「ローヤルサルート」は英国女王にささげられたスコッチウイスキーです。
21年以上の長期熟成されたウイスキーをブレンドして造られ、卓越したブレンド技術によって生み出された味わいはコンペティションでも高く評価されており、多くのウイスキーファンを魅了しています。
英国王室と深い結びつきのある「ローヤルサルート」の歴史や製法、ラインナップを紹介します。
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ウイスキー「ローヤルサルート」とは
「ローヤルサルート」は「シーバスリーガル」の製造を手がけるシーバス・ブラザーズ社によってスコットランドのスペイサイドで生まれました。
キーモルトは「シーバスリーガル」と同様のストラスアイラです。
「ローヤルサルート」は1953年にエリザベス女王の王位継承を讃えるために贈られ、以降、イギリス王室と関係の深いスコッチウイスキーとして知られています。
「ローヤルサルート」名前の由来
「ローヤルサルート」の名前は、1953年に行われた英国女王エリザベス2世の戴冠式で放たれる、21回の皇礼砲に由来します。
21回の皇礼砲とは英国王室への敬意を表する礼砲のことで、その皇礼砲を「ローヤルサルート」といいます。
印象的な磁器ボトル
「ローヤルサルート」は誕生から2020年代まで、印象的な磁器のボトルを使用しているのが印象的でした。
始めは緑色の磁器ボトルで、インド製ベルベットの手作りのポーチに収められていました。
また、初回生産分限定で王室紋章の特別使用がバッキンガム宮殿から許可されたといいます。
磁器ボトルの進化
「ローヤルサルート」は誕生以降、磁器ボトルのリニューアルを続けています。
エリザベス女王の王冠に装飾されている宝石を象徴したボトルカラーを取り入れ、形状の変更や紋章のデザイン変更を行い、現在のボトルデザインにたどり着きました。
2022年、SDGsの観点から磁器ボトルはリサイクル可能なガラスボトルへと進化を遂げます。
ガラスボトルへの移行により、1本のボトルパッケージングにおける二酸化炭素排出量を70%削減することに成功しました。
「ローヤルサルート」を造るストラスアイラ蒸留所
「ローヤルサルート」は、スコットランドの高地で最も古い現役蒸留所であるストラスアイラ蒸留所で造られたウイスキーを使用しています。
ストラスアイラ蒸留所は「シーバスリーガル」のキーモルトを製造している蒸留所としても知られています。
「シーバスリーガル」については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
「ローヤルサルート」の歴史
皇礼砲の名を冠した「ローヤルサルート」はどのようにして生まれたのでしょうか。
その歴史を紹介します。
エリザベス女王の戴冠式のために生まれたウイスキー
「ローヤルサルート」は1953年に行われた英国女王エリザベス2世の戴冠式で女王へ捧げるためのウイスキーとして生まれました。
王室の受け継がれる伝統にインスピレーションを受けた「ローヤルサルート」は、女王に相応しい完璧なブレンドウイスキーを目指して造られました。
英国王室との結びつき
「ローヤルサルート」は1953年に誕生以降、ロンドン塔で執り行われる皇礼砲式典のオフィシャルパートナーとなっています。
皇礼砲式典以外にも英国王室の重要な場面を記念する際に「ローヤルサルート」が使用されており、英国王室との結びつきは現在も続いているのです。
「ローヤルサルート」の製法
スコットランドで最も古いストラスアイラ蒸留所のウイスキーを使用し、完璧なブレンドを目指した「ローヤルサルート」の製法について解説します。
21年の長期熟成へのこだわり
「ローヤルサルート」は21回の皇礼砲にちなんで、熟成期間が21年以上の原酒のみを使用しています。
21年という熟成期間は非常に長く、他の蒸留所では瓶詰めの最後を飾る一滴になり得る原酒です。
しかし、「ローヤルサルート」にとっては21年が最も若い原酒であることから、「他のものが終わるところからローヤルサルートは始まる」といわれることもあります。
芸術的なブレンド技術
サンディ・ハイスロップ氏は「ローヤルサルート」の5代目マスターブレンダーであり、ブレンディングにおいて40年以上の経験を持っている伝説的な人物です。
2016年9月、サンディ・ハイスロップ氏はシーバス・ブラザーズ社の全ブレンデッドスコッチウイスキーのブレンディングディレクターに就任し、「ローヤルサルート」のブレンディングチームを率いています。
サンディ・ハイスロップ氏は、「ローヤルサルート」のマスターブレンダーが長年かけて作り上げた貴重なウイスキー原酒を、それぞれの特質を織り交ぜてブレンディングしています。
サンディ・ハイスロップ氏の持つ天性の才能から生まれる芸術的なブレンド技術が「ローヤルサルート」を造っているのです。
「ローヤルサルート」のラインナップ
21年以上熟成されたウイスキーを使用している「ローヤルサルート」には、どのような種類があるのでしょうか。
代表的なラインナップを紹介していきます。
ローヤルサルート 21年 シグネチャーブレンド
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
受賞歴 | ISC 2019 21年熟成以上のスコッチウイスキーブレンド部門 ダブルゴールド |
21年以上熟成された希少なモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたのが「ローヤルサルート 21年 シグネチャーブレンド」です。
エリザベス2世の王冠のサファイアを象徴したブルーの磁器ボトルを採用しています。
1953年のブランド誕生以来受け継がれている、なめらかでフルーティーな味わいです。
ローヤルサルート 21年 モルトブレンド
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
受賞歴 | ・ISC 2019 21年熟成以上のスコッチウイスキーブレンド部門 ゴールド ・WWA 2019 ベストスコッチブレンデッドモルト |
21年以上熟成の貴重なモルトウイスキーを21種類以上ブレンドした、ローヤルサルート史上初のブレンデッドモルトウイスキーが「ローヤルサルート 21年 モルトブレンド」です。
モルトウイスキーの個性が調和し、フルーティーでなめらか・リッチな舌触りと、熟したピーチを思わせる甘みが特長です。
エリザベス2世の王冠のエメラルドを象徴したグリーンの磁器ボトルを採用しています。
ローヤルサルート 21年 ブレンデッドグレーン
アルコール度数 | 46.5% |
容量 | 700mL |
主にアメリカンオーク樽で21年以上熟成したグレーンウイスキーをブレンドした、ローヤルサルート史上初となるブレンデッドグレーンウイスキーです。
クリーミーな舌触りと甘さが特長で、冷却ろ過を行わないノン・チルフィルタード製法(※)を採用し、原酒本来により近い味わいを楽しめます。
ノン・チルフィルタード製法とは
冷却ろ過を行わずに瓶詰めする製法で、原酒本来の味わいに近づける製法のこと。
シルバーに輝くコルクストッパーに、真っ白な磁器ボトルと冬の雪景色を現代的に描いた1本箱が美しいデザインです。
ローヤルサルート 21年【旧ボトル/赤・青・緑】
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
2019年に生産が終了した旧ボトルの「ローヤルサルート21年」は、今もなお人気の1本です。
旧ボトルは赤・青・緑のカラーがあり、それぞれルビー・サファイア・エメラルドの名前で親しまれていました。
卓越したブレンド技術で21年以上の長期熟成のウイスキーをブレンドした、フルーティーでなめらかな味わいです。
ローヤルサルート 21年 リチャード・クイン エディション
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
「ローヤルサルート21年 リチャード・クイン エディション」は限定ボトルで、エリザベス女王2世から「英国デザイン・クイーンエリザベス2世アワード」を直々に授与された英国の若き天才デザイナー、リチャード・クイン氏との特別なコラボレーションによって生まれました。
「ローヤルサルート」のマスターブレンダー、サンディ・ヒスロップ氏がリチャード・クイン氏の年齢に合わせた31種類の21年以上熟成されたモルトウイスキーとグレーンウイスキーを厳選してブレンドした特別な1本です。
ローヤルサルート 21年 ポロ エスタンシア
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
最高級のアルゼンチン産マルベックワイン樽で仕上げたブレンドが「ローヤルサルート 21年 ポロ エスタンシア」です。
アルゼンチンの太陽を思わせる深いテラコッタカラーが印象的な磁器ボトルには、ポロのシーンが描かれています。
ラズベリーとブラックベリーのリッチでフルーティーな香りに、シナモンやジンジャースイーツなどのスパイシーな味わいが楽しめます。
ローヤルサルート 26年 キングダムエディション スコティッシュオーク カスクフィニッシュ
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
「ローヤルサルート」の故郷であるスコットランドの歴史、伝統、雄大な風景に敬意を表したボトルが「ローヤルサルート26年 キングダムエディション スコティッシュオーク カスクフィニッシュ」です。
ローヤルサルートとしては初めて、バージンスコットランドオーク樽のみで仕上げています。
甘いフルーツやナッツ、トーストしたオークの香りと、驚くほど深みのある味わいです。
ローヤルサルート 38年 ストーン オブ ディスティニー
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
エリザベス女王2世の戴冠式にちなんだボトルの一つである「ローヤルサルート 38年 ストーン オブ ディスティニー」は英国王室の運命の石(※)をモチーフにしています。
運命の石とは
何世紀にもわたり、英国王と女王の戴冠式に使われてきた石のことをいいます。
38年間以上熟成された希少で高級なウイスキーをブレンドしており、成熟し、洗練された香りと深い味わいを持ったウイスキーです。
「ローヤルサルート」の評価
12年以上の長期熟成されたウイスキーをブレンドしているスコッチウイスキー「ローヤルサルート」ですが、巷ではどんな評価がされているのでしょうか。
「ローヤルサルート」のリアルな口コミを調査しました。
「ローヤルサルート」はスイスイと飲みやすいといった声があり、うまいという声が多かったです。
「ローヤルサルート」の余韻は、ウイスキー好きにも高評価のようです。
最後に
エリザベス女王2世の戴冠式のために生まれた「ローヤルサルート」は、その名の由来である皇礼砲の数と同じ21年という長期熟成のウイスキーを卓越した技術でブレンドしている、こだわり抜かれたウイスキーです。
英国王室の伝統と歴史への敬意が込められていた「ローヤルサルート」は現在も王室と深い関わりを持っており、王室の式典では目にすることがあるかもしれません。
「ローヤルサルート」はフルーティーでなめらかな味わいなので、ウイスキーが苦手でも美味しく飲めると好評です。
機会があれば、ぜひ試してみてください。