この記事の監修者
世界5大ウイスキーに続く新しい地域のウイスキーとして注目を集める、インディアンウイスキー。
インディアンウイスキーの代表的な銘柄として高く評価されているのが「ポール・ジョン」です。
「ポール・ジョン」の発祥やインド産の原料を活かした製法、銘柄、飲んだ人の評価をご紹介します。
ウイスキー「ポール・ジョン」とは
インド発のシングルモルトウイスキーである「ポール・ジョン」は大手酒造メーカーであるジョン・ディスティラリーズ社が製造しており、2012年に販売が開始されました。
「ポール・ジョン」の名前は、創業者のポール・P・ジョン氏に由来します。
日本では2017年に国分グループから発売が開始され、インド国内のみならず世界で注目を集めているシングルモルトの1つです。
インディアンウイスキーでは、「ポール・ジョン」の他に「アムルット」も有名です。
「ポール・ジョン」の発祥
インディアンウイスキーの「ポール・ジョン」がどのようにして生まれたのかご存じでしょうか。
創業者の思いや蒸留所についてご紹介します。
ジョン・ディスティラリーズ社が製造
「ポール・ジョン」は1992年創業のジョン・ディスティラリーズ社が製造しており、創業者はポール・P・ジョン氏です。
ジョン・ディスティラリーズ社はインドの生産量第4位の総合酒類メーカーで、ウイスキーの他にもブランデー、ラム、ワインを製造しています。
主力商品は「オリジナル チョイス」というモラセスのウイスキーで、年間1,100万ケースを超える売上を誇り、世界で最も売れているウイスキートップ10に入っています。
インディアンウイスキーは、原料にモラセスを使用するのが主流です。
モラセスとは
サトウキビ由来の廃糖蜜と呼ばれるもので、砂糖を精製する際に出る副産物。
ゴア蒸留所にて2009年に生産開始
「ポール・ジョン」は2009年に生産が開始され、2012年に発売されました(日本では2017年に発売開始)。
アラビア海に面したゴア蒸留所で生産されており、蒸留所はポール・P・ジョン氏の「世界に通用するウイスキーを造りたい」という思いのもと建設されました。
ポール・P・ジョン氏はウイスキー造りにあたり、マスター・ディスティラーのマイケル・ド・ソウザ氏とともにヨーロッパやイギリスの蒸留所を自ら見て回り、ウイスキー造りを研究。
そしてインド産の原料を使ったウイスキー造りが可能であることを知り、ウイスキー製造に乗り出しました。
「ポール・ジョン」の3つのこだわり
創業者ポール・P・ジョン氏はインド産のウイスキーを造るため、スコットランドなどのウイスキー産地で研究を重ねました。
その製法の3つのこだわりをご紹介します。
六条大麦を使用
「ポール・ジョン」には、インド産の「RS6」という品種の六条大麦が使用されています。
スコッチやアイリッシュ、ジャパニーズで一般的に使われている二条大麦との違いは、穂についている実の列数です。
穂を上から見ると六条大麦は6つ実がついているのに対し、二条大麦は2つになっています。
また、六条大麦は二条大麦に比べデンプンの含有量が少ないため、採れるアルコールも少量です。
その反面たんぱく質の含有量が多く、バターのような味わいを持つうま味成分が凝縮されたウイスキーを造ることが可能です。
ピートを輸入し独自で製麦
モルトを焚くピートはスコットランドからアイラ島産・東ハイランド産の2種類を輸入し、独自に製麦しています。
原料を輸入する場合、既に製麦されたピート麦芽を輸入する蒸留所が多いのですが、インド産の大麦を自社で製麦しているのが「ポール・ジョン」のこだわりです。
ポットスチルを特注
蒸留を行うポットスチルは、マイケル・ド・ソウザ氏が特注で作らせたものです。
首が長い形状をしており、原酒が銅に触れる面積が多くなるように作られており、これによりリッチでエレガントな風味が生み出されます。
このポットスチルで2回蒸留することにより、「ポール・ジョン」のニューメイクスピリッツが出来上がるのです。
「ポール・ジョン」のラインナップ
こだわりの原料、製法で造られる「ポール・ジョン」。
世界的なコンペティションでの受賞歴を持つ銘柄など、魅力的なラインナップをご紹介します。
ポール・ジョン ニルヴァーナ
アルコール度数:40%
容量:700mL
「ポール・ジョン ニルヴァーナ」はリッチな味わいが際立つ1品です。
蒸留所の建つゴア海岸を思わせるほのかな塩味とハチミツの味わい、フルーツケーキやキャラメルを感じる香りが特徴です。
ポール・ジョン ブリリアンス
アルコール度数:46%
容量:750mL
アメリカンオーク樽で熟成されたノンチルフィルタード、ノンピートの銘柄です。
ハチミツのなめらかな味わいとシナモンの穏やかなスパイシーさ、ココアのフレーバーを楽しめます。
世界で最も権威のあるウイスキー評論家のひとり、ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」にて94.5点を獲得した一本です。
ポール・ジョン エディテッド
アルコール度数:46%
容量:750mL
厳選された樽で熟成され、ノンチルフィルタードでボトリングされた一本。
ハチミツとココア、かすかなスモーキーさ、エスプレッソを感じる香りが特徴です。
草の香りのするフレーバーの後から徐々にかすかなピート香が現れてきます。
ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」にて96.5点を獲得、2017年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションにてダブルゴールドを受賞するなど、評価の高い銘柄です。
ポール・ジョン ボールド
アルコール度数:46%
容量:750mL
かすかなスモーキーさとマヌカハニー、バーボンを感じさせる香り、絹のようななめらかさと繊細なスパイスを感じる銘柄です。
ノンチルフィルタードでボトリングされています。
ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」にて95.5点を獲得した他、2017年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションにてダブルゴールドを受賞するなど、数々の受賞歴を誇ります。
ポール・ジョン クラシック
アルコール度数:55.2%
容量:700mL
厳選された樽で熟成され、ノンチルフィルタード、カスクストレングスでボトリングされた銘柄です。
フルーティーでモルトを感じる香りと、マヌカハニーの味わいに続き、トーストされたハニーコムの味わいに驚かされます。
ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」にて95点を獲得し評価されているウイスキーです。
ポール・ジョン ピーテッド
アルコール度数:55.5%
容量:700mL
スモーキーで甘く、土っぽい香りと芳醇なスパイス、黒砂糖とかんしょ糖(さとうきび由来の砂糖)のニュアンスのバランスの取れた味わいが特徴です。
フィニッシュはココアとマーマレードタルトを感じます。
厳選された樽で熟成され、ノンチルフィルタードで仕上げられています。
ジム・マーレーの著書「ウイスキー・バイブル」にて96点を獲得するなど評価の高い銘柄です。
ポール・ジョン カニャ
アルコール度数:50%
容量:700mL
「カニャ」はインドの星占いにおける星座の1つで乙女座に相当します。
名前に表されるようなフェミニンな味わいが特徴の銘柄です。
アメリカンホワイトオーク樽で7年熟成されており、トロピカルフルーツや柑橘系のスパイシーさ、クリーミーなバタースコッチの香りを感じます。
フィニッシュはトーストされた温かみのあるオーク、わずかな塩味です。
「ポール・ジョン」の評価は?口コミを調査
実際に「ポール・ジョン」を飲んだ人の評価はどのようになっているのでしょうか。
「まずい」というネガティブな評価、「うまい」というポジティブな評価をまとめます。
「まずい」という評価
「ポール・ジョン」を「まずい」とする意見はほとんどありませんでした。
最初はピリピリした感じで「おいしくない」と感じる人もいるようです。
「うまい」という評価
「うまい」「おいしい」と感じた意見は多く、香りや味わいが高く評価されていました。
ハチミツの甘味やスパイシーさなどのバランスの良さや、飲みやすさを気に入っている人も多く、「ポール・ジョン」をはじめとしたインディアンウイスキーに注目が集まっていることが分かります。
最後に
インド産の原料を使用することにこだわって造られた「ポール・ジョン」。
世界5大ウイスキーに続くウイスキーとして日本や世界で評価されている、インディアンウイスキーの代表的な銘柄です。
日本でも幅広いラインナップで販売されていますので、甘くバランスのよい味わいをぜひ楽しんでみてください。