーボンの開拓者的存在です。
ケンタッキー州の夏は30℃以上、冬は零下になる環境下で、長期間熟成を管理する高度な技術が生み出されました。
この技術も、「I.W.ハーパー」の功績といえるでしょう。
味わいはマイルドで、コーン比率の高さから甘みを感じられる逸品です。
なお、「I.W.ハーパー 12年」は2022年に終売となりました。

その他の「I.W.ハーパー」
日本国外で販売されている「I.W.ハーパー」もあります。
2022年に発売されたばかりの「I.W.ハーパー カベルネカスクリザーブ」や、15年もの長期熟成を行った「ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー 15年」など、気になる銘柄ばかりです。
海外や空港などで見かけたら、試してみたいですね。
- 「I.W.ハーパー ケンタッキー ストレート バーボンウイスキー」
- 「I.W.ハーパー カベルネカスクリザーブ」
- 「I.W.ハーパー ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー 15 年」
「I.W.ハーパー」シリーズおすすめの飲み方4選
「I.W.ハーパー」の飲み方といえば「ハーパーソーダ」が有名で、バーや居酒屋でも楽しめます。
もちろん、他の飲み方もおすすめです。
いろいろな飲み方を試して、お気に入りを見つけてみてください。
ロック
氷を入れたグラスに「I.W.ハーパー」を注ぎ、ステアしたらロックスタイルの完成です。
甘い香りと柔らかい口当たり、少しシャープになった甘さを感じられます。
香料のような余韻も長く感じることができる飲み方です。
ハーパーソーダ
ハーパーソーダはいわゆるハイボールで、ソーダのはじける音と、上り立つ泡を楽しめます。
爽やかさを感じられるスタンダードなカクテルです。
作り方
- 氷をグラスいっぱいに注ぎます。
- 「I.W.ハーパー ゴールドメダル」と炭酸水を1:4で割り、マドラーで混ぜて完成です。
ハーパージュレップ
「I.W.ハーパー」で作るミントジュレップです。
ミントジュレップとは、ウイスキーに砂糖やミントの葉を加えたた飲み方で、ミントの爽やかですっきりとした味わいを楽しめます。
ミントジュレップは、競馬のケンタッキーダービーの公式ドリンクで、競馬好きの方にもおすすめです。
作り方
- ジュレップカップ、もしくはロックグラスに砂糖を少々、フレッシュミントを入れ、ペストル(ハーブや葉、フルーツを潰す道具)などでミントを潰します。
- クラッシュドアイスでグラスを満たし、「I.W.ハーパー」を注ぎます。
- 軽くステアをして、炭酸水を注ぎます。
- 最後にフレッシュミントを飾ります。
カウボーイ
バーボンの牛乳割りです。
牛乳を加えることで、力強いバーボンがまろやかで、コクのあるカクテルに変化します。
作り方
- 氷をいれたロンググラス、またはロックグラスに「I.W.ハーパー」と牛乳を、好みの比率で注ぎます。「I.W.ハーパー 」1に対し牛乳3の比率がおすすめです。
- 好みで砂糖を加え、よく混ぜて完成です。
最後に
バーボンに惚れ込んだ兄弟により、洗練された上質なウイスキーとなった「I.W.ハーパー」。
世界で愛される品質の高さと美しいボトル、こだわりの製法など魅力溢れるバーボンです。
力強さから爽やかさまでを味わえますので、好みの飲み方を見つけてみてください。