ウイスキーには、ストレートやロック以外にもさまざまな飲み方・割り方が存在します。
水を加えることで香りが甘くなるウイスキーもありますし、ジュースで割って各段に飲みやすくなるものもあります。
「ウイスキーを割るなんて…」と思う人もいるかもしれませんが、そのまま飲むだけがウイスキーの魅力ではありません。
これからご紹介するさまざまな飲み方で、ウイスキーをとことん楽しんでみてはいかがでしょうか。
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【プロ直伝】理想に近づくウイスキー、割り方の基本比率とは
ウイスキーを美味しく飲む割り方と基本比率をご紹介します。
ウイスキーは非常に繊細なので、割って飲む際は割り材とのバランスがとても重要。
比率を変えれば味わいも変わるので、その変化も楽しんでみてください。
水割りの場合
水割りは、水との割合が味の決め手。
水が多すぎるとぼんやりした味になりますし、少なければ風味のきついアンバランスな味になってしまいます。
基本比率は、ウイスキー1に対して割り水2~2.5。
これを基本にし、ベースのウイスキーの特性に合わせて水の量を調整しましょう。
美味しく作るコツは、水を注ぐ前にウイスキーと氷をよく混ぜることです。
ステアしてウイスキーを冷やし氷となじませてから、水を注ぎましょう。
少しずつ水を入れ、味を見ながら調整していきます。
ベースのウイスキーの香りが複雑である場合、水の量を少なめにしておきましょう。
水によって、香りのバランスが崩れる可能性があるからです。
水割りに向いているのは、優しい味のスコッチやジャパニーズウイスキー。
個性が強すぎない、マイルドで水との相性がよいウイスキーを選びましょう。
ハイボールの場合
のど越しのよいハイボールの基本比率は、ウイスキー1に対してソーダ3~4。
氷をたっぷり使い、グラスやウイスキーをしっかりと冷やすのが美味しく作るポイントです。
大きめのタンブラーに氷を詰めたら、ウイスキーを注いで軽くステア。
ウイスキーとグラスを冷やします。
それから静かにソーダを注ぎましょう。
ソーダはなるべく氷に当てないよう、静かに注ぐのがポイントです。
勢いよく注ぐと、ソーダの泡がつぶれて炭酸が抜けてしまいます。
マイルドな風味のウイスキーをベースにすると、飲みやすいハイボールが作れます。
逆にピーティでクセのあるウイスキーをベースにすれば、重厚で飲みごたえのあるハイボールが作れますよ。
ジュースで割る場合
ハイボール同様、ウイスキーと市販のジュースを1:3~4の割合で混ぜれば飲みやすいウイスキーカクテルが作れます。
「ジャック ダニエル」とコーラで作った「ジャックコーク」、ウイスキーとジンジャエールで作った「ジンジャーハイボール」などが有名ですね。
おすすめなのは、ハイボールにオレンジジュースを入れた「オレンジハイボール」。オレンジジュースは、ウイスキーと相性がよいのです。
おすすめの比率は、ウイスキー1、オレンジジュース1、ソーダ3の割合です。
他にも、果実から搾ったフレッシュジュースを使ったり、2種類以上のジュースを使ったりして、さまざまな組み合わせが楽しめます。
昔からあるカクテルレシピを参考にするのもよいですし、基本比率をおさえた上で好みのカクテルを創作するのも楽しいですよ。
ウイスキーの味の変化を楽しみましょう。
ウイスキーは割り方で香りが変わる不思議なお酒
ところで皆さんは初めてウイスキーを飲んだとき、どんな感想を持ちましたか?
苦い?
独特な香りがする?
そうなんです、特にウイスキーの代表格であるスコッチやジャパニーズは独特な香りがします。
それはグアイアコールが原因です。
不思議な香りといわれる原因の一つ「グアイアコール」とは
グアイアコールという言葉は、聞いたことのない方が大半だと思います。
グアイアコールとはウイスキーの香りを構成する成分の一つ。
スコッチやジャパニーズウイスキーを製造する際に使われるピート(泥炭と呼ばれる石炭の一種)由来の香気性物質で、いわゆるスモーキーと呼ばれる煙たい香りの元となります。、
このピートが使われているからこそ、スコッチやジャパニーズウイスキーの多くは、グアイアコールの独特のスモーキーな香りがするのです。
グアイアコールは、アルコール度数が59度以上になるとエタノールと結びついて香りを発しにくくなる特性があります。
度数が下がれば、グアイアコールは表面に集まります。
つまり、グアイアコールの含まれたウイスキーは、加水することで香りを感じやすくなるのです。
水などで割ってアルコール度数が下がれば、グアイアコール由来のスモーキーな香りが強まります。
代表的なウイスキーの割り方・飲み方11選
それでは、ウイスキーにはどんな割り方、飲み方があるのか見ていきましょう。
割り方や飲み方は、ウイスキーをダイレクトに味わえるストレート以外にもたくさんあります。
割り方によって、ウイスキーはさまざまな表情を見せてくれるのです。
ウイスキーの割り方・飲み方|ストレート
まずはなんといってもストレート。
ウイスキーそのものの味をしっかり楽しみたいなら、ストレートをおすすめします。
それは、ウイスキーの表情ともいえる香り、味、素材の風味を感じることができるからです。
そのまま飲むのが苦手な人は、ストレートの香りを楽しむだけでも面白いです。
ウイスキーの香りから風味を想像するのもウイスキーの楽しみ方の一つですので、ぜひお試しください。
ウイスキーは空気に触れると香りが少しずつ変化します。
ストレートをゆっくり味わえば、香りや余韻の変化を楽しむこともできますよ。
ウイスキーの割り方・飲み方|ハイボール
ハイボールはウイスキーの飲み方の一つで、知らない人はいないというほど有名ですね。
ウイスキーに炭酸を合わせたシンプルな飲み方です。
今では多くのお店で飲めるようになりました。
レモンなどの柑橘を搾って加え、さっぱりした飲み口にするのを好む人もいます。
炭酸水が加わることでのど越しも楽しめます。大勢の飲み会や、食前酒として楽しむには最高ですね。
また、銘柄によってはウイスキーの特徴的な香りが甘く変化するので、男性だけでなく、女性も飲みやすく感じるでしょう。
ウイスキーの割り方・飲み方|トワイスアップ
この飲み方を知っている人はウイスキーに通じている人ですね。
グラスにウイスキーを注いで、そのあとに同量の水を加える飲み方です。
氷は入れません。
ウイスキーの銘柄によっては、少量水を加えることで香りがパッと開くものもあります。
これは前述した通り、加水するとグアイアコールがウイスキーの表面に集まるからでしょう。
トワイスアップにして飲むことで、香りをぐっと強く感じられるはずです。
このときグラスの口がすぼんでいるストレート用のグラスを使用すると、ウイスキーの特徴的な香りを逃さず楽しむことができます。
香りが分かりやすくなるので、ウイスキー全般におすすめの飲み方です。
ウイスキーの割り方・飲み方|オン・ザ・ロック
インドに派遣された英国将校が始めた飲み方など、所説あるオン・ザ・ロック。
日本でも焼酎の飲み方として一般的です。
氷を使う意図は、ウイスキーをキンキンに冷やしてアルコール度数を和らげることにあります。
つまり、「ストレートでウイスキー自体の味を楽しみたいけど、そのままだとちょっとアルコールがきついなあ…」という人向けの飲み方です。
ですので、氷に求められる機能はウイスキーをよく冷やすことと、ウイスキーを薄めないことの2点。
締ウイスキーを薄めないよう、 溶けにくく締まった氷を使うことが大切です。
また、氷は空気に触れる面が大きいと溶けやすくなるので体積に対して表面積が小さい「球体」、いわゆる丸氷が用意できるとベストです。
バーテンダーがアイスピックで氷を丸く加工するのには、こうした理由があるのです。
また、氷とグラスの美しさを楽しめる側面もあります。
丸氷とウイスキーに合うオールドファッショングラスを探すのも楽しみの一つといえましょう。
ウイスキーの割り方・飲み方|ハーフロック
ハーフロックは、前述したオン・ザ・ロックに、ウイスキーと同量の水を加えた飲み方です。
ウイスキーと水の比率が、1:1になるようにしましょう。
オン・ザ・ロックは、ストレートで飲むとアルコール度数が強すぎる、かといって水割りでは物足りないという人におすすめの飲み方です。
美味しく作るコツは、氷の入ったグラスにウイスキーを入れたら一度混ぜることです。
ステアして、水を注ぐ前にウイスキーと氷をよくなじませましょう。
ウイスキーの温度をゆっくりと下げてから水を注いでもう一度混ぜれば、美味しいハーフロックの完成です。
ハーフロックは、ウイスキーを冷やしつつ香りを開き、それでいてストレートのような味わいを楽しめる飲み方です。
ウイスキーの割り方・飲み方|水割り
水割りは、日本特有のウイスキーの割り方です。
一部の富裕層の嗜好品だったウイスキーがここまで大衆文化に浸透したのは、この水割りという飲み方のおかげ。
日本人でも飲みやすく、かつ和食にもマッチする飲み方として提案されたのが、水割りなのです。
水割りは、ウイスキーを楽しみたいけど、お酒にあまり強くない人にぴったりの飲み方です。
アルコール度数が低くなるので飲みやすいですし、食事にも合います。
また、ビールと同じような感覚でゴクゴクとのどに流し込みたい人にもよいでしょう。
水は、ウイスキー1に対して2~2.5ほど入れるのがおすすめです。
水割りは一気に飲むと内臓が冷えてしまうので、少量にするか、温かい食べ物と合わせるようにしましょう。
内臓に負担がかからないようにするのが、二日酔いになりにくい飲み方です。
ウイスキーの割り方・飲み方|ウイスキーフロート
ウイスキーフロートとは、グラスに入った水にウイスキーをゆっくりと注ぎ、水の上にウイスキーの層を作るスタイルのこと。
混ぜずに飲むのが基本です。
作る際に注意したいのは「ゆっくり注ぐ」という1点。
水の上にウイスキーの層を浮かべてきれいにフロートさせるためには、慎重に注がなければなりません。
ウイスキーフロートは、水とウイスキーの比重差を利用した割り方です。
水の重さを1とすると、ウイスキーは0.92とわずかに軽く、その重さの差でウイスキーは水の上に浮くのです。
最初はウイスキーの味や香りを強く感じ、飲んでいくうちにウイスキーと水が混ざり合って風味が変化するのがウイスキーフロートのよさです。
初めはしっかり、後半はアルコール度数を抑えてすっきりと。
一杯でさまざまな濃度を楽しみたい人は、ウイスキーフロートがおすすめです。
ウイスキーの割り方・飲み方|ウイスキーミスト
ウイスキーミストとは、クラッシュドアイスで満たされたロックグラスにウイスキーを注ぐ飲み方です。
名前だけ見ると、どんなものか想像するのが難しいかもしれません。
ジムビーム(Jim Beam)のCMでは、女性タレントがウイスキーミストで飲んでいるシーンもありましたね。
あのCMを見れば、飲み方をイメージしやすいでしょう。
清涼感が楽しめる一杯です。
ミントや砂糖を入れて、ザクザクと混ぜるアレンジレシピもおすすめですよ。
ウイスキーの割り方・飲み方|ホットウイスキー
ウイスキーの隠れたポテンシャルを感じられるのがホットウイスキーです。
特に、冬場はおすすめ。
ウイスキーをお湯割りにすることで、香りが強まったり味わいが変わったりするので、その変化を楽しめる飲み方です。
サントリーのオールドが、CMでホットウイスキーをすすめています。
割り方としては、先にウイスキーを耐熱グラスに注ぎます。
それからウイスキーの2、3倍程度のお湯を注ぎます。
お湯が熱すぎると香りが飛んでしまう場合があるので、80度以下のお湯がよいでしょう。
焼酎お湯割りと同様の楽しみ方ができますが、本格焼酎の多くはアルコール度数が25度。
対してウイスキーは40度程度ありますので、焼酎お湯割りのように楽しみたいのであれば、ウイスキーに対するお湯の割合を多めにするとよいでしょう。
ウイスキーの割り方・飲み方|牛乳割り
ウイスキーのクセがどうしても苦手という人、甘いものが好きという人に一度試していただきたい割り方が牛乳割りです。
実はウイスキーと牛乳は相性がよく、古くからウイスキー×牛乳のカクテルレシピがあります。
バーボンに牛乳や生クリーム、砂糖などの甘味を加えれば「カウボーイ」、ウイスキー全般でいうなら、牛乳と砂糖で作る「ウイスキー・ミルクパンチ」も有名です。
ウイスキーの特徴的なクセが牛乳によって和らぎ、まろやかな味わいになります。
砂糖の他にはちみつで甘味を調整したり、シナモンやナツメグを振りかけたりするアレンジもよいですし、砂糖などの甘味を加えず、単に牛乳で割るだけでも十分美味しいですよ。
また、牛乳に含まれるアミノ酸がアルコールの分解を助けてくれるので、ウイスキー単体で飲むよりも二日酔いになりにくいです。
冬はホットミルクで割ると身体が温まります。
チョコレートなどの甘いものとの相性も抜群です。
ウイスキーの割り方・飲み方|アイリッシュ・コーヒー
アイリッシュ・コーヒーは、アイルランド発祥のホットカクテルで、ウイスキーのコーヒー割りのことです。
ベースにするウイスキーは、「ジェムソン」や「ブッシュミルズ」のようなアイリッシュウイスキー。
そこに、コーヒー・砂糖・生クリームを加えて作ります。
コーヒー豆は、ウイスキーの風味にマッチする深煎りを選びましょう。
またウイスキーの香りが引き立つよう、マイルドで優しい風味の豆を選ぶのもポイント。
ウイスキーの芳醇な香りとコーヒーのコクがマッチした深い味わいに、砂糖と生クリームのほどよい甘味が合わさった、コクと甘味を同時に楽しめる美味しいカクテルです。
コーヒーと、上に乗った白い生クリームのきれいなコントラストも、アイリッシュ・コーヒーの魅力です。ちなみにアイリッシュ・コーヒーは混ぜずに飲むのがおすすめ。
ついコーヒーとクリームを混ぜてしまいがちですが、まずは冷たいクリームに口をつけ、甘味を楽しみましょう。
次にコーヒーの熱さやコク、アイリッシュウイスキーの芳醇な香りを感じましょう。
冷と温、甘味と苦味、対照的な風味を一度に楽しめるのがアイリッシュ・コーヒーの醍醐味です。
それぞれが混ざり合っていくマリアージュをお試しあれ。
最後に
さて、これまでさまざまなウイスキーの飲み方をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
ウイスキーの飲み方が分からなくて、手を出しにくいと感じていていた人が、この記事を読んで少しでもハードルが下がったのであれば幸いです。
基礎知識があると、さらに理解が深まります。
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