ジャパニーズウイスキーの人気により、店舗で見かけることが少なくなったサントリーの「山崎」。
インターネット通販で購入できますが、定価よりも高額であることがほとんどです。
人気の「山崎」を定価で買う方法はあるのか、Whiskeen編集部の専門家メンバーの経験も交えながら詳しく解説します。
この記事の監修者
大中 ヨシ
都内勤務のバーテンダー兼ウイスキー専門のwebライター。ウイスキープロフェッショナル資格所有。休日には蒸留所や温泉を巡っています。普段はジャパニーズやスコッチを愛飲。推し蒸留所はキルホーマンです。
ジャパニーズウイスキー「山崎」とは
「山崎」は、大阪府島本町にある「サントリー山崎蒸溜所」で造られるジャパニーズウイスキーのひとつ。
島本町はウイスキー造りに理想的な環境の蒸留所で、日本の四季が生み出した「山崎」は日本のみならず世界でも人気です。
2種類の発酵槽、複数の蒸留釜、ミズナラ樽をはじめ、さまざまな種類の熟成樽で造られる原酒が「山崎」の多彩な銘柄を作り出しています。
ノンエイジのシングルモルトから、長期熟成の銘柄まで人気を集める「山崎」。
本数限定で販売された50年や55年などの長期熟成のものは、オークションで高額落札されるなど、価格にも注目が集まっています。
価格高騰が続く「山崎」現在の価格
しばしば「高い」と話題になる「山崎」ですが、現時点で定価に対してどれくらいの値段で取引されているのでしょうか。
「山崎」の現在の価格
まず、各銘柄の希望小売価格と、販売価格の相場を表にまとめました。
銘柄 | 希望小売価格(税別) | 販売価格相場(税別) |
山崎ノンエイジ | 4,500円(700mL) | 1万5,000円前後 |
山崎10年 ※終売 | 4,000円(700mL) | 3万円~10万円前後 |
山崎12年 | 1万円 | 3万円前後 |
山崎18年 | 3万2,000円 | 11万円前後 |
山崎25年 | 16万円 | 120万~170万円前後 |
山崎35年 | 50万円※限定品 | 100万円~1,000万円前後 |
山崎50年 ※限定品 | 100万円 | 約5,700万円~ ※オークション落札価格 |
山崎55年 ※限定品 | 300万円 | 約8,515万円~ ※オークション落札価格 |
サントリーシングルモルトウイスキー 山崎
シングルモルトウイスキー「山崎35年」完売の御礼
サントリーシングルモルトウイスキー 「山崎50年(2011年)」限定発売
サントリーシングルモルトウイスキー「山崎55年」数量限定・抽選販売
35年、50年、55年の限定品は希望小売価格でも高めですが、実際の販売価格は桁違いの高額ですね。
その他の銘柄でも、希望小売価格の何倍もの価格になっていることがほとんどです。
また、終売になった「山崎10年」は、熟成期間の長い「山崎12年」よりも高い値段で販売されていることもあります。
販売情報を見つけても、気軽に買える価格ではなさそうですね。
「山崎」の価格の推移
「山崎」の価格は、どの銘柄も上がり続けていますが、原因はサントリーによる値上げです。
原酒不足などを理由に、2022年4月1日出荷分よりウイスキー31品目の値段が上がっています。
特に、2022年4月~7月で、各銘柄の価格が一気に変わりました。
それに伴って、市場での販売価格も上昇。
2021年末頃の価格と比べると約30%も値上がりしています。
参考:https://www.suntory.co.jp/news/article/mt_items/14030.pdf
価格高騰の大きな理由
「山崎」の値段が高くなっている理由は、限られた販売数と国内外での需要の高まりです。
- 原酒不足
- 国内外におけるウイスキーへの関心の高まり
それぞれについて見てみましょう。
原酒不足
1つは原酒の不足が原因です。
特に、長期熟成のウイスキーは数年で造れるものではないため、人気になって買いたい人が増えても、すぐに生産量を増やせるわけではありません。
安定した供給を目指すために販売数を減らしたことにより、プレミア化してしまいました。
国内外におけるウイスキーへの関心の高まり
もう1つはジャパニーズウイスキーへの関心の高まりです。
- サントリーが仕掛け人のハイボールブーム
- ドラマ「マッサン」によるウイスキーへの関心の高まり
などで、これまでウイスキーを飲まなかった人がウイスキーを知り、需要が高まったと考えられます。
また、「山崎12年」が世界的に権威のある酒類コンペティション ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で金賞を取ったことで国際的にも注目されるように。
結果、海外のオークションでも高額で取引されるようになりました。
「山崎」を定価で買う方法
高額で販売されている「山崎」ですが、定価で購入する方法はないのでしょうか。
Whiskeen編集部のメンバーの体験談も交えながら、定価で買う方法を解説します。
コンビニで「山崎」の180mLボトルを入手する
店頭で見ることが少なくなった「山崎」ですが、「山崎ノンエイジ」の180mLのミニボトルならコンビニで買えることがあります。
入手できた人たちの声をいくつか見てみたところ、販売価格はサントリーの希望小売価格1,250円とほぼ同じの場所もあれば、それ以下で販売している場所もあるようです。
700mLボトルの希望小売価格4,500円と比べても、割高ではありませんよね。
Whiskeen編集部にも、コンビニ限定「山崎」ミニボトル入手したメンバーがいます。
人気ですぐ売り切れてしまうことから常に店頭にあるとは限りませんが、比較的手に入れやすい方法です。
SNSで入荷情報がシェアされていることもあるので、気になる方はチェックしてみましょう。
参考:サントリーシングルモルトウイスキー 山崎 180ml瓶
新幹線の車内販売で「山崎12年」の50mLボトルを入手する
東海道新幹線の車内販売「山崎12年」の50mLボトルを入手できます。
SNSでも新幹線の車内販売で「山崎12年」のミニボトルを入手したとの投稿がありました。
車内販売の「ジェイアール東海パッセンジャーズ JRCP」の公式サイトでは、「山崎12年(氷と水または炭酸水付き)」で価格1,470円と記載されていました。
氷+水、もしくは炭酸水付きで定価よりも高額ですが、市場価格よりは安いといえます。
新幹線で移動の際は、購入してみてはいかがでしょうか。
デパートやディスカウントストア等の抽選に参加する
抽選に参加して手に入れる方法もあります。
以下のような場所では不定期で抽選を開催しており、当選すれば希望小売価格に近い値段で購入できる可能性がありますので、参考にしてみてください。
- 三越や伊勢丹、高島屋などのデパート
- 羽田空港の免税店
- ディスカウントストア
- 家電量販店
Whiskeen編集部にも、抽選に参加した経験があるメンバーがいますよ。
高島屋や小田急百貨店は、カードのメンバーのみ抽選に参加ができるとしています。
無料でつくれるカードもあるので、抽選に参加したい場合はカード会員になっておくのもいいですね。
Amazonなどネット通販で探す
Amazonをはじめネット通販で探すのも方法のひとつです。
通販サイトでは「山崎」の取引価格の激しい変動が想定できるため、タイミング次第では相場価格以下で購入できる可能性が残されています。
定価よりやや高い販売価格である確率があるものの、運次第では購入しやすい値段で手に入れられるかもしれません。
セットでお得に買う方法も
Amazonでは時々、他のウイスキーとのセット販売もあります。
世界のウイスキーや、日本のウイスキーの飲み比べをしたい方にはセット販売を狙うのもいかがでしょうか。
こまめにチェックし、好みのお酒がセットになった商品をさがしてみましょう。
ふるさと納税で入手する
「山崎」はふるさと納税でも入手できます。
サントリーの山崎蒸溜所がある大阪市島本町では、返礼品として「山崎ノンエイジ」および「山崎12年」が出されています。
寄付額とひと月あたりの受付本数は「山崎ノンエイジ」が25,000円で月10本、「山崎12年」が50,000円で月5本で競争率は高く、出品直後にかんばいになることもしばしば。
ただ控除の上限額以内であれば、1本あたり実質2,000円で手に入れることができるので、自分の限度額に余裕がある方は根気よくチェックしてみましょう。
参考:【ふるさとチョイス】島本町 - 大阪府|ふるさと納税で選べるお礼の品一覧
アプリやSNSで販売情報を手に入れる
ネット販売のサイトは多数あるため、自分で全てをチェックするのは大変です。
そんなときは、プレミアウイスキーの販売の開始をスマホに通知してくれるアプリが便利です。
アプリだけでなく、SNSなどでも販売情報をチェックできます。
ただし、販売開始されてから数十秒ほどで売り切れてしまうことが多いことを考慮しなければなりません。
中には自動購入ツールを使っている方も一定数もいるため、実際に買うのは難しい方法ではあります。
酒屋さんに通う
酒屋さんでも定価で購入できる場合があります。
ただし、入荷してすぐ売り切れてしまうため、店舗に何度も通ったり、お店の人と仲良くなったりして入荷情報をもらうなどの努力をしている方が多いようです。
酒屋さんのSNSで販売情報や抽選の情報を流していることもあるので、近所の酒屋さんがSNSをやっているかチェックするのもいいですね。
【おまけ】蒸留所の見学に参加する【当面は購入が困難】
2022年から、サントリーの山崎蒸溜所のガイドツアーが再開されました。
蒸留所のショップでは「山崎ノンエイジ」が定価で販売されていたことも。
午前中に行けば購入できる可能性が高いようです。
蒸留所まで足を運ぶ必要がありますが、製造工程の見学や試飲もできることから「山崎」についてより知識を深められます。
ウイスキーの楽しみが増えますね。
ただし、山崎ウイスキー館見学(無料・製造工程見学無し)の場合、2022年9月よりギフトショップにおける「シングルモルトウイスキー山崎 700ml」と「山崎蒸溜所限定ウイスキー」の販売が無期限で販売休止となったようです。
以前のように、蒸留所のショップで購入できるようになることを待ちたいですね。
「山崎」を定価で買うときの注意点
いくつかの方法で定価に近い価格で購入可能ですが、注意点もあります。
高額で取引されていることを利用した悪質な事例もあるので、気をつけましょう。
偽物が紛れている場合がある
オークションサイトで多いのが偽物の「山崎」です。
偽物は、ラベルやウイスキーの色合いなどが本物と微妙に異なるようですが、インターネットオークションでは写真で判断するしかありません。
本物との判別は難しく、商品が届いてから気付いても、出品者と連絡が取れなくなるなど悪質です。
「山崎」を手に入れたい気持ちもわかりますが、出品者の評価や出品実績をよく確認し、怪しい商品には入札しないようにしましょう。
労力がかかる
SNSなどのツールがあっても、情報を常に追いかけるのは根気がいります。
酒屋さんに通ったり抽選情報をチェックしたりなど、どの方法でも常にアンテナを張っていなければいけないのは変わりません。
やりすぎると気疲れしてしまいますから、「あればラッキー」という気持ちで探してみるのがいいかもしれませんね。
まとめ
国内外の人気から価格の高騰が続いている「山崎」は、びっくりするような高額で取引されていることもあります。
手に入りにくいウイスキーになってしまいましたが、定価に近い価格で購入する方法も存在するため、「山崎」がどうしても欲しい方は今回ご紹介の方法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
入手するためには根気がいることもありますが、国産ウイスキーを代表する銘柄はやはり飲みたいもの。
抽選などのチャンスがあれば、積極的に参加してみましょう。