バーボンウイスキー好きなら誰でも知っている銘柄「ワイルドターキー」。
一度は見聞きしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
七面鳥が描かれたボトルが印象的ですが、その製法や歴史もユニークです。
そこで今回は「ワイルドターキー」の多彩な銘柄、おすすめの飲み方をご紹介します。
この記事の監修者
「ワイルドターキー」とは
バーボンの定番「ワイルドターキー」という呼び名は、蒸留所のオーナーであったトーマス・マッカーシー氏が七面鳥狩りに出かける際、1本のウイスキーを貯蔵庫から持って行ったことに由来します。
狩り仲間のひとりが、七面鳥にちなみ「ワイルドターキー」と呼んだことからマッカーシーがこの名を気に入り、ウイスキーの名前にしました。
「ワイルドターキー」製造場所
「ワイルドターキー」は、アメリカのケンタッキー州で製造されています。
この付近は石灰岩層に覆われており、この地層にろ過された水(ライムストーンウォーター)はウイスキー造りに最適な水です。
また、ケンタッキー州はウイスキーの原料となるトウモロコシの産地でもあります。
毎年9月にはウイスキーのお祭り「ケンタッキー・バーボン・フェスティバル」も開かれており、バーボンウイスキーが文化として根付いている土地だといえます。
「ワイルドターキー」の歴史
「ワイルドターキー」は、1869年にトーマス・リピー氏が創業した「リピー蒸留所」が起源です。
創業者の息子のリピー兄弟が順調に経営を行い、1893年シカゴで開催されたワールド・フェアで「ケンタッキーを代表するバーボンウイスキー」に選ばれました。
1970年に食品卸業を行っていたオースティン・ニコルズ社がリピー蒸留所を買収し、以来さまざまな銘柄の「ワイルドターキー」を世に送り出しています。
バーボンウイスキーの王道「ワイルドターキー」の特徴3つ
王道のウイスキーとして知られる「ワイルドターキー」ですが、製法や原料に独自のこだわりがあるのをご存じでしょうか。
他のバーボンウイスキーとの違いを決定づける3つの特徴をご紹介します。
アルコール度数を抑えた製法
バーボンウイスキーの製造過程である蒸留では、アルコール度数80%以下という決まりがあります。
その決まりのもと、アルコール度数70%前後の原酒が製造されるのが一般的です。
その後、加水を行い、アルコール度数を62.5%以下に下げて出荷します。
「ワイルドターキー」では蒸留の時のアルコール度数を60〜65%と低く抑えることで加水量を減らし、豊かな風味をしっかり残しているのです。
他のバーボンとの違いは原料の割合
原料も厳選されたウイスキー「ワイルドターキー」。
トウモロコシはケンタッキー州とインディアナ平野、大麦はモンタナ州、ライ麦はドイツ産のものを使用し、成熟度や純度、水分含有率、安全性など厳しい基準をクリアした原料のみを使います。
原材料の割合は公表されていませんが、蒸留所の最高責任者であるマスターディスティラーのジミー・ラッセル氏は、ウイスキーに風味を与えるため
「全てのバーボンの中でトウモロコシの使用量が最も低く、ライ麦と大麦麦芽を多く使用している」
と語っています。
世界で唯一、親子でマスターディスティラーを務める
マスターディスティラーであるジミー・ラッセル氏が、ワイルドターキー蒸留所で働き始めたのは1954年。
3代目ディスティラーとして、2代目のビル・ヒューズ氏、初代の息子であるアーネスト・W・リピー氏から、バーボン造りの技術を学びました。
その後、息子のエディー・ラッセル氏も1981年にワイルドターキーに加わりました。
2000年にジミー・ラッセル氏、2010年にエディー・ラッセル氏がバーボンの殿堂入りを果たします。
2015年に息子エディー・ラッセル氏がマスターディスティラーの称号を与えられ、ワイルドターキー蒸留所は世界で初めて、親子でマスターディスティラーを務める蒸留所となりました。
「ワイルドターキー」のラインナップ
「ワイルドターキー」の種類は多様です。
現在では入手が難しいものから復活販売されているものまで、それぞれの特徴を解説します。
ワイルドターキー スタンダード
アルコール度数:40%
熟成年数の表記がない「スタンダード」は、6年、7年、8年熟成のものをブレンドして作られます。
アルコール度数が抑えられており、バニラのような甘みと柔らかい口当たり、樽由来のウッディな香りとほのかなスパイシーさも楽しめる1本です。
ワイルドターキー ライ
アルコール度数:40%
ライ麦を51%以上使用した、ストレート・ライウイスキー。
ウイスキーベースのカクテルに欠かせないライの風味を備えた1本です。
4〜5年の長い熟成期間を経た、しっかりとした味わいの中に、洋梨のような甘さとキャラメルを焦がしたような風味が感じられます。
バーボンとはまた違った、独特の風味があるライウイスキー。
「ワイルドターキー ライ」から、ライウイスキーへの扉を開いてみるのも楽しそうですね。
ワイルドターキー 8年
アルコール度数:50%
ブランド誕生から変わらず作り続けられている代表的な銘柄。アメリカの歴代大統領が愛飲したといわれています。
内側を強く焦がした「クロコダイル・スキン」という加工を施した樽で熟成されるので、色味は濃い琥珀色。
加水量を最小限に抑えているためアルコール度数が高く、バニラの香りやスパイシーさをしっかり感じる、重厚な味わいのバーボンウイスキーです。
ワイルドターキー 101と8年は同じアイテム?
アメリカで販売されている「ワイルドターキー」を調べると、「ワイルドターキー101」という銘柄が出てきます。
厳密にいえば「101」は6〜8年熟成の原酒を使用しているので、「ワイルドターキー 8年」とは異なります。
日本市場においては、「101」の中身は8年物のことを指し、「ワイルドターキー 8年」と同じものと認識されていることが一般的です。
以上のことから、「101」は「ワイルドターキー 8年」にかなり近いアイテムではあるものの、中身の構成原酒が違う銘柄だといえます。
ワイルドターキー 12年
アルコール度数:50.5%
熟成期間が長くなると、樽から風味を損ねる成分が出るため、10年熟成が限界といわれているなか、12年もの熟成に成功した銘柄です。
1990年代にも販売されていましたが、原酒不足により終売となっていました。しかし、CT Spirits Japan(シーティー スピリッツ ジャパン)株式会社により、2022年9月6日に「ワイルドターキー 12年」の復活販売が発表。
原酒の味わいを強く残した50.5%という高い度数、凝縮されたバニラとキャラメルの香り、甘さとスパイシーさを備えた個性的な味わいに仕上がっているとのことです。
ボトルのデザインも一新され、焦がした樽の木目をイメージしたギフトボックスに納められています。
ワイルドターキー 13年 ディスティラーズ・リザーブ
アルコール度数:45%
ワイルドターキー蒸留所のマスターディスティラーであるジミー・ラッセル氏とエディー・ラッセル氏の2人が、特に理想的な環境の熟成庫「ウェアハウスB」で特別な監督の元に作り上げたウイスキーです。
バーボンとしては異例の13年という長期熟成により、複雑で繊細な味わいに仕上がっています。
まろやかなオーク樽と芳醇なバニラ、そして洋ナシを思わせるフルーティな香りとスパイシーな余韻が特徴です。
ワイルドターキー レアブリード
アルコール度数:58.4%
6年、8年、12年熟成の原酒をブレンドし、加水を一切行わずにボトリングされる「レアブリード」。
蒸留過程でアルコール度数を低く抑えていることにより、実現できるブレンドです。
生産量に限りがあり、一本一本にバッチナンバーが記載されています。
蜂蜜のような甘い香りの中に、香ばしさも感じられ、まろやかな口当たりのウイスキーです。
ワイルドターキー ケンタッキー スピリット
アルコール度数:50.5%
8年以上熟成した原酒樽から、ジミー・ラッセル氏とエディー・ラッセル氏が厳選したバーボンウイスキー。
単一の樽から瓶詰めされるシングルバレルで、樽からボトリングされた日付や貯蔵所、樽のナンバーが手書きで記載されています。
樽の個性が感じられ、バニラの甘み、ナッツや蜂蜜などの風味、ほのかな酸味も感じられる、コクのある味わいです。
ワイルドターキー マスターズキープ リバイバル
アルコール度数:50.5%
12〜15年熟成のワイルドターキーバーボンをブレンドして、オロロソシェリーカスクで仕上げの熟成を行っています。
オロロソシェリーは、香りが強く辛口のシェリー酒。
エディー・ラッセル氏が自らスペインに行き、20年もののオロロソシェリー樽を厳選しています。
父ジミー・ラッセル氏が数十年前に実験的にシェリー樽でウイスキーを作っていたことから、「リバイバル(復活)」という名前が付けられました。
レーズンやナッツ、樽由来の香りと、トロピカルフルーツを連想させる味わいです。
ワイルドターキー マスターズキープ コーナーストーン
アルコール度数:54.5%
9〜11年の熟成を行ったライウイスキーからエディー・ラッセル氏が選りすぐった、最も熟成期間の長いライウイスキー。
ライ麦由来のスパイシーな風味と樽由来の香り、蜂蜜や焼きリンゴを思わせる甘みも感じられる、重厚感ある味わいです。
容量 : 750mL 希望小売価格 22,000円(税込)
ワイルドターキー マスターズキープ ボトルドインボンド
アルコール度数:50%
17年の長期熟成を行い、厳選された「マスターズキープ ボトルドインボンド」。
ボトルドインボンド法に従い17年前に樽詰めされた樽の原酒しか使わず、さらに1つの蒸留所で製造された原酒のみを使っているという、希少性の高いウイスキーです。
ボトルドインボンド法とは
悪質なバーボンの流通によって、アメリカ政府が品質を管理するために施行した法律のこと。
現在「ボトルドインボンド法」は廃止されていますが、品質の高さを表す文言として名前は残っています。
オーク樽の香ばしさ、リンゴやダークチェリーの香り、タフィーのような上品な甘さが特徴の1本です。
ワイルドターキー アメリカンハニー
アルコール度数:35%
純粋な蜂蜜と「ワイルドターキー・バーボンウイスキー」をブレンドしたリキュール。
リキュールとしては高い度数でありながら、なめらかな甘みで飲みやすくなっています。
蜂蜜の甘みやカラメル・オレンジの風味が特徴で、ストレートはもちろんロックやソーダ割など、さまざまな飲み方で楽しめますよ。
「ワイルドターキー」のおすすめの飲み方
多くの種類がある「ワイルドターキー」。
銘柄によって香りや味わいが異なり、飲み比べをするのも楽しいですね。
ここでは、「ワイルドターキー」を楽しみ尽くす飲み方をご紹介します。
まずは味や香りを楽しめるストレートやロックを
まずは各銘柄の特徴を楽しめるストレート、またはロックで飲んでみましょう。
特に「ワイルドターキー」は、加水量を抑えて原酒の特徴を残すように作られています。
熟成年数の長い希少銘柄は、樽や原料の個性的な風味が濃く出ています。
多彩な銘柄をまずはそのまま味わってみてください。
「ワイルドターキー」はカクテルもおすすめ
「ワイルドターキー」はカクテルで楽しめます。
「ワイルドターキー 8年」をつかったカクテルレシピは「オールドファッションド エイト」がおすすめです。
競馬ファンのために考案された、古典的なカクテルですよ。
「オールドファッションド エイト」
材料
- ワイルドターキー 8年:60mL
- シロップ:7.5mL
- アンゴスチュラ・ビターズ:2mL
作り方
材料を合わせてかき混ぜ、氷を入れたグラスに注ぎ、オレンジの皮を添える。
まとめ
こだわりの製法と独自の歴史、2人のマスターディスティラーにより、さまざまな銘柄を生み出している「ワイルドターキー」。
限定生産などレアな銘柄もあり、バーボンウイスキー愛好家の興味を引き続けています。
原酒の特徴を感じられるウイスキーを、ぜひ楽しんでくださいね。
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