突然ですがあなたに質問です。
Googleで「完璧すぎるウイスキー」と検索したら、一体何種類の銘柄が表示されると思いますか?
3、4種類の限られた銘柄が引っかかるでしょうか。
それとも、多くの銘柄が乱立しているのでしょうか。
正解は、たったひとつの銘柄しか出てきません。
その銘柄こそ、「グレンモーレンジィ」です。
この記事では「グレンモーレンジィ」の歴史や「完璧すぎる」と称される理由をご紹介します。
現在販売されている商品をわかりやすくジャンル分けもしていますので、ぜひご一読ください。
この記事の監修者
「グレンモーレンジィ」とは
「グレンモーレンジィ」は、スコットランド北部のハイランド地方にあるグレンモーレンジィ蒸留所が手掛けるシングルモルトウイスキーです。
柑橘系を思わせる華やかな香りとバランスの整った味わいは、ウイスキー初心者にもおすすめの一品。
グレンモーレンジィ蒸留所がある地域は北ハイランドと呼ばれ、グレンオード蒸留所、プルトニー蒸留所などのレベルの高い蒸留所が多くあります。
この地を代表するシングルモルトウイスキーのひとつとして、世界中で愛されているウイスキー、それが「グレンモーレンジィ」です。
「グレンモーレンジィ」の歴史
1843年、ウィリアム・マセソンは1700年代初頭に建てられた古いビール工場を買い取り、グレンモーレンジィ蒸留所を設立しました。
世界恐慌や第二次世界大戦といった歴史的要因を理由に、稼働停止時期もありましたが、徐々に規模を拡大し2004年にはLVMH(ルイ・ヴィトンや、モエ・エ・シャンドンを束ねるグループ企業)の傘下に入り、蒸留棟を増やしています。
2021年9月にはイノベーション蒸留施設「ライトハウス」を新設し、まだ誰も体験したことのない新しいウイスキーを追及しています。
「完璧すぎる」こだわり5点
グレンモーレンジィ蒸留所の“完璧すぎるウイスキー”の原料は全てスコットランド産にこだわっていますが、それ以外にも5つのこだわりがあります。
- 長すぎる蒸留器
- 特別な樽
- ウッドフィニッシュ
- 仕込みの水
- 世界屈指のウイスキー・クリエイター
こだわりをイメージしながら味を吟味するのも、ウイスキーの楽しみ方の一つではないでしょうか。
詳しく見てみましょう。
①長すぎる蒸留器
グレンモーレンジィ蒸留所で使用している蒸留器はスコットランドで一番背が高く、スチルの首の長さは5.14mもあります。
この長い蒸留器を導入した背景には、資金がなく、ジンを製造する蒸留器を中古で買うことしかできなかったという意外な理由がありました。
ですが、蒸留器のネックが長いため、蒸留器内で還流が起きやすく雑味の少ないピュアな蒸気のみを抽出できます。
さらに、銅との接触が多くなることで、硫化水素などの臭みも取れるため、ライトでピュアな「磨き上げられた原酒」を抽出できます。
長すぎる蒸留器が「グレンモーレンジィ」らしいクセのない味わいを作り出しています。
ウイスキーの製造方法についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
②特別な樽
グレンモーレンジィ蒸留所では樽に強いこだわりを持ってウイスキーを製造しています。
まずは原料となるホワイトオークの木を選ぶところから樽作りがスタートします。
2年間自然乾燥させた後、バーボンを詰め、余分なタンニンを抜いて、やっと樽が完成します。
このように、手間と時間がかかるバーボン樽は通常3回以上使用しますがグレンモーレンジィ蒸留所ではバーボン樽特有のバニラの香りを最大限に引き出すために、なんと2回しか使用しません。
このこだわりが、「グレンモーレンジィ」の滑らかな質感を作りだしているのです。
③ウッドフィニッシュ
昨今ではよく見かけるようになったウッドフィニッシュですが、「グレンモーレンジィ」は昔から積極的に行い、今では「ウッドフィニッシュのパイオニア」と呼ばれています。
ウッドフィニッシュとは、蒸留した原酒を樽で熟成させた後、違うお酒を熟成させていた樽に詰め替え、再度熟成をする製法のこと。
ウイスキーの品質は5〜7割が熟成中に決まります。
「グレンモーレンジィ」では、シェリー樽やマディラワイン樽、ポートワイン樽、ソーテルヌワイン樽などさまざまな樽で追熟を行い、新鮮な味わいや香りを生み出しているのです。
④仕込み水
一般的にウイスキーは軟水で仕込みますが「グレンモーレンジィ」では硬水を使って仕込んでいます。
メインは敷地内にある「ターロギーの泉」の湧き水で、硬水を使用することで酵母が活性化し、よりスイートでフルーティーな香りが引き出されるのです。
余談ですが、ジャパニーズウイスキーの「白州」は硬度30の南アルプスの水を使って仕込んでいます。
硬水仕込みと軟水仕込みのウイスキーを飲み比べてみても、楽しいかもしれません。
⑤世界屈指のウイスキー・クリエイター
今や「グレンモーレンジィの顔」といっても過言ではないのが、最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士です。
博士は生化学者としてのキャリアと持ち前の芸術性を活かし、革新的な味わいを追求し続けています。
アメリカで開かれるインターナショナル・ウイスキー・コンペティションでは、史上初となるマスターディスティラー・オブ・ザ・イヤーを4回受賞するなど、世界屈指のウイスキー・クリエイターとして注目されています。
「グレンモーレンジィ」が伝統を立ち止まらせない理由は、博士が常に挑戦し続けているからでしょう。
「グレンモーレンジィ」のラインナップ
「グレンモーレンジィ オリジナル 10年」
アルコール度数:40度
「グレンモーレンジィ」の代表作です。
グラスに注ぐと柑橘系の爽やかな香りが立ってきます。
複雑な香りは時間と共に変化するので、飲む前から楽しめます。
また、口に含むと舌触りが非常に滑らかです。バニラや蜂蜜のような甘さを感じられ、最後はレモンのような爽やかさが鼻から抜けていきます。
とにかくバランスが整った1本です。
ストレート、ロック、ハイボールとどんな飲み方でも美味しく飲めます。
自宅でフレッシュオレンジとジンジャーエールを加え、カクテルにするのもおすすめです。
「グレンモーレンジィ ラサンタ 12年 シェリーカスク」
アルコール度数:43度
バーボン樽で10年熟成の後、シェリー樽で2年間の追加熟成させています。
シェリー特有の甘さと、ナッツのようなコクのある香りが際立ちます。
フルボディな味わいですが、「グレンモーレンジィ」らしい、オレンジの風味を感じることができます。
スパイシーな風味とコク、そして甘さが、まさに完璧なバランスです。
ストレートでじっくりと味わうのがおすすめです。
「グレンモーレンジィ キンタ・ルバン 14年 ポートカスク ポートカクスフィニッシュ」
アルコール度数:46度
バーボン樽での熟成の後に、ルビーポートワイン樽で4年間追加熟成させています。
香りはベリー系のフルーツと、チョコレートのような甘い香り、そしてミントのような清涼感とさまざまな香りを楽しめますよ。
アプリコットやレーズンにチョコレートをかけたような甘みと、ワインのようなタンニンとスパイス感を感じさせる味わいの中には、舌に残るような甘さではなく最後はチョコミントのような爽やかさも感じます。
ぜいたくな味わいで余韻が長く続くためストレートで味わうのもおすすめですが、アルコール度数が高いため、ロックで味の変化を楽しみながら飲むのもおすすめです。
「グレンモーレンジィ 18年」
アルコール度数:43度
原酒を15年熟成させた後、一部をシェリー樽で3年間追熟させています。
プレゼントなどで喜ばれること間違いなしの1本です。
10年と比べより香りが複雑化し、ナッツのようなコクとバニラの香り、柑橘系や、パインのような南国フルーツの香りも感じられます。
味わいは、軽い感覚なのにトロっとクリーミーです。バニラや蜂蜜をかけたナッツのような甘さと香ばしさ、フルーツの爽やかさの後、スパイシーさがやってきます。
デザートのように甘いので、ストレートもしくは水割りがおすすめです。
「グレンモーレンジィ シグネット」
アルコール度数:46度
世界で初めてチョコレートモルトを使用したウイスキーで、滑らかな舌触りが上品な1本です。
チョコレートモルトとは、ローストしたモルトのこと。
「グレンモーレンジィ」が社を上げて長年研究し、ついに商品化されたプレミアムノンエイジウイスキーです。
コーヒーやオレンジ、チョコレートのような香りの中に、シナモンのようなスパイスを感じます。
カカオのような甘さ、そしてスパイスの香り、オレンジの爽やかさがバランスよく感じられる味わいです。
「グレンモーレンジィ シグネット」もストレートがおすすめです。
ビターチョコレートと合わせてお楽しみください。
「グレンモーレンジィ ネクター・ドールソーテルヌカスク」
アルコール度数:46度
世界三大貴腐ワインのひとつで、フランスのソーテルヌ地方でのみ育てられた貴腐ワイン(超甘口の白ワイン)の樽を使って熟成させています。
貴腐ワインは、ブドウ樹1本からグラス1杯分のワインしか作ることができないことや、手作業で収穫作業が行われることから、非常に貴重で高価なワインです。
ウイスキーをグラスに入れると、レモンのような香りがしますが、飲んでみると濃厚な甘みを感じます。
爽やかな香りが鼻に抜け、クリーミーな舌触りがリッチな気分にさせてくれます。
ストレートもいいですが、トワイスアップしてもらうと、より香りが引き立つのでおすすめです。
「エックス バイ グレンモーレンジィ」
アルコール度数:40度
ハイボール、ミキサー、カクテルなど何かをミックスすることを前提として作られた新しいシングルモルトで、洋ナシのようなみずみずしさとバニラの甘さがある香りが特徴的です。
そのまま飲むと甘みが強すぎてこのボトルの良さは感じられませんが、ハイボールにすると爽やかさと香りが増すため暑い夏にぴったりです。
また、公式HPにはさまざまなカクテルレシピも載っています。
ミントやオレンジなど、好きにアレンジできるのでパーティに持っていくと喜ばれるでしょう。
「グレンモーレンジィ フォレスト」
2023年2月15日(水)に発売された「物語シリーズ」。
2020年に「グレンモーレンジィ ケーク」、2022年に「グレンモーレンジィ ウィンター」などをリリースしており、今回はそれに続く物語シリーズの第3弾「グレンモーレンジィ フォレスト(森の物語)」です。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
「グレンモーレンジィ バレルセレクト パロ コルタド」
2023年5月24日に発売した「グレンモーレンジィ バレルセレクト パロコルタド」は、パロコルタドシェリーの樽で追加熟成させたシングルモルトです。
パロコルタドシェリーは偶然から生まれたといわれ、その樽は非常に入手困難。
そのシェリー樽に8年熟成のウイスキーを詰め、4年間熟成させています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「グレンモーレンジィ カドボール エステート 15年」
カドボール エステート シリーズの第3弾で、グレンモーレンジィの畑の大麦100%で造られたシングル エステート(単一農園) ウイスキーです。
収穫された大麦で造られたスピリッツをアメリカンオークのバーボン樽で熟成させ、アモンティリャードの樽で仕上げました。
クリーミーさにナッツのようなスパイシーさが味わえる「グレンモーレンジィ」です。
最後に
樽や素材、蒸留器へのこだわり、そして伝統を守りつつ前進を忘れないこだわり。
これらが全てそろっているからこそ、「グレンモーレンジィ」が完璧すぎると言われる理由なのでしょう。
スコットランドだけでなく、世界中で愛されるシングルモルト。あなたのお気に入りに加えてみてはいかがでしょうか。