世界でも珍しく温暖な気候の土地で造られる台湾ウイスキー「カバラン」。
スコッチやアメリカンウイスキーといった世界5大ウイスキーに比べると、まだ歴史も浅く、なじみがない方も多いかと思いますが、その味わいは高く評価されています。
「カバラン」のこだわりの製法や多彩なラインナップ、おすすめの飲み方を解説します。
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「カバラン」とは

世界のコンペティションで入賞し、近年注目を集めている「カバラン」の製造地や名前の由来、味わいについて解説します。
高く評価される一方で「まずい」とする意見があり、理由も調べました。
「カバラン」の製造地

「カバラン」の蒸留所は山と海が交わる台湾の蘭陽(らんよう)平野に位置しています。
蒸留所近くの山脈が育む澄んだ甘くやわらかな水と、太平洋から来る海風と潮気、亜熱帯季節風気候により、「カバラン」の味わいが生み出されているのです。
蒸留所の正式名称は「金車噶瑪蘭威士忌酒廠」で見学ツアーを実施しており、ホームページから予約可能です。
台湾に直接行くのが難しくても、ホームページの蒸留所バーチャルツアーで、「カバラン」の製造現場の一端を見ることができます。
参考:https://my.matterport.com/show/?m=AKiiN5d7T4P
「カバラン」名前の由来
「カバラン」とは蒸留所のある宜蘭(ぎらん/イーラン)の旧名です。
元は「平原の人」を意味する言葉であり、宜蘭の地を開拓した古代先住民たちを表しています。
開拓者精神が感じられる名前は、世界5大ウイスキーに続く、台湾ウイスキーの代表的な銘柄にぴったりです。
「カバラン」の味【まずいという噂を解説】
「カバラン」の味は、マンゴーといった南国を思わせるトロピカルフルーツにたとえて表現されます。
フルーティな味わいとなめらかな口当たりが飲みやすいと評価される一方、「まずい」とする意見もあります。
口コミを調べたところ、独特のフルーツの香りや甘みが得意ではない方が、人工的でおいしくないと感じている意見がありました。
また、「カバラン」は缶入りハイボールを出していますが、甘味料が入っているため、その甘さが苦手という感想から「まずい」という評価になっているようです。
「カバラン」の味わいや香りを楽しむなら、後述のおすすめの飲み方を試してみてください。
「カバラン」の歴史

浅い歴史の「カバラン」ですが、世界で認められる銘柄を造り出した興味深いストーリーがあります。
蒸留所設立から近年の受賞歴まで、「カバラン」の歴史をご紹介します。
台湾の飲料メーカーが運営する蒸留所
「カバラン」の蒸留所を設立したのは台湾の飲料メーカーで、飲料製造や酵母開発のノウハウはすでに持っていたようです。
歴史ある海外のウイスキー蒸留所を手本としており、スコットランドや日本への視察も行っています。
2006年、台湾で唯一、麦芽の粉砕・糖化・発酵・蒸留・熟成・ブレンドまでの一連の作業を行える蒸留所を設立しました。
温暖な気候でウイスキーの熟成が早く進むため、徹底した品質管理が行われています。
2008年には、初めての銘柄「カバラン クラシック シングルモルト ウイスキー」が発売されました。
世界での多数の受賞歴
2010年、イギリスで開催のバーンズナイト、ウイスキーブラインドテイスティング大会で「カバラン クラシック シングルモルトウイスキー」が優勝し、注目を集めています。
さらに新しい銘柄を発表し続け、2015年には「カバラン ソリスト ヴィーニョ バリック シングルカスクストングス」が、WWAで世界最高のシングルモルトに贈られるワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキーを受賞します。
(アジアパシフィック・ベスト・シングルモルト・ウイスキーも同時受賞)
続く2016年もWWAにてワールド・ベスト・シングルカスク・シングルモルト・ウイスキーを受賞し、2年連続で世界一の称号を得ました。
その後も、ウイスキーと蒸留所は世界のコンペティションで受賞を続けています。
歴史の浅いウイスキーながら、世界に大きなインパクトを与えたのが「カバラン」です。
「カバラン」のラインナップ

2008年の発売開始から、さまざまな銘柄を発表している「カバラン」は、熟成樽の違いを楽しめる銘柄を数多く取りそろえています。
「カバラン」のラインナップ、それぞれの特徴を解説します。
カバラン クラシック シングルモルトウイスキー

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
「カバラン」のスタンダードボトルです。
厳選されたバーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽で熟成されたウイスキーをブレンドしています。
マンゴーなどの南国のフルーツ、ハチミツ、ココナッツの甘み、バランスの取れたコクのある風味が味わえます。
受賞歴
・2010年 イギリスバーンズナイト ウイスキーブラインドテイスティング大会 優勝
・2014年 IWSCインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション ゴールドアウトスタンディング、ウイスキートロフィー受賞
・2020年 SFWSC ゴールドメダル

カバラン バーボンオーク シングルモルトウイスキー

・アルコール度数:46%
・容量:700mL
「カバランソリスト バーボンカスク」の原酒を、天然水を使用してアルコール度数46%に調整した銘柄です。
アルコールの刺激が抑えられ、飲みやすい口当たりが特徴。
トロピカルフルーツ、ココナッツ、バニラ、ウッドスパイスの香りが織り成す豊かで複雑な味わいです。
バーボン樽由来のバランスの取れた香りとまろやかさを楽しめます。

カバラン オロロソシェリーオーク シングルモルトウイスキー

・アルコール度数:46%
・容量:700mL
「カバランソリスト オロロソシェリーカスク」の原酒を使用したウイスキーです。
シェリー樽熟成による芳しい甘みと豊かな香りを楽しめます。
ドライフルーツ、ナッツ、香辛料の香りや、アーモンドの香りもほのかに感じられる味わいです。
受賞歴
・2020年 WWA カテゴリーチャンピオン、ゴールドメダル

カバランコンサートマスター ポートフィニッシュシングルモルトウイスキー

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
ポルトガルのポートワイン樽で熟成された原酒を使用したシングルモルトウイスキー。
イチゴやハチミツの香り、マシュマロのような風味で、コクと甘みの調和のとれた味わいが特徴です。
デザートとの相性が良い銘柄です。
受賞歴
・2022年 サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 金賞

カバランコンサートマスター シェリーフィニッシュシングルモルトウイスキー

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
原酒を、厳選されたスペインのシェリー樽に移して後熟させたシングルモルトウイスキーです。
甘くマイルドなバニラとタフィーの強い風味、フルーツの味わい、チョコレートやクレームブリュレの甘い風味が特徴です。
それぞれの風味のバランスがよく、滑らかな口当たりが楽しめます。
受賞歴
・2021年 サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 金賞

カバラン ディスティラリー セレクト No. 1

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
2018年に発売された「ディスティラリーセレクト」は、通常のボトルよりも購入しやすい価格帯のシリーズで、誰でも気軽に飲みやすいボトルです。
トロピカルフルーツの熟成した香りが特徴の、なめらかな風味、バランスの良い味わいが楽しめる銘柄です。
受賞歴
・2021年 サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 金賞

カバラン ディスティラリー セレクト No. 2

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
「ディスティラリー セレクト」の第二弾。
優雅で豊かな花の香り、マイルドな木の香り、清々しいハーブの香りが特徴です。
まろやかなバタースコッチ、バニラのような滑らかな口当たりが楽しめます。

カバラン トリプルシェリーカスク シングルモルトウイスキー

・アルコール度数:40%
・容量:700mL
「カスクユニオン」シリーズの銘柄で、オロロソ、ペドロヒメネス、モスカテルの3つのシェリー樽でそれぞれ熟成されたウイスキーを組み合わせたウイスキーです。
ペドロヒメネス、モスカテルは甘口のシェリー酒で、シェリー樽由来のドライフルーツの甘みを楽しめます。
芳醇な甘みの中にシナモンやクローブも感じられる、複雑な味わいが特徴です。
「カバランソリスト」のラインナップ

「ソリスト」シリーズは、全て冷却ろ過なし(ノンチルフィルタード)、加水無し(カスクストレングス)でボトリングされています。
熟成樽の特徴をダイレクトに感じられる、世界的にも評価の高いシリーズです。
特に、2015年に「カバラン ソリスト ヴィーニョ バリック シングルカスクストングス」がWWAで世界最高のシングルモルトに贈られるワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキーを受賞する快挙を成し遂げました。
続く2016年には、「バラン クラシック ソリスト アモンティリャード シェリーカスク ウイスキー カスクストレングス」が同賞を受賞し、2年連続での受賞を果たしました。
▼「カバランソリスト」シリーズ(※すべてシングルモルトウイスキー)
・ヴィーニョバリック カスクストレングス
・バーボンカスク カスクストレングス
・オロロソシェリーカスク カスクストレングス
・フィノシェリー カスク カスクストレングス
・ブランデーカスク カスクストレングス
・ポートカスク カスクストレングス
・アモンティリャードシェリーカスク カスクストレングス
・マンサニージャシェリーカスク カスクストレングス
・PXシェリーカスク カスクストレングス
・モスカテルシェリーカスク カスクストレングス

「カバラン 蒸留所限定品」のラインナップ

台湾の「カバラン」の蒸留所のみで購入できるシリーズで、カスクストレングスで仕上げられたシングルモルトウイスキーです。
台湾に出かけることがあったら、蒸留所見学と併せて楽しみたいですね。
・カバラン 蒸留所限定品 マデイラカスク
・カバラン 蒸留所限定品 ラムカスク
・カバラン 蒸留所限定モルト ピーティカスク
「カバラン 蒸留所トリビュート」のラインナップ

蒸留所のこだわりが表現された「蒸留所トリビュート」シリーズ。
特に「キング カー コンダクター シングルモルトウイスキー」は、蒸留所を運営する「金車」の企業名を冠した初めての銘柄です。
厳選された原酒の組み合わせが生み出す風味を楽しめます。
・カバラン ポディウム シングルモルトウイスキー
・キング カー コンダクター シングルモルトウイスキー


「カバラン」おすすめの飲み方

多くの銘柄をそろえている「カバラン」は、飲み方の工夫で食事やデザートにも合わせられる銘柄です。
「カバラン」のおすすめの飲み方と、それぞれの特徴をご紹介します。
カスクストレングスはストレートで
シェリー樽やバーボン樽など、熟成樽の特徴が出た銘柄が多い「カバラン」は、ストレートで飲めば味わいをダイレクトに楽しめます。
特に「ソリスト」シリーズなどのカスクストレングスで仕上げられた銘柄は、まずは加水などをせずストレートで味わってほしい銘柄です。
その後、ロック、水割りなどのアレンジで味の変化を楽しんでみましょう。
フルーティさを楽しむならハイボール
「カバラン」は、ハイボールにするとそのフルーティさをより楽しめます。
ウイスキー初心者の方や、フルーツの味わいが好きな方は、ハイボールを試してみてください。
まとめ

世界5大ウイスキーに続くウイスキー製造の地として、注目を集めている台湾。
その代表的なウイスキーが「カバラン」です。
温暖な気候を活かしたウイスキー造りを続け、数々の賞を短期間で受賞しています。
「カバラン」をそろえているバーなどもあるので、ぜひ樽による違いを飲み比べてみてください。