地ウイスキーの中でも、星のように輝く存在である「マルスウイスキー」は、手軽に購入できる点やふるさと納税の返礼品としても人気を博しています。
マルスシリーズではさまざまな種類のウイスキーを取り扱っており、バリエーションも広範囲です。
本記事では、そんなマルスウイスキーの魅力や種類、どのような評判があるのかについて、SNSをもとに独自調査を行った結果をご紹介します。
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「マルスウイスキー」とは

「マルスウイスキー」は、本坊酒造が手掛ける国産ウイスキーのブランド名です。
鹿児島に本拠を置く1872年創業の本坊酒造は、1980年代の第一次地ウイスキーブームをけん引しており、マルスウイスキーはその代表的な存在。
原酒を造る蒸留所は長野と鹿児島の2カ所、熟成拠点は長野、鹿児島、屋久島の3カ所です。
異なる自然環境で熟成させ、独自の個性と味わいを生み出しています。
マルスウイスキーにはブレンデッドウイスキーからシングルモルトまで幅広いラインナップがあり、その中には限定品もあります。
「マルス」の由来

ウイスキーのブランド名には、火星を意味する「マルス(MARS)」が冠されています。
「マルス」という名前は、創業当時からのイメージシンボル「星」にちなみ、一般公募で選ばれた「マルス(英語:Mars)」が由来です。
マルスウイスキーの製造場所

原酒が造られているのは長野と鹿児島にある2つの蒸留所で、熟成拠点は長野と鹿児島の蒸留所の他に屋久島にもあります。
以下の3つの拠点について解説します。
- マルス信州蒸溜所(長野県上伊那郡宮田村)
- マルス津貫蒸溜所(鹿児島県南さつま市)
- 屋久島エージングセラー(鹿児島県熊毛郡屋久島町)
いずれも施設も一般見学可能ですので、気になる方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
マルス信州蒸溜所

マルス信州蒸溜所はマルスウイスキーの製造場所の1つで、2020年にリニューアルされました。
マルスブランドのウイスキーでは主に、「岩井トラディション」や「駒ヶ岳」などが造られます。
また、ウイスキー検定合格者限定のマルス信州蒸溜所見学ツアーも開催された実績もあるようです。
マルス津貫蒸溜所

2016年に竣工したマルス津貫蒸溜所は鹿児島薩摩半島南西の山間に位置し、温暖な気候と寒暖差のある環境が特徴です。
1984年にモルト原酒製造を休止していましたが2016年に再開。
32年ぶりに本坊酒造の拠点である鹿児島で、マルスウイスキーの新たな歴史が幕を開けました。
屋久島エージングセラー

マルス津貫蒸溜所と同じく2016年に竣工した屋久島エージングセラーです。
マルスウイスキーは世界自然遺産の屋久島にある「屋久島伝承蔵」内にエージングセラーを構えており、多くの「マルスウイスキー」が熟成されます。
「マルスウイスキー」の歩み

マルスウイスキーは昭和24年(1949年)に本坊酒造で製造が始まり、生みの親となったのは岩井喜一郎という人物です。
マルスウイスキーが歩んだ現在までの歴史を見てみましょう。
「竹鶴レポート」をもとにマルスウイスキー誕生

マルスウイスキー誕生のきっかけは、岩井喜一郎が竹鶴政孝をイギリスに送り出したことに端を発します。
昭和35年(1960年)、岩井喜一郎が竹鶴政孝が作成したウイスキー実習報告書「竹鶴レポート」を基にポットスチルを設計し、さらには岩井喜一郎の指導によって「マルス」が誕生しました。
当初は山梨県石和にある山梨工場で製造が行われたそうです。
岩井喜一郎は、その6年後である昭和41年(1966年)に亡くなりました。
需要に翻弄されながらも復活

マルスウイスキーは昭和57年(1982年)の地ウイスキーブームの時期に注目を浴びました。
人気に後押しされてか、昭和60年(1985年)に現在の長野県上伊那郡にマルス信州蒸溜所が誕生します。
しかし、需要の低迷により平成4年(1992年)に蒸留が停止。
そんな危機的状況の中、本坊酒造は独自の戦略を展開しました。
なんと、貯蔵庫に眠る希少な原酒を商品化したのです。

この期間、「シングルモルト駒ヶ岳ウイスキー」といった銘柄を世に送り出しています。

その後、全国的なハイボールブームの到来から平成23年(2011年)には19年ぶりに蒸留が再開され、マルスウイスキーは復活を果たしました。
マルスウイスキーの歩みは、需要の変化に翻弄されながらも希少原酒の利用で活路を見出し、注目を浴びる道を切り拓いたものであるとうかがえます。
世界的で着実に評価される現在

危機的状況を脱して製造が再開されたマルスウイスキー。
同年に、鹿児島・山梨の3年原酒を長野で25年熟成させた「マルスモルテージ 3+25 28年」を発売すると、平成25年(2013年)にワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で世界最高賞を受賞し、評価は世界に向けて着実に広まりました。
世界から高い評価を受けるようになったマルスウイスキーは、平成28年(2016年)には、屋久島エージングセラーとマルス津貫蒸溜所を竣工し、さらなる品質向上を遂げました。

さらに、2017年には「アイコンズ・オブ・ウイスキー(IOW)2017」で世界最優秀賞のクラフトプロデューサー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。
そして、2023年には「MARS The Y.A. #01」が高い評価を受け、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)の洋酒部門で最高金賞を獲得。
世界的に高い評価を得たマルスウイスキーの確かな品質と独自の味わいは、現在もなおウイスキー愛好家から広く支持されています。
マルスウイスキーブランド代表銘柄とおすすめの飲み方
マルスウイスキーは数々の賞を受賞し、品質と世間的な評価が高まっています。
代表的な銘柄を紹介します。
「MARS The Y.A. #02」

- アルコール度数:49%
- 内容量:700mL
- 希望小売価格(税抜):9,000円
- 製造所:マルス信州蒸溜所、マルス津貫蒸溜所
代表的な銘柄の「MARS The Y.A. #02」は、独自の製法と熟練の技術で生み出されたブレンデッドモルトです。
信州と津貫で蒸留され、バーボンバレルで熟成されたモルト原酒を中心にヴァッティング。
1万2,000本の限定生産で、明るい果実香や神秘的なスモーキーフレーバー、潮風を感じさせる香味が特徴です。
ストレートやロック、水割りなど、お好みの飲み方で存分に味わってください。

「マルスモルテージ越百(コスモ) モルトセレクション」

- アルコール度数:43%
- 内容量:700mL
- 希望小売価格(税抜):4,400円
- 製造所:マルス信州蒸溜所製造
「マルスモルテージ越百(コスモ) モルトセレクション」は、タイプの異なるイギリス製造原酒と国産原酒をヴァッティングすることで、複雑さと奥行きを表現したモルトウイスキーです。
商品名の「越百(こすも)」は、中央アルプスに連なる山の1つである「越百山(こすもやま)」が由来です。
宇宙を連想させる越百(コスモ)という呼び名から、中央アルプス山麓にあるマルス信州蒸溜所から見上げる夜空をイメージしたラベルデザインも、また魅力です。

「マルスモルテージ越百(コスモ) ワインカスク フィニッシュ Bottled in 2023」【限定品】

- アルコール度数:43%
- 内容量:700mL
- 希望小売価格(税抜):5,400円
- 製造所:マルス信州蒸溜所製造
「マルスモルテージ越百(コスモ) ワインカスク フィニッシュ Bottled in 2023」は、「マルスモルテージ越百(コスモ)」を赤ワイン樽で追加熟成させるという特別な仕上がりで、2023年限定で販売されました。
マルス信州蒸溜所で造られており、ほのかにルビーレッドの色味を帯びています。
赤ワイン樽由来のスパイシーでフルーティーな香りを味わうためにも、ストレートがおすすめですが、ロックや水割り、炭酸割りなど、さまざまな飲み方でも楽しめます。

「マルスウイスキー 3&7」

- アルコール度数:40%
- 内容量:720mL
- 希望小売価格(税抜):1,480円
- 製造所:マルス信州蒸溜所
「マルスウイスキー 3&7」は、個性豊かな原酒をブレンドした、ホワイトオークの樽香を感じるブレンデッドウイスキーです。
マルス信州蒸溜所のブレンダーが、英国製造、米国製造、カナダ製造、国内製造(グレーンウイスキー)の4種のモルト・グレーンを巧みにブレンドし、「マルスウイスキー 3&7」ならではの味わいを生み出しています。
ホワイトオークの樽から広がるウッディな香りや味わいが特徴で、ロックや水割り、炭酸割りなど、さまざまな飲み方で楽しめます。
「マルスウイスキー 信州」【限定品】

- アルコール度数:40%
- 内容量:720mL
- 希望小売価格(税抜):1,500円
- 製造所:マルス信州蒸溜所
「マルスウイスキー 信州」は、長野県限定発売のブレンデッドウイスキーです。
信州の豊かな自然と澄んだ空気が生み出す爽快な味わいと、モルトの華やかな香りが楽しめます。
ブレンドされているのはモルトとグレーンで、英国製造、米国製造、カナダ製造、国内製造のグレーンウイスキーが絶妙なバランスでブレンドされています
ストレートで味わうとその深みと繊細さが際立ち、ロックや水割りといった飲み方でも手軽に楽しめます。
信州の風土を感じながら、「マルスウイスキー 信州」を味わってみてください。

「マルス エクストラ」

- アルコール度数:37%
- 内容量:1,800mL
- 希望小売価格(税抜):2,400円
- 製造所:鹿児島工場
「マルス エクストラ」は、国内製造(グレーンスピリッツ)のウイスキーです。
「マルス エクストラ」独自のブレンドが一世を風靡したこともあり、『地ウイスキーの西の雄』として知られているマルスシリーズのロングセラー商品です。
時代を感じさせる、ノスタルジックな趣が漂う一升瓶に詰められているのも特徴的ですよね。
おすすめの飲み方は、ロックや水割り、炭酸割り。
豊かな味わいとノスタルジックな雰囲気を楽しみながら、「マルス エクストラ」に浸ってみてください。

「岩井トラディション」【販売店限定品】

- アルコール度数:40%
- 内容量:750mL
- 希望小売価格(税抜):2,200円
- 製造所:マルス信州蒸溜所
- 受賞歴:IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション) 2013 スピリッツ部門 最優秀銀賞
マルスシリーズとは別のマルスブランドの代表銘柄である「岩井トラディション」。
マルスシリーズの生みの親である岩井喜一郎への敬意と感謝を込めて造られた、販売店限定のブレンデッドウイスキーです。
複雑で心地よい香りが広がり、優しい口当たりとしっかりしたボディが特徴です。
熟成感も感じられる、上品で重厚な味わいが楽しめます。
ちなみに、岩井喜一郎が設計したポットスチルは、マルス信州蒸溜所で半世紀以上にわたり稼働しています。
そのことからも、本坊酒造のウイスキー製造における長い歴史と岩井喜一郎への尊敬と感謝がうかがえます。
ストレートのほか、ロックや水割り、炭酸割りがおすすめですので、ぜひ味わってみてください。

「岩井トラディション ワインカスクフィニッシュ」【限定品】

- アルコール度数:40%
- 内容量:750mL
- 希望小売価格(税抜):2,800円
- 製造所:マルス信州蒸溜所
- IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション) 2013 スピリッツ部門 (Whiskey Worldwide)銀賞
「岩井トラディション ワインカスクフィニッシュ」は、自社の山梨ワイナリーや穂坂ワイナリーで使用する赤ワイン樽に入れて1年以上追加熟成させた、年2回製造の限定ブレンデッドウイスキーです。
追加熟成の結果、上品な口当たりの柔らかさに、シェリー樽の古木香とワイン樽由来の甘いバニラ香が調和し、味わいには赤ワインのタンニンと上品な旨みが加わります。
「岩井トラディション ワインカスクフィニッシュ」は、ワインとウイスキーのおいしさが融合しているため、まずはストレートでじっくり味わうのがおすすめです。
ストレートで味わった後、ロックや水割り、炭酸割りといったお好みの飲み方で味の変化を楽しみましょう。
「岩井トラディション シェリーカスクフィニッシュ」【限定品】

- アルコール度数:40%
- 内容量:700mL
- 希望小売価格(税抜):3,000円
- 製造所:マルス信州蒸溜所
「岩井トラディション シェリーカスクフィニッシュ」は、特別な樽で熟成されたブレンデッドウイスキーです。
極甘口のシェリー「ペドロ・ヒメネス」を熟成した樽が使われています。
「ペドロ・ヒメネス」とは、スペインのアンダルシア地方で生産されるシェリーで、非常に甘く芳醇な味わいが特徴です。
シェリー樽由来のブラウンシュガーやメープルシロップのような香りと、上品な甘さがバランス良く感じられます。
まずはストレート、その後にロックや水割り、炭酸割りがおすすめです。

「シングルモルト津貫 2023 エディション」【限定品】

- アルコール度数:50%
- 内容量:700mL
- 希望小売価格(税抜):8,000円
- 受賞歴
- TWSC 2023(東京ウイスキー & スピリッツコンペティション)洋酒部門 金賞
- ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)ウイスキー部門 銀賞
- WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)2023 シングルモルト部門(ノンエイジ)銀賞
マルスウイスキーの代表銘柄のひとつ「シングルモルト津貫 2023 エディション」は、バーボンバレルを主体にさまざまな樽で熟成したモルト原酒をヴァッティングした、生産数4万7,000本の2023年限定品です。
「津貫」シリーズはマルス津貫蒸溜所で製造されており、バーボン主体の樽による熟成がウイスキーに芳醇な香りと滑らかさを与え、ヴァッティングにより多彩な味わいが楽しめます。
ふくよかな厚みとフレッシュなフルーティーさが複雑に織りなす奥深い味わいを、ぜひストレートやロック、水割り、炭酸割りで楽しんでください。

【マルスウイスキー】世間の評判は?

SNS(Twitter)やWhiskeenの調査によると、多くの人たちは、独自性と品質を高く評価し、多様な味わいに魅了されているようです。
ポジティブな意見
マルスウイスキーのポジティブな意見は多岐に渡ります。
味わいが魅力としている意見や、コーラで割ることで飲みやすくなると評価している声が見受けられました。
安価ながらも2,000円級のスコッチに負けない味わいがあるという意見もありました。
「マルス」ブランドは、手頃な価格帯ながらも高品質な味わいを提供していることがうかがえます。
ネガティブな意見
一方で、マルスウイスキーのネガティブな意見も存在します。
マルスウイスキーの「岩井」がおいしくないと感じている方もいるようです。
ウイスキー文化研究所主催で、本坊酒造の担当者から話を聞けるセミナーが過去に開催されています。
今後も、セミナーなど通じて、製造側と消費者との意見交換できる機会を設けられると良いですね。
最後に

マルスウイスキーについて、種類やSNS上で見られる評判を交えてご紹介しました。
マルスウイスキーは、竹鶴レポートを基に誕生し、需要の変動にもめげずに復活を遂げた国産ウイスキーです。
多種多様なウイスキーを楽しめますが、個性と品質に対して広く意見が寄せられています。
個性的な味わいや製造技術に注目すべき要素があるマルスウイスキーは、一度は試してみる価値がある存在ではないでしょうか。
なお、本坊酒造の技術提供を受けた関係会社の山鹿蒸溜所も関わっています。
Whskeenメンバーが実際に訪れた訪問記もありますので、ぜひ併せてご覧ください。