ジャパニーズウイスキーブームを引っ張っている大手メーカー、サントリー。
ジャパニーズウイスキー草創期から現在に至るまで、時代の変化や日本人の味覚に合わせてブレンディングを変え、品質の高いウイスキーを造り続けています。
そのサントリーが生み出した「サントリーウイスキー角瓶」(以下、「角瓶」とする)は、日本で長年愛され、今やコンビニ・スーパーなどで手軽に買えるほど市場に浸透していますね。
また、「角瓶」で作った「角ハイボール」はウイスキー人気の火付け役となり、今や多くの飲食店で目にします。
この記事では、そんな「角瓶」の魅力や歴史、製法をまとめました。
「角瓶」の特徴

「角瓶」は1937年に発売されたブレンデッドウイスキーで、国内のウイスキー市場でもっとも売れているロングセラー商品。
ハイボールにして飲むのが人気で、ビールのように気軽に楽しめるウイスキーです。
参考:https://www.suntory.co.jp/whisky/kakubin/kodawari/index.html
製法・味
「角瓶」には、山崎蒸溜所と白州蒸溜所のバーボン樽原酒がブレンドされています。
味は甘くて飲みやすくコクがあり、ハイボールや水割りにしてもウイスキーの風味が失われません。
後味はさっぱりとしていて、何杯でも飲めるおいしさです。
デザイン
ラベルの中央には、創業者・鳥井信治郎のサインが書かれています。
「角瓶」の瓶は薩摩切子(さつまきりこ)をほうふつとさせる亀甲(きっこう)模様で、日本らしいデザイン。
丸みのない角ばった瓶の形から「角瓶」と呼ばれています。
「角瓶」の種類
「角瓶」の現行品のほか、限定発売された復刻版や「白角」を紹介します。
サントリーウイスキー「角瓶」

アルコール度数 | 40% |
容量(瓶) | 180mL / 700mL |
容量(ペットボトル) | 1.92L / 2.7L / 4L / 5L※5Lペットボトルは飲食店限定 |
現在販売されている「角瓶」は、容量別で複数販売されています。
特徴的な瓶の「角瓶」は2種類、大容量のペットボトルは4種類あります。
「サントリーウイスキー 角瓶43度 復刻版450mL」

アルコール度数 | 43% |
容量 | 450mL |
2015年、「角瓶 復刻版」が限定発売されました。
初代の味わいを再現していて、現行品よりもアルコール度数が高く奥行きのある味わい。
写真を見ると、ボトルのデザインも現行品と違うことがわかります。
さらに、ラベルには「角瓶」リリース当時の社名「KOTOBUKIYA」の文字があり、ロゴも現行品とは違っていますね。
「サントリーウイスキー 白角」

アルコール度数 | 40% |
容量 | 700mL |
2022年、数量限定発売された「白角(しろかく)」です。
「白角」が誕生したのは1992年。
白州(はくしゅう)蒸溜所の原酒が主に使用されていて、クリアな味わいのすっきりしたウイスキーです。
ハイボールや水割りにすれば、さわやかな食中酒として楽しめます。
「角瓶」の歴史

「角瓶」が誕生するまで、サントリーは試行錯誤を繰り返しながらウイスキーを造ってきました。
サントリーが創業してから「角瓶」が生まれるまでの歴史を紹介します。
年表
- 1899年 鳥井信治郎氏が大阪市に「鳥井商店」を開業
- (1921年 「株式会社 寿屋」創立)
- 1907年 甘味葡萄酒「赤玉ポートワイン」発売
- 1923年 山崎蒸溜所の建設に着手しウイスキー造りを開始
- 1929年 「サントリーウイスキー白札」発売
- 1937年 「サントリーウイスキー角瓶」発売
サントリーがウイスキー造りを開始
サントリーの歴史は、1899年(明治32年)に鳥居信治郎が鳥居商店を創業したところから始まりました。
葡萄酒の製造販売を開始し、やがて1907年に発売した「赤玉ポートワイン」が大ヒット。
この売り上げで潤沢な資金を得た鳥居信治郎は、かねてより望んでいた国産の本格ウイスキー造りに乗り出します。
まず、スコットランドでウイスキー造りを学んだ竹鶴政孝を工場長に迎え入れ、山崎蒸溜所の建設に着手。
ウイスキー事業を本格的にスタートさせました。
国産初のウイスキー「白札」の失敗

写真提供:Whiskeen編集部 浅野まむ
1929年、満を持して初の国産ウイスキー「白札」が発売されます。
当時の価格は4円50銭で、当時の日本で流通していたスコッチと同程度。
現代の貨幣価値でいえば2万円弱という、とても高価なお酒でした。
この時代の一般的な家庭の月収入が45円〜50円程度なので、当時の販売価格は生活費の1割を占めるほどの金額であることがわかります。
参考:https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000221662
社運をかけて売り出した「白札」でしたが、市場評価を得られず失敗に終わります。
スモーキーな味やピート香が当時の日本人に受け入れられず、売り上げは伸び悩みました。
ヒット商品「角瓶」の誕生

写真提供:Whiskeen編集部 浅野まむ
「白札」の失敗にもめげず、鳥居氏は新たなウイスキーを造るべく奮闘します。
日本人に合うウイスキーを造ろうと、原酒の改良やブレンドの研究に打ち込み試行錯誤を繰り返しました。
そしてウイスキー造り開始から14年目、ついに鳥居氏が長年夢見ていた、日本人の繊細な味覚に合う豊かな香味のウイスキーが誕生。
1937年、「サントリーウイスキー12年」(現:角瓶)がリリースされました。
「サントリーウイスキー12年」にブレンドされていているのは、もちろん山崎蒸溜所の原酒です。
蒸溜所の創業から10年以上経過したことが功を奏し、しっかり熟成された原酒が「サントリーウイスキー」の味をまろやかに仕上げたのです。
「サントリーウイスキー12年」は、その角ばった瓶の形からいつしか「角瓶」の愛称で親しまれ、のちに正式な製品名として採用されました。
「角瓶」おすすめの飲み方3選

サントリー「角瓶」のおすすめの飲み方は、ハイボール、水割り、ロックの3つ。
詳しくご紹介します。
ウイスキーのその他の飲み方については、以下で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
ハイボール
「角瓶」は、何といってもハイボールがおすすめです。
ハイボールはソーダで割った飲み方で、「ウイスキーがお好きでしょ」のTVCMでおなじみです。
CMではさまざまな女優さんが女性店主を演じていますよね。
ちなみに2022年は、女優の井川遥さんがCM出演しています。
サントリーで推奨されているのハイボールのは、次のレシピです。
- レモンを少し絞る
- 氷を山盛りに入れる
- 「角瓶」の分量1に対し、強炭酸4を入れる
- マドラーでそーっと一回しする
料理にもよく合い、揚げ物から軽いおつまみまで一緒に楽しめます。
角ハイボール缶
「自分でハイボールを作るのは自信がない」という方は、サントリーから「角瓶」でできたハイボール缶も販売されていますので、ぜひ試してみてください。
角ハイボール缶

アルコール度数 | 7% |
容量 | 350mL / 500mL |
アルコール度数7%ですっきり爽快な味わいを楽しめます。
角ハイボール缶「濃いめ」

アルコール度数 | 9% |
容量 | 350mL / 500mL |
アルコール度数9%で、通常の「角ハイボール缶」よりも香りや味は濃いめです。
お店で飲むような本格的な味わいを楽しめます。

水割り

国産ウイスキーである「角瓶」は、水割りで飲むのもおすすめです。
水割りはマイルドで飲みやすく、食事によく合います。
基本比率は、「角瓶」の分量1に対して割り水2~2.5。
氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、水を注ぐ前によく混ぜましょう。
ウイスキーが氷で十分に冷えたら、水を注いで混ぜてください。
おいしい水割りが作れますよ。
ロック

グラスに角氷や丸氷を入れ、「角瓶」を注いで飲みます。
時間がたつと氷が徐々に溶け、カランという音が楽しめます。
最初の一口と最後の一口では濃さが違い、味わいが変化しますよ。
ウイスキーをじっくり楽しみたいときにおすすめの飲み方です。
最後に
角ハイボールで有名なロングセラー商品、「角瓶」を紹介しました。
「角瓶」はハイボールや水割りに向いており、日本人向けに作られているだけあって、和食ともよく合います。
「角瓶」をきっかけに、他のさまざまなジャパニーズウイスキーも楽しむのもおすすめですよ。
この記事を参考に、「角瓶」が誕生するまでの創業者の思いや情熱を感じながら、あなた好みの飲み方で「角瓶」を楽しんでみてください。