キリンウイスキー「陸」は、スーパーやコンビニで見かける缶チューハイやノンアルコール飲料、ビールなどを販売している“キリン”の商品です。
キリンは日本のアルコール飲料メーカーの代表格と言っても過言ではないでしょう。
2020年5月19日に販売を開始した「陸」は2022年に中身とパッケージをリニューアルし、2023年2月にはパッケージのみをリニューアルしました。
リニューアル後の実際の評判や口コミはどうなのでしょうか?
本記事では、「陸」の歴史や蒸溜所、製法を深堀りし、おすすめの飲み方、口コミなどもご紹介します。
この記事の監修者

大中 ヨシ
都内勤務のバーテンダー兼ウイスキー専門のwebライター。ウイスキープロフェッショナル資格所有。休日には蒸留所や温泉を巡っています。普段はジャパニーズやスコッチを愛飲。推し蒸留所はキルホーマンです。
「キリンウイスキー 陸」とは?

キリンから、2020年5月19日に販売を開始したのがキリンウイスキー「陸」です。(以下:「陸」とする)
「陸」は富士御殿場蒸溜所で造られていたウイスキー「富士山麓 樽熟原酒50°」の後続品として誕生しました。
ここで簡単に「陸」の基本情報をまとめます。
・アルコール度数 50%
・原材料 グレーン、モルト
・原料原産地名:国内製造、英国製造(グレーンウイスキー)
・蒸溜所 富士御殿場蒸溜所
濃厚な味わいのブレンデッドウイスキーとして知られており、日本のウイスキーの中でも手軽に試せることから、人気を博しています。
“自由な飲み方ができる新感覚ウイスキー”というキャッチコピーで、デビューしたウイスキー「陸」。
果たして「陸」はどんな味なのでしょうか?
その特徴についても解説します。
「陸」という名前の由来
ウイスキー「陸」の、名前の由来はご存じでしょうか?
キリン公式サイトには
“キリンのウイスキーを代表する商品に育てたいとの想いで、「陸」と名づけました。
引用:キリンウイスキー 陸ってどんな商品ですか?|よくあるご質問・Q&A|お客様相談室|キリン (kirin.co.jp)
とあります。
キリンが今主力の銘柄として、リニューアルに力を入れたことが分かります。
「陸」はウイスキー「富士山麓」の後続商品
詳細は後述しますが、ウイスキー「陸」は、「富士山麓」の後続品として販売されました。
「富士山麓」はかつて大人気であったにもかかわらず、安定した原酒を提供することが難しくなってしまい「富士山麓 樽熟原酒50°」が終売。
「富士山麓 シグニチャーブレンド」のみが残り、製造が激減したウイスキーです。(2022年12月12日現在)
その後続品となると、期待せずにはいられません。
「陸」は2022年4月にリニューアル
「陸」は、2022年4月に中見とパッケージが一新され、「ウイスキーのおいしさ」を手軽に発見できるウイスキーとして生まれ変わりました。
さらに、2023年2月には好評の味はそのままにパッケージのみがリニューアルし、ラベルに富士御殿場蒸溜所のロゴを新たに搭載し、「陸」のロゴを中心に配置しています。
ますます新しくなった「陸」、リニューアルされた後の味わいも楽しめそうですね。
ウイスキー「陸」おいしさの秘密とは
日本のウイスキーといっても、多種多様な味わいがあります。
そんな「陸」ですが、リニューアル後の実際の味わいはどうなのでしょうか?
豊かな自然の中で造られるウイスキー「陸」味わいの秘密をひも解いていきましょう。
樽および熟成方法へのこだわり
「陸」の熟成には、キリン独自のこだわりがあります。
それは、北米産ホワイトオーク材のバレルを使用した“小樽熟成”です。
樽が小さくなればなるほど樽の数が多くなり、自然と保管や管理の手間が増えます。
キリンは何故手間のかかる管理を行っているのでしょうか?
ここで手間を惜しまず小樽を使用すると、原酒と樽の触れ合う表面積が大きくなることにより、木樽の豊かな香りをウイスキーの味わいに与えられるからです。
ノンチルフィルタード製法
「陸」は“ノンチルフィルタード”を採用しています。
ノンチルフィルタード製法をとることで、“樽出し”の状態に近いおいしさを目指し、ウイスキーの旨み成分を閉じ込められるのです。
ここで一般的なウイスキーと「陸」を比較します。
ウイスキー「陸」 | 一般的な日本のウイスキー |
・ほとんど加水をしない ・冷却ろ過をしないことで、香味成分がほとんど析出しない | ・37~43%まで加水 ・びん詰め前に、香味成分を取り除く原因となる冷却ろ過を行う |
「陸」はノンチルフィルタード製法により、一般的なウイスキーと比べて原酒の旨みを新鮮なまま活かし、香味豊かなウイスキーとなります。
また、加水をほとんど行っていないため、アルコール度数は50%と高めですが、より本格的なウイスキーを楽しめる銘柄なのです。
グレーン原酒のブレンド
「陸」が生産されている富士御殿場蒸溜所では、グレーンウイスキーの製造に力を入れています。
蒸溜機を3種類使うことで、タイプの違うグレーンウイスキーを造れるのです。
そして富士御殿場蒸溜所で造られたグレーンウイスキーと海外の原酒をブレンドするという独自の製法により、奥深い味わいを生み出しています。
ウイスキー「陸」を造る富士御殿場蒸溜所の歴史
前述しましたが、富士御殿場蒸溜所は世界的にも珍しい“3種類のグレーン原酒”と“モルト原酒”の両方の原酒を製造していることで有名です。
「陸」の味わいを造り出す、“富士御殿場蒸溜所”はいったいどんな歴史を歩んできたのでしょうか。
富士山からの恩恵を活かした蒸溜所
日本を代表する富士山が一望できる富士御殿場蒸溜所。
静岡県の御殿場市、柴怒田(しばんた)という町にあります。
富士御殿場蒸溜所が建てられたのは1973年。
2023年に、なんと操業開始50周年を迎えます。
この地には、ウイスキーにとっての理想的な環境が揃っています。
霧がよく発生することや、古くから水が豊富な場所としても知られています。
富士山に降った雨水が、約50年の歳月をかけてろ過され、やわらかくミネラル豊富な水に。
この水が、仕込み水として使用されています。
なお、富士山から湧き出るクリアな水は別名”マザーウォーター”と呼ばれているそうです。
3カ国の所有者
富士御殿場蒸溜所は現在、キリンビールの単独所有になっていますが、歴史を辿ると、最初は異なる3社の出資から始まりました。
- J・Eシーグラム社(アメリカ)
- シーバスブラザーズ社(イギリス)
- キリンビール社(日本)
上記3社の共同出資で設立した、キリン・シーグラム社の蒸溜所としてのスタートです。
そのため、モルトウイスキー造りはイギリスのシーバスブラザース社、グレーンウイスキーはアメリカのシーグラム社、それぞれの高い技術が詰め込まれた蒸溜所へと成長しました。
独自の2つの原酒
富士御殿場蒸溜所の特徴は、なんといっても”モルトウイスキー”と”グレーンウイスキー”の2種類を同じ蒸溜所内で造っていることです。
ひとつの蒸溜所でモルトウイスキー、グレーンウイスキー両方を造れる技術力があるだけではなく、生産や貯蔵、ボトリングまで一貫して行っている世界でも珍しい蒸溜所です。
【富士御殿場蒸溜所生まれ】「富士山麓」と「陸」の違い

キリンの代表格と言っても過言ではない「陸」ですが、同じくキリンから発売されている「富士山麓」も、富士御殿場蒸溜所にて製造しています。
しかし「富士山麓」ブランドは製造量が激減しているようです。
そんな理由もあり、新たに後継として誕生した「陸」。
どちらも同じ蒸溜所から造られたウイスキーですが、果たして2つのウイスキーにはどんな違いがあるのでしょうか?
価格や度数の違いについて見ていきます。
価格や度数に違いはあるのか?
まず、「富士山麓 シグニチャーブレンド」と「陸」の価格や度数について、調べてみました。
アルコール度数は、どちらも一緒で50%。
ただし、価格は「陸」のほうがリーズナブルです。
富士山麓 シグニチャーブレンド | 陸 |
700mL 5,000円程度 | 500mL 1,300~1,500円程度 |
参考:https://drinx.kirin.co.jp/whisky/fs/fssignature2/
グレーン原酒の比率が違う
「富士山麓 シグニチャーブレンド」と「陸」との最大の違いは”グレーン原酒の比率の違い”です。
「陸」はグレーン原酒を主体にし、モルト原酒を少量入れブレンドしています。
「富士山麓 シグニチャーブレンド」よりも、グレーン原酒の比率が高いウイスキーといえるでしょう。
グレーン原酒の比率を高めることで、「陸」には華やかな香りと豊かなコク、キレのある爽やかな余韻が生まれ、飲みやすい仕上がりになっているそうです。
また、「陸」は味がしっかりしているので、ウイスキーにありがちな割った際に味が崩れることも少ないと好評です。
ウイスキー「陸」おすすめの飲み方

ここまで、「陸」が造られている蒸溜所や製法、味わいなどを深堀りしてきましたが、実際の飲み方はどんな種類があるのでしょうか?
「陸」のおすすめの飲み方を簡単に紹介します。
中には珍しい飲み方もあるので、ぜひ、あなただけの「陸」の飲み方を発見してみてください。
【まずは王道の飲み方】ハイボール

ウイスキー好きなら外せない飲み方、ハイボール。
割合は「陸」1に対し、ソーダ4程度にすることで、1日の締めにピッタリな濃いめのハイボールが出来上がります。
このままでもおいしいのですが、最後にグリーンレモンまたはカボスをチュッと搾ると、より酸味が増し爽やかな味になっておすすめです。
スッキリしているので、お供に唐揚げなどの揚げ物はいかがでしょうか。
【和食との相性抜群】薄めの水割り
和食と一緒に楽しみたい方におすすめなのが、この飲み方。
「陸」1に対し、氷入りの水の割合を10にすることで、薄めの水割りを作れます。
本来ならウイスキーの味が崩れやすいため、ウイスキーの割合を増やして濃いめになってしまう水割りですが、「陸」は味がしっかりしているので、薄めに作っても味にまとまりがあり、おすすめです。
【新しい組み合わせ】withミルク

「え、ウイスキーにミルク?」
意外な組み合わせですが、意外に合います。
割合は「陸」1に対し、氷入りのミルクを4~7程度。
「陸」の香味が最大限に活かされ、まさに“大人のミルクセーキ”という表現がピッタリです。
さらに、ここにガムシロップを入れることで甘味が加わり、よりフルーティーな味わいに。
また、寒い日はホットミルクで試すと、また違った味わいを楽しめます。
いずれも、ウイスキーが苦手な方や飲み慣れていない方におすすめです。
【スイーツのように楽しむ】ホットシナモンウイスキー

ウイスキーの苦味が苦手な方におすすめなのが、こちらの飲み方です。
割合は「陸」1に対し、60度のお湯を3~6にします。
ここにテーブルスプーン1杯の砂糖。
仕上げに少量のシナモンを入れて、完成です。
「陸」の香りとシナモンの香りが調和することで、一味違う心地よい香味に。
しかも、飲み進めていくと砂糖の甘味も増すので、飲むスイーツとして楽しめます。
【余韻を楽しむ大人な飲み方】ロック

背負うものが大きく、忙しい方ほど、余韻に浸れる時間は少ないもの。
そんな方にこそ試していただきたい飲み方が、ロックです。
割合は「陸」1に対し氷を4。
ここですぐに飲むのではなく、“25秒待つ”ことがポイントです。
この“25秒”は、氷が溶け始める最適な時間といわれています。
静かな空間でしっぽりと飲んで、トロッとした厚みを舌で感じながら余韻に浸ったり、自分を振り返ったりするのはいかがでしょうか。
【寒い夜におすすめ】お湯割り

体の芯まで冷え切った寒い夜におすすめな飲み方がお湯割り。
割合は「陸」1に対し、60度のお湯3です。
華やかな香りが鼻を通り、リラックス効果も期待できます。
また、アルコールの効果もあり自然と体もポカポカと温かくなるでしょう。
寝る前の寝酒として飲んでみるのは、いかがでしょうか。
リニューアルした「キリンウイスキー 陸」の評判は?
前述の通り、「陸」は2021年4月に大幅なリニューアルを行いました。
実際に飲んだ方の感想も気になるのではないでしょうか?
ネット上の声を集めましたので、ぜひ参考にしてください。
おいしい!という評判多数
ここでは、「陸」を実際に飲んだ方の口コミを集めました。
「おいしい」という声が多いようで、さまざまな飲み方をしながら自宅で「陸」を楽しんでいるようです。
どの飲み方でもおいしいようですが、特にハイボールは評判が多く見受けられます。
ハイボールなら幅広いジャンルの料理ともマッチしそうですね。
「陸」で作るハイボールともつ鍋などの組み合わせは、これからの季節にもぴったりです。
リニューアル前の旧ボトルでは、まずいという声も
リニューアル前の旧ボトル「陸」の評判の中に、「まずい」という声もありました。
ただし、新旧ボトル含め、ほぼおいしいという評価が多数見受けられました。
新旧「陸」を飲み比べた人の感想
リニューアル前の「陸」よりスッキリした味わいで、飲みやすくなっているという評価もありました。
旧タイプの「陸」は現在、通販などで手に入るようなので、飲み比べをしても、おもしろいでしょう。
まとめ
キリンウイスキー「陸」は2022年にリニューアルされ、ますます飲みやすいウイスキーへと進化しています。
富士山の大自然が生み出す水で造られた日本のウイスキー「陸」。
独自の製法により加水も少ないようで、筆者も飲んでみたくなりました。
あなたも、この記事を参考に「陸」の味わいの秘密を知っていただき、ぜひ実際に試してみてください。