広島県廿日市市産のジャパニーズウイスキー「戸河内」。
蒸留所は比較的新しいものの、製造するメーカーの歴史は古く、老舗の技術を活かした製法で造られています。
特徴ある製法や、豊富なラインナップ、実際に飲んだ方の意見をご紹介します。
この記事の監修者

広島のウイスキー「戸河内」とは

ウイスキー「戸河内」は広島県で製造されているジャパニーズウイスキーです。
戸河内とはかつて広島県の西部に存在した町の名前で、現在は広島にある安芸太田町の一部になっています。
「戸河内」のほかにもさまざまな酒を製造している桜尾蒸留所や、ユニークな貯蔵庫を紹介します。
桜尾蒸留所で製造
「戸河内」を販売する株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーはかつての中国醸造株式会社で、1918年の創業以来焼酎を製造してきた歴史ある酒造会社です。
広島県廿日市市にある桜尾蒸留所で製造されており、2017年竣工の桜尾蒸留所は豊かな自然に囲まれたエリアにあります。
桜尾蒸留所では「戸河内」の他、シングルモルトウイスキー「桜尾」やジン、梅酒、リキュールも製造されています。
蒸留所見学も受け付けていますので、近くに行くことがあったらぜひ立ち寄ってみてください。
参考:DISTILLERY TOUR | SAKURAO DISTILLERY
戸河内の貯蔵庫
桜尾蒸留所には、桜尾貯蔵庫の他に戸河内貯蔵庫があります。
戸河内貯蔵庫のユニークな点は、廃線となった鉄道用トンネルを利用しているところです。
戸河内貯蔵庫のトンネル内の気温は季節を問わず冷涼な気温が保たれており、年間を通して気温約15°C・湿度約80%に安定しているのが特徴です。
そのため熟成がゆっくり進み、気温差が大きく熟成が早く進む桜尾貯蔵庫の原酒との造り分けに一役買っています。
「戸河内」の製法

「戸河内」を製造する桜尾蒸留所の規模はコンパクトで、蒸留を行うスチルは1基しかありません。
しかしここで、モルトの粉砕から蒸留までの全工程を行っているのです。
スチルはアーノルド・ホルスタイン社製のハイブリッドスチルで、単式蒸留のポットスチルと連続式蒸留のコラムスチルが組み合わされています。
初留ではポットスチル部分のみを使い、約46時間かける再留ではポットスチルとコラムスチルを併用。
これにより甘みがあって飲みやすい原酒が生み出されています。
使用するモルトはすべてスコットランドから輸入しており、その約半分がノンピートで、残りがミディアムピートです。
シングルモルト「戸河内」のラインナップ

「戸河内」にはシングルモルトのシリーズと、ブレンデッドのシリーズがあります。
この章ではまずシングルモルトについて解説していきます。
G7サミットでも提供され海外の要人も楽しんだシングルモルト「戸河内」のラインナップを見ていきましょう。
シングルモルトジャパニーズウイスキー 戸河内

アルコール度数:43%
容量:700mL
戸河内トンネルの貯蔵庫で、バーボン樽で3年以上熟成した原酒を使用しています。
バニラ、りんご、マーマレード、メロンの甘くフルーティーな香り、軽快でスムースな口あたりとすっきりとした甘さのある味わい、爽快で穏やかかつキレのある余韻が特徴です。
同じ桜尾蒸留所のシングルモルト「桜尾」と共に、2023年5月に広島で開催されたG7サミットで各国首脳に振る舞われました。
シングルモルトジャパニーズウイスキー 戸河内 1st Release CASK STRENGTH

アルコール度数:52%
容量:700mL
飲食店向けに数量限定で発売された銘柄で、「シングルモルトジャパニーズウイスキー 桜尾 1st Release CASK STRENGTH」と同時に発売されました。
ゆっくりと熟成が進む貯蔵庫で静かに熟成を重ね、柔らかい甘みでスムースな口当たりが特徴のシングルモルトです。
加水せずにボトリングされており、その個性を最大限に楽しめます。
ブレンデッドウイスキー「戸河内」のラインナップ
「戸河内」にはブレンデッドウイスキーのラインナップもあります。
広島県の特産品の1つとして、ふるさと納税にも一部出品されています。
戸河内ジャパニーズブレンデッドウイスキー

アルコール度数:40%
容量:700mL、350mL、50mL
ピート香とバニラやチョコレート様の柔らかな甘みを持つモルトウイスキーと、複数のグレーンウイスキーをブレンドしています。
若々しく、甘いハニーナッツコーンフレークの香りに続くかすかなピート香、穀物や蜂蜜を感じさせる甘い味わいが特徴です。
広島県のふるさと納税で入手するのもおすすめです。

ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PREMIUM

アルコール度数:40%
容量:700mL、350mL、50mL
2023年9月1日よりリニューアル発売されたブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内です。
日本洋酒酒造組合が制定した「ジャパニーズウイスキー」の定義に準じており、フルーティーなアロマ・ウッディーな味わいが楽しめます。

戸河内ウイスキー 8年

アルコール度数:40%
容量:700mL、50mL
8年以上熟成させたスパイシーな柑橘系の香りを持つグレーン原酒と、適度なピート香とバニラやチョコレートのような柔らかな甘みを持つモルト原酒がブレンドされているウイスキーです。
すっきりドライな味わいで、スパイシーな香りと若草のような香りが特徴の銘柄です。
公式サイトでは終売と発表されています。
戸河内ウイスキー SAKE CASK FINISH

アルコール度数:40%
容量:700mL
「SAKE CASK FINISH」の後熟で使用されている樽は、白ワインの熟成に使用されたオーク樽で、一度自社醸造の純米酒を熟成した樽です。
白ワインや日本酒由来の軽やかなフルーツの香り、適度な酸味と黒糖のような甘みがバランスよく感じられるのが特徴のウイスキーです。

▼2023年9月1日より「ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 SAKE CASK FINISH」としてリニューアル発売されています。

戸河内ウイスキー BEER CASK FINISH

アルコール度数:40%
容量:700mL
「BEER CASK FINISH」の後熟に使用されている樽は、カリブ海のフランス領マルティニークでラムの熟成に10年使用されたオーク樽で、IPAビールに使用された樽です。
IPAビール由来のさわやかなホップの香りと苦み、ラム由来の蜂蜜の香り、焼きりんごのような甘みが楽しめる、甘みと苦みのバランスが良いウイスキーです。

▼2023年9月1日より「ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 BEER CASK FINISH」としてリニューアル発売されています。

ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内 PEATED CASK FINISH

アルコール度数:40%
容量:700mL
スモーキーなウイスキーが熟成されていた樽で後熟されているブレンデッドウイスキー。
ジャパニーズウイスキーの定義に準じて造られており、スモーキーな風味と香り、味わい深いコクが特徴です。

【広島限定】戸河内ウイスキー HIROSHIMA

アルコール度数:40%
容量:700mL
厳島神社の鳥居と舞楽があしらわれた箱が特徴の、広島県限定銘柄です。
広島のワイナリーで使用された赤ワイン樽で後熟させています。
赤ワイン由来のストロベリーの味わい、かすかなピート香、キャンディーや蜂蜜のような柔らかな甘みが特徴です。
▼広島県限定銘柄ですが、ふるさと納税で入手可能です。

「戸河内」の評判

シングルモルト、ブレンデッドと豊富なラインナップも魅力の「戸河内」。
実際に飲んだ方の評価はどうなっているのでしょうか?
「まずい」という意見、「うまい」という意見の両方をチェックし、その理由を分析してみました。
「まずい」という口コミ
「戸河内」についてのネガティブな口コミを調べたところ、味の薄さを理由に挙げていることが多いようです。
飲み比べや飲み方の工夫で、おいしく飲める銘柄を探すのも良さそうですね。
「うまい」という口コミ
「戸河内」を実際に飲んでおいしいと感じた方の口コミを見ると、まろやかな口当たりや飲みやすさが良いとしている意見が多くありました。
ハイボールでの爽やかさを評価している声や、ストレートでの香り・味を楽しんでいる声もあります。
いろいろな飲み方を試して、変化する味わいを楽しみたいですね。
まとめ

老舗酒造の技術を活かし、ユニークな製法で造られる「戸河内」。
G7サミットで振る舞われ世界から注目されるシングルモルトと、さまざまな熟成樽による味わいが楽しめるブレンデッドの2つのラインナップを揃えているのが魅力です。
爽やかで飲みやすい日本のウイスキーを、ぜひ飲み比べてみてください。