ウイスキーと聞くと「大人のたしなみ」といったイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
ウイスキーにチャレンジしたいと思っても、初心者にとっては専門用語が多くてハードルが高いと感じているかもしれません。
安心してください。
ウイスキーのすべてを覚える必要はありません。
この記事では、初心者でも好みのウイスキーを見つけるためのポイントをわかりやすく解説しています。
また、初心者でも飲みやすいウイスキー10選をご紹介します。
本記事が、ウイスキーの魅力を知るきっかけになれば幸いです。
この記事の監修者

ウイスキー「基本のき」初心者が押さえておきたいポイント4つ

そもそもウイスキーとは、大麦などの穀物を発酵・蒸留してできた原酒を木樽で熟成させたお酒のことをいいます。
ウイスキーの個性は生産地や原料で大きく変化しますが、特に味の決め手となる4つのポイントがあります。
1.生産地
ウイスキーは、生産する土地の水や気候によって味や香りが変化するお酒です。
特に品質が高く、世界中から愛される5大ウイスキーの産地の特徴をかんたんに説明します。
より詳しく知りたい方は以下の記事で特集していますので、併せてご覧ください。
日本
日本産のウイスキーは「ジャパニーズウイスキー」と呼ばれます。
2000年代ごろから世界的に注目を集め、値段が高騰しています。
スコッチをお手本に製造されていて、スモーキーフレーバーを抑えた銘柄が多いのが特徴です。
スコットランド
スコットランド産のウイスキーは「スコッチウイスキー」と呼ばれています。
スコットランドはウイスキー造りに適した気候の国なので、100カ所以上の蒸留所が稼働しています。
スコッチの特徴は、各地域によってウイスキーの個性が大きく異なることです。
ハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラ、キャンベルタウン、アイランズと、地域別にジャンル分けされています。
山に囲まれた地域のウイスキーと、海に面した地域のウイスキーとを比べると、味の違いに驚くかもしれません。
初心者におすすめの生産地は、スペイサイド地方で造られるウイスキーです。
スペイサイドで造られたスコッチは華やかな香りと甘い飲み口でバランスが良いのが特徴です。
アイルランド
アイルランド産のウイスキーは「アイリッシュウイスキー」と呼ばれます。
アイリッシュウイスキーの歴史はとても古く、スコッチウイスキーと人気を二分していました。
しかし、アメリカの禁酒法や、アイルランド内戦などの政治的な理由で、次々と蒸留所が閉鎖。
そんな低迷した時代を乗り越え、近年では人気が再燃。
蒸留所は復活し、世界中でファンを増やしています。
全体的に酒質がライトで香りがフルーティ。
雑味が少なく、初心者におすすめです。
アメリカ
アメリカ産のウイスキーは「アメリカンウイスキー」と呼ばれます。
バーボンもアメリカンウイスキーの一種で、以下の条件を満たすものがバーボンと名乗れます。
- 原料にトウモロコシを51%以上使用
- アルコール度数80度以下で蒸留
- 内面を焦がしたホワイトオークの新樽に62.5度以下で樽詰めし熟成
バーボンと聞くと、飾り気のない無骨なイメージがあり、飲みにくいのではと想像する方も多いかもしれません。
実際は、初心者でも飲みやすく、バニラやカラメルのような甘い香りが特徴のアメリカンウイスキーもあります。
バーボン以外にも、ライ麦を原料とするライウイスキーや小麦を原料とするホイートウイスキーなど、大麦麦芽が主原料ではないウイスキーが多く、バリエーション豊かです。
カナダ
カナダ産のウイスキーは「カナディアンウイスキー」と呼ばれます。
トウモロコシなどが原料のベースウイスキーと、ライ麦や大麦麦芽などが原料のスパイシーなフレーバリングウイスキーをブレンドして造られています。
クセがなく、非常に飲みやすい銘柄が多いのが特徴です。
筆者の個人的な意見ですが、ハイボールにするなら一番相性がいいのがカナディアンウイスキーだと思っています。
日本人の舌に合わせた繊細な味わいのウイスキーが多く、ほんのり甘い香りが特徴です。
ウイスキー初心者や刺激的な食べ物が苦手な方におすすめです。
2.原料の種類
ウイスキーは使用する原料によって種類と名称が異なります。
すべてを覚える必要はありませんが、特徴を捉えると、味の全体像を想像しやすくなります。
モルトウイスキー
大麦麦芽を使って造られたウイスキーです。
モルトウイスキーと名乗るための定義は国によって異なり、スコットランドでは100%大麦麦芽を使用、アメリカでは大麦麦芽が51%以上使用されているウイスキーが、モルトウイスキーと定められています。
シングルモルトウイスキー
1つの蒸留所で造られたモルトウイスキーを瓶詰めしたものです。
単一の蒸留所で造られているため、銘柄によって味や香りが異なります。
蒸留所の個性がわかりやすい特徴があります。
ブレンデッドモルトウイスキー
複数の蒸留所で造られたモルトウイスキーの原酒を、ブレンドして瓶詰めしたものです。
異なる蒸留所の原酒を混ぜることでモルトの力強さを残しつつ、バランスのよい味わいに仕上がります。
参考に、以下の記事もご覧ください。
グレーンウイスキー
トウモロコシやライ麦、小麦などの穀類を原料としたウイスキーです。
また、連続蒸留機とよばれる機械で蒸留しています。
穏やかな味わいで風味は軽く、主にブレンド用の原酒として使われることが多いウイスキーです。
ブレンデッドウイスキー
数種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものです。
ブレンダーと呼ばれる職人がブレンドの比率を調整し、製品化されます。
ブレンダーのセンスが光る、洗練された味わいが特徴です。
3.ピートかノンピートか
ピートとは、植物が堆積し炭化した泥状の燃料のことです。
スコッチなどを造る際麦芽を乾燥させるときにピートを焚くと、原料に燻されたような風味が付きます。
クセが強く、人によっては香りがきつすぎると感じることも。
初心者の方は、ノンピートのウイスキーを選ぶほうが無難です。
4.飲み方
ウイスキーの代表的な飲み方を紹介します。
ストレート
個性が1番わかる飲み方です。
アルコール度数が高くて心配という方は、まずストレートで香りだけ楽しむ方法を試してみてください。
オン・ザ・ロック
氷でウイスキーを冷やす飲み方です。
冷やすことでアルコールの角が弱くなります。
溶けにくく、大きな氷で冷やすのがおすすめです。
水割り
日本で生まれた飲み方です。
アルコール度数が下がり、食事に合わせやすくなります。
ウイスキーの銘柄によっては、個性を感じにくくなるデメリットはありますが、まずは水割りから試して、気に入ればロックやストレートに挑戦してみるとよいでしょう。
ハイボール
今や生ビール同様、飲み会の定番となったハイボール。
炭酸と氷で割ることで飲みやすくなります。
初心者の方はまずハイボールで飲んでみることをおすすめします。
その他、意外なもので割った飲み方やウイスキーをおいしく飲む割り方や基本比率などを紹介している記事がありますので、こちらも一緒に読むと、さらに知識が深まります。
【初心者向け】知っているとかっこいいウイスキー用語

味や香りを表現する用語
ウイスキーを購入しようと、ネットなどで感想を調べてみるものの
「フルーティな香りの奥でウッディさを感じる」
「ブリニーでピーティ、通好み」
など書いてあり、まったく味が想像できないとなった経験はありませんか?
ウイスキーのフレーバーを表現する言葉はたくさんあり、初心者には呪文のように聞こえてしまうことも。
そこで、よく使われる単語を表にまとめました。
これだけ押さえておけば、味を想像しやすくなります。
単語 | 意味 |
フルーティ | フルーツのような香り |
エステリー | 華やかで甘い香り |
モルティ | 麦の香り/ビスケット |
ウッディ | 樽の香り/深い森林の香り |
ナッティ | ナッツのような香り |
オイリー | 舌触りのとろみ感、粘性 |
ピーティ | スモーキーで薬品のような香り |
ブリニー | 塩辛い味 |
初心者の方や、甘い飲み物がお好きな方は「フルーティ」「エステリー」と表現されているものを選ぶとよいでしょう。
また、おいしい・まずいで終わらずに、どんなところがおいしいと感じたのかやまずいと感じたのかを分析してみましょう。
例えば……
「おいしい」→「クッキーやビスケットみたい」→「モルティ」
「まずい」→「薬みたい」→「ピーティ」
言語化することで、自分の好みが明確になるのでおすすめです。
熟成樽に関する用語
ウイスキーの熟成に必要な木樽。
樽はウイスキーの味を決定するもっとも重要な要素といわれています。
最近は、熟成させたウイスキーをさらに別の樽に詰め替えた「ウッドフィニッシュ」と呼ばれる方法で熟成されるウイスキーも増えています。
代表的な樽の名前と特徴をまとめました。
樽の種類 | 香り・味の特徴 |
アメリカンオーク樽 | バニラやナッツ |
ヨーロピアンオーク樽 | ドライフルーツやシナモン |
ミズナラ樽 | 白檀や伽羅など、オリエンタルな香木 |
バーボン樽 | 華やかな木の香り、バニラ |
シェリー樽 | ドライフルーツ、強い果実香 |
ワイン樽 | ブドウの甘みと酸味 |
ビール樽 | ホップの風味 |
すべてがこの特徴に当てはまるわけではありませんが、おおまかに理解するとウイスキー選びが楽しくなりますよ。
初心者でも失敗しないウイスキー選びのコツとは

ウイスキーの原料や樽の知識が身についたところで、実際にウイスキーを選ぶ際の3つのコツを説明します。
1.原料
何を買えばいいのか見当もつかない場合は、ライ麦比率が高いか低いかという目線で選んでみることもおすすめです。
アメリカンなどライ麦が多いウイスキーは、スパイシーでややクセがあります。
以上を踏まえて、飲みやすさを求める方は、ライ麦比率の低いウイスキーやモルトのみのウイスキーから始めてみてはいかがでしょうか。
2.熟成樽
初心者の方には、甘口に仕上がるシェリー樽熟成のウイスキーがおすすめです。
また、甘口のワインを造った樽を使用したウイスキーもとても飲みやすいですよ。
3.熟成年数
樽での熟成年数が長いほど香りが強くなり、味わいが複雑に。
さらに、熟成を重ねるとアルコールのかどが取れ、まろやかで飲みやすくなります。
デメリットとしては、熟成年数が上がるほど値段は上がります。
いきなり1本購入するよりも、バーなどで注文するほうが試しやすいかもしれません。
なお、これは筆者の考えですが初心者こそ高級なものから飲んだほうがよいと思っています。
安過ぎるウイスキーの中には、アルコールのかどが立っていたり個性を強く感じたりするものもあり、最初に飲んでしまうと「こんな味か」と嫌いになってしまうかもしれないからです。
【初心者向け】飲みやすいウイスキーおすすめ10選
初心者の方向けに、飲みやすい10本の銘柄をセレクトしました。
ぜひ参考にしてみてください。
【スコッチ】ザ・グレンリベット 12年
アルコール度数:40%
シングルモルトウイスキーの入門といえば「ザ・グレンリベット 12年」です。
トロピカルで甘い香りと、バニラや蜂蜜のような甘い味わいで、とても飲みやすいウイスキーです。
余韻はすっきりとしていて、バランスのよい銘柄です。

【スコッチ】グレンフィディック12年
アルコール度数:40%
飲みやすいシングルモルトウイスキーです。
青りんごのような爽やかな香りが印象的ですが、後からほんのりとウッディな香りを感じられ、ウイスキーらしい複雑な味わいを楽しめます。
口当たりが優しく、万人受けする銘柄です。
【スコッチ】シーバスリーガル ミズナラ 12年
アルコール度数:40%
非常にバランスの良いブレンデッドウイスキーです。
フルーティさの中にも、シナモンのような香りを感じます。
舌触りが滑らかで、余韻としてほんのりとミズナラ樽の特徴が鼻に抜けてきます。
繊細な味わいで、刺激が苦手な方にもおすすめです。

【スコッチ】グレンモーレンジィ オリジナル
アルコール度数:40%
ハイランド地方のスコッチで、とても華やかなシングルモルトウイスキー「グレンモーレンジィ オリジナル」。
柑橘系のフルーティな香りが特徴です。
舌触りも非常に滑らか。
バニラや蜂蜜のような甘さを感じ、余韻はレモンのような爽やかさが残ります。
見た目もおしゃれで、女性に人気がある銘柄です。
【スコッチ】ザ・マッカラン シェリーオーク12年
アルコール度数:40%
「マッカラン」は、「シングルモルトのロールスロイス」と絶賛された、スペイサイド地方のスコッチウイスキーです。
シェリー樽熟成にこだわった蒸留所なので、『シェリー樽がどんな味なのか知りたい』と考えている方は「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」を飲んでみることをおすすめします。
ドライフルーツの香り、濃厚な甘さ、樽由来のスパイシーな余韻。
完成された味を体感してみてください。

【ジャパニーズ】フロム・ザ・バレル
アルコール度数:51%
マリッジという製法で造られたブレンデッドウイスキーです。
マリッジとはモルトとグレーンの原酒をかけ合わせた後、再度樽詰めして熟成させる方法です。
再度樽詰めをすることで、原酒同士がなじみ、バランスの取れた味わいへと変化します。
アルコール度数が高めですが、口当たりがやわらかいのが特徴的。
フルーティさとウッディさが混ざりあい、ふわっとやわらかく香ります。
ハイボールにしても負けないコクがあるので、ソーダで割って飲むのがおすすめです。
【ジャパニーズ】知多
アルコール度数:43%
珍しいシングルグレーンウイスキーです。
香りも味も柔らかな甘みが特徴です。
クセがなく、グレーンらしい軽い味わいが初心者にピッタリ。
【カナディアン】クラウンローヤル

アルコール度数:40%
リッチでまろやかなカナディアンブレンデッドウイスキー。
メロンのような甘い香りが特徴的です。
味わいは、ふっくらとした穀物のような甘さと香ばしさを感じます。
飲みやすいだけでなく、コスパがいいのもうれしいポイントですね。
【アイリッシュ】ジェムソン
アルコール度数:40%
禁酒法や世界大戦の影響からシェアを落とすも、復活をしてきたアイリッシュウイスキーからは「ジェムソン」を紹介します。
スムースな飲み心地と、オイリーな舌触りが特徴で、爽やかなフルーツの香りで、口に含むとナッツのような香ばしさを感じます。
ソーダ割りがおすすめですが、いい意味でクセがないので、さまざまなアレンジが楽しめます。

【バーボン】メーカーズマーク
アルコール度数:45%
バーボンの主原料はトウモロコシですが、それ以外の穀物はライ麦や大麦が使われています。
しかし「メーカーズマーク」はライ麦ではなく冬小麦を使用。
ライ麦の代わりに冬小麦を使うことでバーボン特有のスパイシーさが穏やかになり、初心者でも飲みやすい、まろやかでふっくらとした味わいに仕上がっています。
バニラやエステリーといった甘い香りが特徴的です。
ハイボールにすると、甘い香りが引き立ちます。
バーボンデビューに最適な銘柄です。

飲みやすさが増す、初心者向けウイスキーに合うおつまみ

上記で紹介したウイスキーの良さをより引き立てる、手軽なおつまみを紹介します。
ドライフルーツ
フルーティなウイスキーには、いちじくやレーズン、マンゴーやレモンなどのドライフルーツと合わせるのがおすすめです。
上記のウイスキーの中で合わせるなら以下の銘柄が挙げられます。
- 「グレンフィディック12年」
- 「グレンモーレンジィ オリジナル」など
バニラアイスクリーム
ウイスキーの甘い香りと、バニラアイスクリームは相性抜群。
ただし、バニラアイスクリームと合わせる際はハイボールより、ロックやストレートのほうがおすすめです。
バニラアイスクリームにウイスキーを直接かける方法もありますよ。
上記ウイスキーの中で合わせるなら以下で試してみてください。
- 「ザ・グレンリベット12年」
- 「メーカーズマーク」
- 「ローヤルクラウン」など
生チョコレート
口の中でとろける生チョコレートとウイスキーは相性抜群。
高いアルコール度数が由来のアルコールの角をチョコレートが和らげ、お互いが香りを引き立てあう名コンビです。
特に女性と一緒に飲む際は用意すると喜ばれますよ。
上記ウイスキーの中で合わせるなら「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」などで試してください。
高級ポテトチップス
最近コンビニでも普通のポテトチップスではなく、トリュフ塩やココナッツ塩などを使用した商品を見かけるようになりました。
ハイボールと高級ポテトチップスを組み合わせることで、家飲みがぐんと格上げされるのでおすすめです。
上記ウイスキーの中で合わせるなら以下の銘柄がおすすめです。
- 「ジェムソン」
- 「フロム・ザ・バレル」など
これら以外にもウイスキーと相性がいいおつまみはたくさんあります。
こちらの記事も併せて読んでみてください。
最後に
初心者におすすめの飲みやすいウイスキーをご紹介しました。
ウイスキーに関する情報もお伝えしましたが、実はあまり重要ではありません。
大切なのは、ウイスキーをおいしいと感じ、ウイスキーとともに過ごす時間を楽しいと思えるかどうかです。
あまり頭でっかちにならず、気軽にいろんな種類を試してみてください。
あなたの人生を彩るウイスキーと出会えるきっかけとなれば幸いです。