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「グレンファークラス」の種類や味わい・おすすめの飲み方を解説

スコットランド・ハイランド地方スペイサイドに蒸留所を構える「グレンファークラス」。
ゲール語では、緑の草の生い茂る谷間という意味です。

伝統的な製法で造られる「グレンファークラス」の味わいは、世界中のウイスキーファンに愛されています。

そこで今回は「グレンファークラス」の種類や味わい・おすすめの飲み方について解説します。

この記事の監修者

いのかず

いのかず

バーテンダー歴6年。どこかのチーフバーテンダー。家でもお酒を楽しんでもらいたいという想いから、ウイスキーやカクテルに関するコンテンツをWebで発信。

「グレンファークラス」とは

「グレンファークラス」とはシェリーカスクにこだわるウイスキーとして、日本でも人気の銘柄です。

特に、「グレンファークラス105 カスクストレングス」は、イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーが愛飲していたことで知られています。

シェリーの甘さと上品なピートが特徴的な「グレンファークラス」の基本情報をまとめました。

種類シングルモルトウイスキー(スペイサイドモルト)
製造元J&Wグラント
輸入元ミリオン商事株式会社
蒸留所グレンファークラス蒸留所
蒸留所ホームページhttps://glenfarclas.com/

「グレンファークラス」の製造地

スコットランドのスペイサイドエリアに建つグレンファークラス蒸留所。
スぺイサイドエリアは気候と質の良い水に恵まれており、緑の草の生い茂る谷間という名前の由来通り、自然豊かな土地でウイスキーを造り続けています。

「グレンファークラス」の歴史

公式では1836年創業とされていますが、1791年に作成された絵画に蒸留所が描かれていることから、1836年以前から蒸留が行われていたと推測されます。

1865年6月8日、グレンファークラス近隣の農場主であったジョン・グラントが蒸留所を購入。

ここから家族経営の歴史が始まりました。

現代まで続く家族経営

グレンファークラスは今では非常に珍しい、家族経営を続ける蒸留所です。

波乱万丈な家族の歴史を紹介します。

最初に蒸留所を購入したジョン・グラントは、地元では有名な畜牛農家でした。
1889年に息子のジョージへ相続しましたが、相続されたジョージはすぐに他界。
蒸留所はジョージの息子、ジョージに引き継がれました。

同じ名前でややこしいですね。

1890年代、ジョージは、パティソンズ社と提携関係を結びます。
実はパティソンズ社、1900年代に起きたウイスキー不況の原因ともいわれる悪名高い会社だったのです。
(質の悪いウイスキーを高額で売るなどして、消費者がウイスキーに不信感を抱かせた)

結果、莫大な借金を負ってしまいましたが、ジョージとその兄弟は、15年の歳月を経てブランドの信頼を取り戻していきます。
この経験から、グラント家の独立精神(The Spirit of Independence)が誕生しました。

1950年代、ジョージは息子のジョージにオーナーを譲ります。
ジョージは、52年間オーナーとしてグレンファークラス蒸留所を守り続けました。
彼は自社ボトリングに力を入れ、1976年には蒸溜器を4基から6基に増やし、現在に至る生産体制を整えます。

現在は、ジョージの息子であるジョンが5代目オーナーに就任しています。

それにしても、 全員ジョージとジョンと同じ名前を継承しているのも、興味深いですね。

「グレンファークラス」の主な受賞歴

グレンファークラスは、蒸溜所および銘柄として数多くの受賞歴があります。

グレンファークラス蒸留所としての受賞歴

  • アイコンズ・オブ・ウイスキー2020スコットランド 年間最優秀蒸留所賞並びに年間最優秀生産マネージャー賞
  • アイコンズ・オブ・ウイスキー2023 スコティッシュ ディスティラー オブ ザ イヤー賞

「グレンファークラス」銘柄としての受賞歴

「グレンファークラス12年」

  • インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション 2010 金賞

「グレンファークラス15年」

  • 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020 金賞

「グレンファークラス21年」

  • インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション 2010 金賞

「グレンファークラス25年」

  • インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション 2010 金賞

「グレンファークラス105 カスクストレングス」

  • 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022 金賞

「グレンファークラス 185周年記念ボトル」

  • 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022 金賞

「グレンファークラス 1997 22年 ザ・ファミリーリザーブ」

  • 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020 最高金賞

「グレンファークラス」の製法

グレンファークラス蒸留所の仕込み水はスコットランド最高峰のベンリネス山から湧き出る良質な雪解け水を使用しています。

そのほか、こだわりの製法をご紹介します。

ガス直火炊きによる蒸留

昔から一貫してこだわり続けているのがガスバーナーによる直火炊き蒸留です。

ウイスキーの蒸留には、直火炊きと間接加熱の2種類あります。
直火炊きは熟練の技術が必要なため、現在では間接加熱が一般的です。
間接加熱のほうが効率や経費の面でメリットがありますが、「グレンファークラス」らしさを守るためにも、直火炊きによる蒸留を続けています。

こだわりのオロロソシェリー樽

直火炊き蒸溜と同等に強いこだわりを持つのが、シェリー樽での熟成です。
フィニッシュのみのシェリー樽熟成ではなく、100%シェリー樽熟成を行っています。

使用するシェリー樽はオロロソという種類。
香り高いという意味を持っていて、白ワインですが琥珀色から濃いマホガニー色をしています。
そのオロロソの空樽をスペインの生産者から購入。
初めてウイスキーを熟成する1stフィルから4stフィルまでの樽を使い分けて、さまざまな味わいを生み出しています。

ちなみに、「グレンファークラス」におけるシェリー樽の黄金構成比は

  • 1st&2stフィル:60%
  • 3st&4stフィル:40%

としています。

「グレンファークラス」の豊富なラインナップ

「グレンファークラス」が提供する、魅力的なウイスキーをご紹介します。

「グレンファークラス 8年」

グレンファークラス 8年のボトルとグラス
画像出典:twitter

アルコール度数:40%
容量700mL 

ドライでライトな味わいで、シェリー樽のほんのりとした甘さとナッツのような香ばしさを感じます。

「グレンファークラス10年」

アルコール度数:40%
容量700mL

ハチミツやバニラなど、柔らかな甘みの中にウイスキーらしいスモーキーフレーバーを感じます。

調和のとれた1本なので、ウイスキー初心者におすすめです。

「グレンファークラス12年」

アルコール度数:43%
容量700mL
インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション 2010 金賞

「グレンファークラス」らしさが堪能できる1本です。

濃厚なレーズンの甘味と芳醇な香りをしっかりと感じます。

黒糖のような深い甘さの中に感じるスパイシーさが絶妙なバランスです。

「グレンファークラス15年」

アルコール度数:46%
容量700mL
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020 金賞

アルコール度数が高く、しっかりとした飲みごたえを感じる1本です。

口に含んだとき、程よい渋みとチョコレートのような甘みがふわっと広がります。

リッチな余韻が長く続く、ウイスキー好きのためのウイスキーです。

「グレンファークラス17年」

グレンファークラス17年のボトル
画像出典:twitter

アルコール度数:43%
容量700mL

バニラやカスタードクリームのような甘く華やかな香りですが、意外に余韻はビター。
複雑な味わいが楽しめます。

「グレンファークラス 21年」※終売

グレンファークラス 21年のボトルとウイスキーロック
画像出典:twitter

アルコール度数:43%
容量700mL
インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション 2010 金賞

終売してしまった21年ボトルです。

エレガントでフルーティ。
オークのニュアンス、ナッツの香ばしさと、香りが複雑です。
口に含むと、コーヒーやビターチョコのほろ苦さと、ドライフルーツの甘みを感じます。

余韻が長く続き、長期熟成らしさを楽しめます。

「グレンファークラス25年」

グレンファークラス25年のボトルとグラス
画像出典:twitter

アルコール度数:43%
容量700mL

現在、公式サイトで取り扱っている中で、最長期熟成のボトルです。

オレンジやマーマレードのような軽やかさ、ハチミツ、ピートと長期熟成らしいまろやかさと樽由来のスパイシーさがバランスよく香り立ちます。
コーヒーやビターチョコレートの味わいが特徴的です。
食後のデザート酒としても、おすすめですよ。

「グレンファークラス50年」

アルコール度数:50%
容量700mL

2023年に数量限定で発売された、ぜいたくな50年ものの「グレンファークラス」。

5代目当主ジョン・グラントが、グラント家の経営参加50周年を記念してボトリングしたもので、グレンケアン・クリスタル社製のデキャンタに入っています。
発売当時の希望小売価格は何と165万円で、初回生産品はすぐに完売しました。

アーモンドや木、ダークチョコレートの香りがする、非常にリッチな味わいのウイスキーです。

「グレンファークラス105 カスクストレングス」

アルコール度数:60%
容量700mL/1000mL
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022 金賞

一般的にウイスキーの原酒はボトリングの際に加水され、一定のアルコール度数まで下げられます。
しかし、「グレンファークラス105 カスクストレングス」はあえて加水せず、原酒の味わいを楽しめるカスクストレングス製法でボトリングされています。
アルコール度数が高く、ガツンとした飲みごたえですが、その中になめらかさと温かみを感じられます。
シェリー樽の個性をそのまま味わえるので、シェリー樽ファンの方はぜひお試しください。

「グレンファークラス 30年 レッド・ドア」

アルコール度数:43%
容量700mL

重厚な赤い箱は、蒸留所のシンボルであるダンネージ式熟成庫の扉をモチーフにしています。

思わずため息が出るほど完成された、モルトとフルーティさが混然とした香り。
コニャックやブランデー、フルーツ、ナッツ、カラメルのような味わいと、鼻に抜ける焦がしたチョコレートのような余韻。

シェリー樽の良さ全てを感じられる1本です。

「グレンファークラス 40年 レッド・ドア」

アルコール度数:43%
容量700mL

甘くフルーティな香りと同時に、熟成年数に反するようなフレッシュな風味も持ち合わせています。
ダークチョコレート、レーズン、シェリーの風味で、非常にリッチな味わい。
特別な日に飲みたくなる1本です。

「グレンファークラス 185周年記念ボトル」

グレンファークラス 185周年記念ボトルとグラスに注がれたウイスキー
画像出典:twitter

アルコール度数:46%
容量700mL
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022 金賞

グレンファークラスの185周年を記念して作られた、記念ボトルです。
1960年以降の6つの年代から選りすぐった、シェリー樽をヴァッティングしています。

ドライフルーツや酸味、スパイシーな香りを感じます。味わいはベリーとビターなチョコレート、香ばしいコーヒー。
余韻はウッディさが心地よく続きます。

アニバーサリーボトルにふさわしい、調和の取れたおいしさです。

「グレンファークラス ヘリテージ」

グレンファークラス ヘリテージのボトルとグラスウイスキー
画像出典:twitter

アルコール度数:40%
容量700mL

8年未満のノンエイジボトルです。
3thフィル、4thフィルの樽を使用した原酒をメインに使用しているため、ライトな仕上がりです。

リンゴやレモンのようなフルーティな香り。
口に含むと麦芽由来の甘味を感じます。

「グレンファークラス ディケイズ」

アルコール度数:43%
容量700mL

「グレンファークラス ディケイズ」は、2023年発売の日本限定のウイスキーです。

熟成年数の異なる原酒をブレンドし、通常の「グレンファークラス」のラインナップとは違った味わい。
穏やかなアロマとフレッシュなリンゴの香りが特徴で、口に含むとシェリーの甘みを含んだやさしい味が広がります。

「グレンファークラス」おすすめの飲み方

シェリー樽熟成の「グレンファークラス」、おすすめの飲み方をご紹介します。

おすすすめはストレート

シェリー樽の特徴は濃厚で芳醇、甘みが強くフルーティな香りと味わいです。
その特徴を十分に味わうにはやはりストレートがおすすめです。

トワイスアップもおすすめ

加水することでスモーキーさが抑えられ、よりフルーティな香りが広がります。
アルコール度数が高く、舌に刺激を感じる場合はトワイスアップしてみてください。

余談ですが1976年、当時のオーナー、ジョージ・グラントは
「水割りで飲む人にはグレンファークラスは売らない」
という広告を出しています。
ブレンデッドウイスキーメーカーに原酒を供する一方で、未来を見据えてシングルモルトとして「グレンファークラス」というブランドを確立する狙いがあったようです。

現代のオーナー、ジョージ・グラントは

お好きな飲み方でどうぞ。ただし、苦痛じゃない飲み方でね。

と回答しているそうです。

あなたもお好きな飲み方を探してみてください。

「グレンファークラス」は700mLより1,000mLの方が安い?理由に迫る 

飛行機で輸入されるウイスキー

通販サイトでウイスキーを見ていると、700mLより1,000mLのほうが安く買える場合があります。
疑問に思った方もいるかもしれませんが、背景には輸入のルールが関係しているのです。

正規品と並行輸入品

ウイスキーに限らず、海外メーカーの品物が日本へ流通する際、「正規ルート」と「並行輸入ルート」と呼ばれる2つの経路があり、ルートによって名称が分れます。
一般的に、海外メーカーと直接契約している日本の正規代理店を通じて入荷された商品を「正規品」、正規店や正規代理店あるいはメーカーを通さずに仕入れた海外製品を「並行輸入品」と呼んでいます。
しかし、決して並行輸入品が偽物というわけではありません。
ウイスキーでは、1,000mL規格の商品は空港免税対象商品として並行輸入ルートで国内に流通します。
並行輸入品は仕入れ時の価格差があり、正規品のように定価販売に縛られず自由に価格設定ができるため、正規品より安い価格で購入できる傾向があります。

メリット・デメリット

「安いのであれば並行輸入品のほうが、お得では?」と感じるかもしれません。

しかし、並行輸入品にはデメリットも存在します。

  • 輸入前の品質確認や温度管理をしていない可能性がある
  • 箱やパッケージに傷がついている場合がある
  • 情報が英語のみの場合がある

代理店は日本に輸入するまでの間に品質が落ちないよう、徹底的に点検・管理しています。

一方、並行輸入品では、必ずしも管理しているかというと断言できません。
そのため、品質が落ちたウイスキーという可能性もあることを理解したうえで、並行輸入品を購入するようにしましょう。

最後に

家族経営というブランディングを活かした信頼と、幅広いラインナップで多くのウイスキーファンを魅了する「グレンファークラス」。
シェリー樽熟成のウイスキーを試したいが高価で迷っている、という方でも手の届きやすい価格設定もうれしいですね。

今後も、どのようなファミリーヒストリーが生まれるのか楽しみです。

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  • この記事を書いた人

ASUKA

本業はヨガインストラクター。 ウイスキー好きが高じてWhiskeen編集部の仲間入りを果たす。 アイラ系とシェリー樽系のどちらも大好き。

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