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スコッチ

注目の「グレンアラヒー」蒸留所のこだわりと多彩な銘柄【定価情報も】

近年注目を集める「グレンアラヒー」。
蒸留所はスコットランドのスペイサイド地方にあり、ブレンデッド用の原酒造りがメインでした。
他のウイスキーを影で支えてきた「グレンアラヒー」が、人気のスコッチウイスキーとなった秘密について迫ります。

この記事の監修者

大中 ヨシ

大中 ヨシ

都内勤務のバーテンダー兼ウイスキー専門のwebライター。ウイスキープロフェッショナル資格所有。休日には蒸留所や温泉を巡っています。普段はジャパニーズやスコッチを愛飲。推し蒸留所はキルホーマンです。

「グレンアラヒー」とは

「グレンアラヒー」は、スコッチウイスキーの聖地、スコットランドのスペイサイド地方で造られているウイスキーです。

「グレンアラヒー」はゲール語で「岩の谷」を意味しています。

もともと「マッキンレーズ」や「クランキャンベル」といったブレンデッド用のウイスキーを造っていましたが、2017年にビリー・ウォーカー氏が買収したのをきっかけに、シングルモルトの生産に力を入れています。

リッチな味わいを生み出す蒸留所と、その歴史を見ていきましょう。

「グレンアラヒー」製造場所

グレンアラヒー蒸留所は、スコットランドのスペイサイド地方の中心部、ベンリネス山の麓にあります。

ウイスキー造りを支える水は、蒸留所から3kmほどのところにある水源から直接引かれたものです。

蒸留所は、蒸留所建設の第一人者ウィリアム・デルメ・エヴァンス氏が最後に設計した蒸留所としても有名ですが、白塗りの外観が「無機質」と批評されたこともあったとか。

「グレンアラヒー」の歴史

グレンアラヒー蒸留所は、1967年にスコティッシュ・ニューカッスル社により建てられました。

その後1985年にインバーゴードン社に買収されるも、すぐに操業停止。
1989年にペルノリカール社に買収されます。
買収されてからは、約30年間ブレンデッドウイスキー用の原酒を製造していました。

大きな変化があったのは2017年。
ベンリアック・カンパニーの創業者であるビリー・ウォーカー氏が蒸留所を買い取りました。
ビリー・ウォーカー氏は、「グレンドロナック」「グレングラッサ」を人気銘柄にした立役者です。
1970年から続く原酒造りで使われていた、年代物の良質な樽ごと購入し、グレンアラヒー・コンソシアム社を設立。

以降は、積極的なシングルモルトの製造を行い、世界から注目される銘柄を送り出しています。

スペイサイドのシングルモルト「グレンアラヒー」の特徴3つ

ブレンデッドウイスキーの原酒製造から始まった「グレンアラヒー」。

他のスペイサイドのウイスキーと一線を画す理由を解説します。

蒸留所建設の第一人者による設計

蒸留所建設の第一人者ウィリアム・デルメ・エヴァンス氏が最後に建てたのが、グレンアラヒー蒸留所です。

白塗りで近代的なデザインの外観も特徴的ですが、特筆すべきは機能性です。
6基の発酵槽は、4基のポットスチルよりも高い位置にあり、重力に従って配置されています。
ウイスキー造りの工程に従って、原料やウイスキーが上から流れる仕組みになっているのです。

ポットスチルで気化した原酒は、横向きに設置された冷却クーラーによって冷やされます。
通常は縦に配置されるクーラーを横にすることにより銅に接する面が多くなり、発酵時の硫化物による臭いが、より取り除きやすくなります。

このようにグレンアラヒー蒸留所は、ウイスキー造りの効率性にこだわった設計になっているのです。

ヘビーな味わいを生み出す160時間の発酵

2017年のビリー・ウォーカー氏の買収後、シングルモルトの製造にあたっては生産量を400万Lから80万Lに落とし、より品質の高いウイスキー造りにフォーカスしていきます。
生産量を落とすことにより、さらに製造過程に時間をかけられるようにしたのです。

最も特徴的なのは、160時間にもおよぶ長時間の発酵でしょう。
長時間発酵により、ウイスキーにボディとフローラルな香りや味わいを与えることに成功しました。

原酒の作り分けによる多彩な銘柄

「グレンアラヒー」に使われる原料の大麦は、ピーテッドのものとノンピートのものを両方使用。
ピーテッドのものを15%使用することによって、よりリッチな味わいに仕上がります。

細かな樽の使い分けによる多彩な風味も、「グレンアラヒー」の特徴です。
ブレンデッドウイスキーの原酒造り時代の良質な樽を使い分け、さまざまな味わいのウイスキーを生み出しています。

また、樽詰めの時のアルコール度数も、以下の3通りあります。

  • 63.5%
  • 68%
  • 72%

代表的な「グレンアラヒー」のラインナップ

グラスの中のウイスキーが勢いよく飛び出す瞬間をとらえた写真

リッチで飲みごたえのあるスコッチウイスキーである「グレンアラヒー」の代表的な銘柄をご紹介します。

グレンアラヒー8年

アルコール度数:46%

ペドロ・ヒメネス、オロロソ・シェリーのパンチョン樽で熟成した原酒と、少量のオーク樽、赤ワイン樽熟成の原酒を合わせた8年熟成の銘柄。

蜂蜜、バタースコッチ、シナモンの香り、干しぶどうやハニーコム、少しペパーミントを感じる味が特徴です。

グレンアラヒー12年

アルコール度数:46%

バーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒を組み合わせた「12年」は「グレンアラヒー」のスタンダードボトル。

数々の賞を受賞した、ブランドを代表するボトルです。

レーズンのフルーティな香りと、オレンジの皮とモカ、ダークチョコレート、シナモンのスパイシーな味わいで、飲みごたえがあります。

グレンアラヒー15年

アルコール度数:46%

ペドロ・ヒメネス、オロロソ・シェリー樽で熟成した「15年」。

ダークチョコレートやイチジク、フルーツケーキ、シナモンの豊潤な香り、蜂蜜の甘さとスパイスを感じる味わいです。

グレンアラヒー18年

アルコール度数:46%

熟成年数18年以上の厳選したバーボン樽、シェリー樽の原酒を組み合わせた、フラッグシップボトル。

蜂蜜や黒砂糖、キャラメルや干しぶどうの香りと、フルーツケーキとバタースコッチ、オーク樽のスパイシーな味わいが特徴の銘柄です。

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グレンアラヒー25年

アルコール度数:48%

25年の長期熟成の銘柄で、飲みごたえのある1本。
ペドロ・ヒメネス、オロロソ・シェリー樽を使用しています。

マーマレードの甘さとスパイシーな香りのバランスが取れていて、干しぶどうとパイナップル、ダークチョコレートの味わいが特徴です。

グレンアラヒー10年 カスクストレングス

アルコール度数:56.8%

熟成樽からそのままボトリングされた、カスクストレングスの銘柄です。

2021年にワールド・ウイスキー・アワードのベスト・シングルモルトを受賞しています。

ペドロ・ヒメネス、オロロソ・シェリー樽の原酒に加え、スペインのリオハワインの樽で熟成した原酒を少量使用しています。

蜂蜜とドライフルーツ、オレンジピールの香り、シナモンやナツメグ、オレンジの皮の味わいが特徴的な10年熟成のシングルモルトです。

グレンアラヒー21年 カスクストレングス

アルコール度数:51.1%

1,600本限定でボトリングされた、ペドロ・ヒメネスのシェリー樽のカスクストレングス。ビリー・ウォーカー氏自ら50,000個もの樽から厳選し、造られています。

ココア、蜂蜜、オレンジピールの香り、フルーツケーキ、糖蜜、ダークチョコレートの甘みが、ジンジャーとオレンジの皮のフィニッシュへと続きます。

グレンアラヒー30年 カスクストレングス

アルコール度数:50.8%

ブレンデッドウイスキーの原酒造りをしていた頃のヴィンテージの樽から厳選された、30年の長期熟成銘柄です。
現在販売されているバッチナンバー2のものは、2,000本限定でボトリングされました。

蜂蜜やモカ、ドライフルーツの甘み、シナモンのスパイシーさと、ココナッツの香りが特徴的です。

「グレンアラヒー」のその他ラインナップ

「グレンアラヒー」には個性豊かな限定品も豊富にあります。

出合った方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

この章では、一部をご紹介します。

「グレンアラヒー」 ビリーウォーカー アニバーサリー シリーズ

2017年から「グレンアラヒー」を手がけている、ビリー・ウォーカー氏の50年のキャリアを記念して造られたシリーズです。
過去、現在、未来を象徴する3つのボトルは、それぞれ異なる樽で熟成されており、違った味わいを楽しめます。

  • Billy walker 50th Anniversary:Past Edition 100% シェリー マチュアード
  • Billy walker 50th Anniversary:Present Edition ミズナラ バージン オーク
  • Billy walker 50th Anniversary:Future Edition ピーテッド

「グレンアラヒー」シングルカスク シリーズ

英国限定のシングルカスクのシリーズです。
ボトルに記載されたナンバーは、グレンアラヒー蒸留所の豊富なストックから厳選された熟成樽の識別番号です。

  • 2012 CASK #806890 PEATED BOURBON BARREL
  • 2011 CASK #5368 TAWNY PORT HOGSHEAD
  • 2011 CASK #1036 PREMIER CRU CLASSÉ
  • 2006 CASK #3292 OLOROSO SHERRY BUTT

「グレンアラヒー」 バージンオーク シリーズ

新樽を使って仕上げの熟成を行ったバージンオーク シリーズです。

アメリカやヨーロッパ各地から厳選された樽の違いを、飲み比べてみてください。

  • 15YO SCOTTISH VIRGIN OAK
  • 12YO SPANISH VIRGIN OAK
  • 12YO FRENCH VIRGIN OAK
  • 12YO CHINQUAPIN VIRGIN OAK
  • 10YO CHINQUAPIN VIRGIN OAK
  • 10YO FRENCH VIRGIN OAK

「グレンアラヒー」 ワインカスク シリーズ

アメリカンオークのバーボン樽で熟成した後、ワイン樽で2年の追加熟成を行ったシリーズです。

グラッタマッコ、リオハ、ソーテルヌそれぞれのワインの特徴が楽しめる3本となっています。

  • 11YO GRATTAMACCO WINE CASK FINISH
  • 13YO RIOJA WINE CASK FINISH
  • 12YO SAUTERNES WINE CASK FINISH

「グレンアラヒー」 ウッドフィニッシュ シリーズ

アメリカンオーク樽での熟成の後、別のタイプの樽で仕上げられた試験的なシリーズ。
この仕上げの樽の種類によって、ウイスキーに違った香りと味わいがもたらされています。

  • 9YO RYE
  • 11YO MOSCATEL
  • 11YO PORT
  • 11YO PEDRO XIMÉNEZ
  • 12YO RUBY PORT
  • 13YO MADEIRA
  • 8YO KOVAL RYE QUARTER CASK
  • 10YO PORT
  • 12YO PEDRO XIMENEZ SHERRY
  • 14YO OLOROSO UK EXCLUSIVE

「グレンアラヒー」おすすめの飲み方

男性が3つのグラスにウイスキーを注いでいる

スペイサイドの中でもヘビーさが特徴の「グレンアラヒー」。
リッチな味わいを楽しむための、おすすめの飲み方をご紹介します。

「グレンアラヒー」はストレートがおすすめ

バタースコッチやシナモンをしっかり味わうためには、ストレートがおすすめです。

ハイボールやロックも良いですが、加水をするとえぐみや溶剤っぽさを感じるもいるようです。

初めて「グレンアラヒー」を飲むなら、特に完成度が高いと言われている「12年」、「15年」から試してみましょう。

「グレンアラヒー」が気に入ったら、限定シリーズや長期熟成ボトルの飲み比べも、ぜひ楽しんでみてください。

人気の「グレンアラヒー12年・15年」は品薄?定価で購入は可能か

アンティークな雰囲気のある木製テーブルにぽつんと置かれたウイスキー入りのグラス

近年注目を集める「グレンアラヒー」。
定価がいくらなのか、気になりますよね。

「グレンアラヒー」には定価がなく、オープン価格となっています。
オープン価格は、製造業者ではなく、小売業者が価格を決めるのが一般的です。

店舗や販売サイトによって価格は異なりますが、本記事では平均的な価格の推移を見てみましょう。

「グレンアラヒー」の価格推移

通販やオークションなどの一般的な販売価格の推移を見ていきましょう。

人気の「12年」、「15年」のデータを見ると、700mLのボトルがここ2年で1,000〜2,000円ほどの値上がりをしているようです。

2022年10月現在、「12年」は7,000〜8,000円ほど、「15年」は12,000円ほどとなっています。

歴史の浅い銘柄にもかかわらず値上がりをしているのは、やはり2017年のビリー・ウォーカー氏による買収で注目が集まっているからでしょう。

知る人ぞ知るウイスキーだった「グレンアラヒー」を、有名なシングルモルトに仕上げた彼の功績は大きいといえます。

まとめ

ガラスカットが美しいロックグラスのウイスキー

ブレンデッドウイスキーの原酒製造から、ビリー・ウォーカー氏の手によって注目されるシングルモルトウイスキーになった「グレンアラヒー」。
若い蒸留所ながら、多数のラインナップを揃えているのも魅力です。

異なる銘柄を飲む機会があれば、ぜひ飲み比べてみてください。

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  • この記事を書いた人

けい

Webライター/オンラインコーチングで活動中のノマドワーカー。海外旅行好きで旅行先のバーやレストラン巡りが趣味。ウイスキーは勉強中!ワイン、日本酒、ビールが好き。

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