台湾で造られるウイスキーは、近年、世界中で注目されるようになりました。
とはいえ、まだまだ日本では台湾のウイスキーを飲んだことのある人は少ないはず。
そこで今回の記事では、おすすめの台湾ウイスキーをご紹介するとともに、味の特徴や歴史についても解説します。
台湾ウイスキーの魅力を知り、新たなウイスキー体験をするためにも、ぜひ最後までご覧ください。
台湾ウイスキーの2大ブランド

台湾には、現在「カバラン」と「オマー」という2つのウイスキーブランドがあります。
リリースされるウイスキーは世界的なコンペティションを軒並み受賞しており、世界的な認知度も増してきました。
どのようなブランドなのかを詳しく解説していきます。
カバラン
2005年に蒸留所が設立された、台湾を代表するウイスキー「カバラン」。
蒸留所名は、蒸留所がある地域「宜蘭(ギーラン)」の、かつての地名「カバラン」が語源です。
スコットランドと日本のウイスキー造りを参考にしており、自社蒸留所内で麦芽の粉砕・糖化・発酵・蒸留・熟成・ブレンドを行っています。
2008年に蒸留所初のリリースとなる「カバラン クラシック シングルモルト ウイスキー」が発売され、2011年にはWWA(World Whisky Awards)という世界的なコンペティションにて、カバラン蒸留所が年度ベスト人気蒸留所を受賞するまでに成長。
2015年には、WWAにて世界最高のシングルモルトウイスキーに贈られる賞「ワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキー」を受賞するに至りました。
さらに、2023年にはウイスキー マガジンが提供する「2023 Icons of Whisky Rest of World」コンテストにおいて「今年の蒸留所」に選ばれるなど、今となっては、世界中から注目されるウイスキーブランドの1つです。
オマー
ブランド名の「オマー」は、ゲール語で「琥珀」という意味です。
「オマー」を製造する南投酒工場は1978年に設立され、ビールやワインは生産していたものの、ウイスキーの蒸留は2008年から始まりました。
元国営企業のTTL(Taiwan Tobacco and Liquor Corporation)傘下の蒸留所で、30年間で培われたお酒づくりのノウハウを生かし、質の高いウイスキーを生産しています。
2013年に蒸留所初となるウイスキーをリリースし、翌年の2014年には国際的なコンペティションで数々の賞を受賞。
そこからは毎年欠かさずに受賞歴を増やしており、急成長を遂げました。
現在では、梅酒の樽やライチリキュールの樽を使って熟成したウイスキーを造るなど、他に類を見ないウイスキー造りが注目されています。
おすすめの台湾ウイスキー5選
ウイスキーの5大生産国(スコットランド・アイルランド・アメリカ・日本・カナダ)とは異なった、台湾ウイスキーならではの魅力が詰まったおすすめのウイスキーをご紹介します。
今回ご紹介するウイスキーは、すべてシングルモルトウイスキーです。
まだ台湾のウイスキーを飲んだことがなく、飲もうか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
カバラン ディスティラリーセレクト No.1

内容量 | 700mL |
度数 | 40% |
「カバラン」の中で、もっとも安価で入手しやすいのが「カバラン ディスティラリーセレクト No.1」です。
バニラやトロピカルフルーツのような甘さが強く、ほんのりビターなオーク香やスパイシーさも感じます。
香りや味わいはしっかりと厚みがあり、南国系の温かいニュアンスが感じられるウイスキーです。

カバラン クラシック シングルモルトウイスキー

内容量 | 700mL |
度数 | 40% |
「カバラン クラシック シングルモルトウイスキー」は、「カバラン」が初めてリリースしたウイスキーです。
バニラやトロピカルフルーツのような甘さと、チョコレートのようなコク、フローラルな風味、豊かなオーク香が感じられます。
非常にバランスのよい仕上がりで、「カバラン」の特徴的な味わいを知るためにも、必ず飲んでおきたいウイスキーです。

カバランソリスト ヴィーニョバリック カスクストレングス シングルモルトウイスキー

内容量 | 700mL |
度数 | 56%前後(リリースごとに変化) |
カスクストレングスの「ソリストシリーズ」の中でも、このウイスキーはワイン樽(ヴィーニョバリック)を使って熟成しているのが特徴です。
ワイン樽由来の芳醇な香り、チョコレートやドライフルーツのような甘さ、スパイシーな余韻があり、リッチで複雑な風味を感じます。
2015年のWWAにて世界一のシングルモルトに選ばれたウイスキーですので、台湾ウイスキーのポテンシャルの高さを感じたい方におすすめです。

オマー シングルモルトウイスキー バーボンタイプ

内容量 | 700mL |
度数 | 46% |
「オマー」の中でも、比較的安価で入手しやすいエントリーモデルとなるのが「オマー シングルモルトウイスキー バーボンタイプ」です。
バニラやハチミツのような甘さ、パイナップルのようなトロピカルで爽やかなフルーティさ、モルトの風味が感じられます。
先ほどご紹介した「カバラン」のウイスキーと比べると甘さは少し控えめで、シンプルかつバランスのとれた味わいです。

オマー カスクストレングス シングルモルトウイスキー ライチリキュールバレルフィニッシュ

内容量 | 700mL |
度数 | 55%前後(リリースごとに変化) |
バーボン樽で3〜4年熟成した後、「ライチリキュール」で使用した熟成樽で最後の熟成を行った、世界でも類を見ない珍しいウイスキーです。
ハチミツやモルトの甘み、トロピカルフルーツとライチの風味、しっかりしたオーク香、スパイシーな余韻を感じます。
3万円前後もするウイスキーですが、前例のないおもしろい味わいが楽しめるので、気になる方はぜひ一度飲んでみてください。
台湾ウイスキーの特徴
台湾で造られるウイスキーは、他の国で造られるウイスキーとは違う個性がはっきりと感じられます。
これは、台湾の温暖な気候がウイスキーの熟成に影響を及ぼしているからです。
台湾のウイスキーに共通する特徴にはどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
温暖な気候により熟成が早く進む
台湾の気候はスコットランドやアイルランドと違い、とても温暖です。
温暖な気候はウイスキーの熟成スピードを早め、樽から得られるフレーバーも強くなります。
そのせいか、渋味までは行きませんが樽香が強いのも特徴です。
筆者が台湾のウイスキーを飲んだときは、3年や4年程度の短熟の銘柄だとしても、スコッチでいう12年熟成かそれ以上の熟成感を感じました。
トロピカルなフルーティさがある
台湾のウイスキーに共通するフレーバーに、「トロピカルなフルーティさ」があります。
どの銘柄を飲んでもマンゴーやバナナ、パイナップルなどの南国系のフルーツの風味を感じるのが特徴です。
爽やかさというよりは甘さに寄ったフルーティさで、あたたかみのある味わいが楽しめます。
台湾ウイスキーのおすすめの飲み方

台湾のウイスキーは、他の国で造られるウイスキーとは違った個性があります。
その個性をはっきりと感じるためにも、まずはストレートで味わうのがおすすめです。
ロックや水割りにすると、酸味や樽香の渋味が立ってしまうものが多いため、人によって好みが分かれるなと感じました。
ソーダ割りはトロピカルなフルーティさとソーダの爽快感がマッチするため、比較的飲みやすい印象です。
まずは味わいがダイレクトに感じられるストレートで味わってみて、それから別の飲み方を試していきましょう。
台湾ウイスキーの歴史

台湾のウイスキーは、スコットランドやアイルランドなど、他の有名なウイスキー生産国と比べると、歴史が浅い点が特徴です。
そんな歴史の浅い台湾ウイスキーですが、どのようにして世界に認知されるようになったのか、詳しく解説していきます。
WTO(世界貿易機関)への加盟をきっかけにマーケットが拡大
2002年になるまでは、アルコールの生産は国営のタバコ・アルコールの製造業者「TTL(Taiwan Tobacco and Liquor Corporation)」が独占的に行っていました。
しかし、2002年に台湾がWTO(世界貿易機関)に加盟したのをきっかけに、アルコール市場の自由化が進みます。
そのタイミングで、食品・飲料メーカーの「金車(キングカー)」がウイスキー造りに乗り出し、2005年に「カバラン」を立ち上げました。
独占的な酒類販売の廃止によってマーケットが拡大し、これをきっかけに台湾のウイスキー産業が発展し始めます。
台湾がウイスキーの原産国であると世界的に認知され始める
台湾が世界中にウイスキー生産国だと認知され始めたのは、世界的に権威のあるウイスキー年鑑「モルト・ウイスキー・イヤー・ブック」の2010年版に、台湾がウイスキーの産地として掲載されたことがきっかけです。
「カバラン」初のウイスキーがリリースされたのは2008年で、2010年に至るまでに発売されたウイスキーは、たったの7つ。
2010年時点ではまだ「オマー」のウイスキーはリリースされていないため、「カバラン」の知名度だけで世界的なウイスキー生産国だと知らしめたことになります。
台湾ウイスキーが世界的に評価され始める
台湾のウイスキーが世界的に高い評価を得るのに、時間はかかりませんでした。
2014年に開催された国際的なウイスキーコンペティションにて、「カバラン」「オマー」両ブランドのウイスキーが受賞をしてからというもの、毎年のように輝かしい結果を残しています。
今までにリリースされた台湾ウイスキーの中で、コンペティションで受賞歴のないものはほとんどありません。
それだけ台湾で造られるウイスキーは質の高いものとなっています。
まとめ
日本ではまだまだマイナーな台湾ウイスキー。
しかし、世界的に見ると非常に高い評価を得ています。
独特なトロピカルなフルーティさと甘さは、飲む人を虜にする素晴らしい個性です。
この記事を読んだことをきっかけに、ぜひ一度台湾で造られるウイスキーを飲んでみてはいかがでしょうか。