「オクトモア」はアイラ島にあるブルックラディ蒸留所が造るシングルモルトウイスキーです。
スモーキーさを計る「フェノール値」が非常に高いことでも有名で、世界で一番スモーキーなウイスキーといっても過言ではありません。
スモーキーさを追求しながらも味わいは口当たりが良くフルーティーで、アイラモルトが好きな方におすすめできる銘柄です。
今回はウイスキー「オクトモア」の特徴やラインナップ、口コミをご紹介していきます。
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「オクトモア」とは
「オクトモア」はブルックラディ蒸留所が造る世界最強のフェノール値を持つアイラモルトです。
オクトモアとはゲール語で「偉大なる8番手」という意味があり、「もしブルックラディのエレガントでフルーティーな原酒が、ヘビリーピーテッドな麦と結びついたら?」という蒸留所の好奇心から2008年に誕生しました。
スーパーヘビリーピーテッド
「オクトモア」の最大の特徴はスーパーヘビリーピーテッドモルトであるということです。
ラインナップによりますがフェノール値は驚異の100ppm以上で、銘柄によっては200ppm以上のものもあります。
スモーキーなウイスキーとして有名な「ボウモア」は25ppm、「ラフロイグ」は45ppmなので、「オクトモア」の数値が非常に高いことが分かりますね。
これまでのウイスキーの概念を覆した「オクトモア」はブルックラディ蒸留所の探究心と好奇心が生んだ驚きのアイラモルトといえます。
「オクトモア」の番号付けシステム
「オクトモア」には独自の番号付けシステムがあり、毎年リリースされる「オクトモア」には番号が明記されています。
例えば「オクトモア13」シリーズの場合、「13.1」「13.2」「13.3」「13.4」というラインナップがあります。
「13」はエディションナンバーでリリースした順番の数字で、小数点以下の数字は原料や熟成樽の違いを表しています。
小数点以下の数字の意味は下表のとおりです。
数値 | 原料・熟成樽 |
.1 | ・スコットランド産の大麦を100%使用 ・ファーストフィルのバーボン樽やテネシーウイスキー樽で熟成 |
.2 | ・スコットランド産の大麦を100%使用 ・ワインカスクやシェリーカスクで熟成 |
.3 | ・ジェームス・ブラウン氏の「オクトモア農場」で造られたアイラ島産大麦を100%使用(シングルエステート) ・アメリカンオークやヨーロピアンオークで熟成(エディションにより異なる) |
.4 | ・スコットランド産の大麦を100%使用 ・ヴァージンオーク(新樽)で熟成 |
「オクトモア」のラインナップ
「オクトモア」の個性豊かなラインナップをご紹介していきましょう。
オクトモア 14.1 スコティッシュバーレイ
アルコール度数 | 59.6% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 14.1 スコティッシュバーレイ」はスコットランド産の大麦を100%使用し、アメリカンオーク樽で熟成させて造られます。
2016年に原料を収穫、2017年に蒸留しており、5年熟成ものでフェノール値は128.9ppm。
バニラやキャラメルの甘い香りと「オクトモア」の特徴でもあるピート香、柑橘系のさわやかな香り。
味わいはシトラス、スモーク、独特なミネラル感があり、樽由来のバニラのような甘みを感じます。
フルーティーかつスパイシーな味わいもあり、フィニッシュにかけてバタースコッチ、ピート香、塩気、焦げたヘザーが存在感を出します。
オクトモア 14.2 ヨーロピアンカスク
アルコール度数 | 57.7% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 14.2 ヨーロピアンカスク」はスコットランド産の大麦を100%使用し、オロロソシェリー樽とアマローネワイン樽で5年間熟成して造られます。
フェノール値は128.9ppm。
ピーティーなモルトの香り、シナモンや黒コショウのようなスパイシーな香り、青リンゴのようなフルーティーな香り。
焙煎したコーヒーやピーティーなモルトの味わいや樽由来のフルーティーな甘みを感じられます。
フィニッシュには燻した麦芽や「オクトモア」を象徴する土っぽいスモーキーさがあります。
オクトモア 14.3 アイラバーレイ
アルコール度数 | 61.4% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 14.3 アイラバーレイ」はオクトモア農場で2016年に収穫されたコンツェルト種麦芽を100%使用して造られています。
ファーストフィルのアメリカンウイスキーカスク50%とセカンドフィルのワインカスク50%で5年間熟成。
フェノール値は214.2ppm。
ビスケットのように甘く香ばしいモルトの香りや「オクトモア」らしいピート香の後に、フルーティーな香りやバタースコッチやバニラのような甘い香りが追いかけてきます。
オークやピーティーなモルト、フローラルなリッチで甘美な味わいやバニラやトフィーの味わい。
麦芽の香りや土っぽいスモークが存在感を示し、その後に麦芽糖、バニラ、キャラメルのような甘い余韻が続きます。
オクトモア 13.1 スコティッシュバーレイ
アルコール度数 | 59.2% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 13.1 スコティッシュバーレイ」は2015年に収穫されたスコットランド産の大麦を使用し、アメリカンオーク樽で5年熟成して造られています。
フェノール値は137.3ppm。
甘いナッツを思わせるスモークの香り、洋梨、バニラ、蜂蜜の香り、ピートの力強い香り。
燻された穀物の味わい、アプリコットジャムや柑橘系の味わいも感じられます。
土っぽいスモーク、フローラル、シトラスの余韻があります。
オクトモア 13.2 オロロソカスク
アルコール度数 | 58.3% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 13.2 オロロソシェリーカスク」はスコットランド産の大麦を100%使用し、オロロソシェリー樽で5年間熟成させて造られています。
フェノール値は「オクトモア 13.1 スコティッシュバーレイ」と同様の137.3ppm。
スモーキーなナッツ、ミルクチョコレートの香り、樽由来の芳醇なフルーティーな香り、少しスパイシーな風味も。
スモーキーな味わいと共にマーマレードやアプリコット、コショウのような味わいがあります。
土っぽいピートスモークとフルーツやナッツのニュアンスが余韻として残ります。
オクトモア 13.3 アイラバーレイ
アルコール度数 | 61.1% |
容量 | 700mL |
「オクトモア 13.3 アイラバーレイ」はオクトモア農場で2015年に収穫されたコンツェルト種麦芽を100%使用。
ファーストフィルのアメリカンオーク樽とセカンドフィルのヨーロピアンオーク樽で5年熟成しています。
フェノール値は129.3ppm。
麦芽糖と優しいピートスモークの香り、フルーティーな香りやユーカリのようなさわやかな香り。
蜂蜜やブラウンシュガーの甘み、レモンピールのさわやかさ、海の潮気、ココナッツのような味わいもあります。
海を感じる香りとピートスモークの余韻のあとにフルーティーな余韻が押し寄せます。
「オクトモア」を造るブルックラディ蒸留所
「オクトモア」を造るのは、アイラ島にあるブルックラディ蒸留所です。
1881年に創業した蒸留所で、今でも創業当時の設備を使用してウイスキーを生産しています。
創業当時の古い設備を使うものの革新的なウイスキー造りで、アイラ島の大手蒸留所では唯一ボトリングの作業まで行っています。
ブルックラディ蒸留所のこだわり
ブルックラディ蒸留所で使われる大麦は100%スコットランド産のものです。
さらにジェームス・ブラウン氏が所有する「オクトモア農場」が作っているアイラ島産の大麦も使用。
「テロワール」をコンセプトとしており、土壌や気候、水、原料にこだわりを持っています。
ウイスキー造りにおいて着色添加はせず、ノンチルフィルタード製法(冷却ろ過を行わない製法)のためウイスキー本来の味わいをダイレクトに感じられます。
ブルックラディ蒸留所のユニークなラインナップ
ブルックラディ蒸留所は「オクトモア」の他にも2つのユニークなアイラモルトを造っています。
簡単にその銘柄をご紹介しましょう。
ブルックラディ
「ブルックラディ」は蒸留所の名前を冠したフラッグシップボトルで、アイラモルトでは珍しいノンピートのモルトウイスキーです。
フローラルでリッチな味わいが人気の銘柄で、「テロワール」を大切にするブルックラディ蒸留所のこだわりが詰まっています。
ポートシャーロット
「ポートシャーロット」はブルックラディ蒸留所が造っているヘビリーピーテッドウイスキーで、フェノール値は40ppm。
アイラモルトでイメージされる薬品や石灰のようなアロマではなく、BBQのような香ばしいスモークが感じられます。
「オクトモア」の評価
ピーティーなウイスキーではあるものの甘みやさわやかな味わいもあるため「思ったより飲みやすい」という意見があり、「苦手」という意見はあまり見当たりませんでした。
「オクトモア」を飲む方はアイラモルトやクセのあるウイスキーをある程度飲んでいる方が多いので「オクトモア」を楽しめるのかもしれません。
「くさい」という意見もありましたが、それが良いという意見もありました。
まとめ
「オクトモア」は、テロワールを大切にするブルックラディ蒸留所のスーパーへビリーピーテッドモルトです。
ピーティーさだけではなく、フルーティーな味わいや甘み、土や草の香りを感じられます。
原料や気候、土壌や水にこだわりがあるブルックラディ蒸留所だからこそ豊かな風味の「オクトモア」を造ることに成功したのでしょうね。
好みが分かれる銘柄ではありますが、「オクトモア」ならではの味わいは試してみる価値ありといえるでしょう。