ウィスキーの種類 ジャパニーズ

個性派ウイスキー「余市」ウイスキーの父が手がけたシングルモルト

強い個性を持ったシングルモルト「余市」。

同じく人気のジャパニーズウイスキー「山崎」や「白州」とはまた違った特徴を持ち、多くのファンを集めていますが、近年人気により品薄になっています。

「余市」の歴史から現在の販売状況まで、徹底解説します。

この記事の監修者

浅野まむ

浅野まむ

お酒とBarを愛しています。バーテンダー歴8年、現在ライター。ウィスキーエキスパート資格持ち。 1人で飲むのも、大勢で飲むのも、2人で飲むのも、なんでも好きです。

「余市」とは

「余市」は日本のウイスキーの父・竹鶴政孝が創業したニッカウヰスキーが手がける、世界でも人気のウイスキーです。
まずは、この個性あふれるシングルモルトの基本情報を見てみましょう。

「余市」の発祥の地

「余市」を製造する余市蒸溜所は、北海道余市町にあります。

日本海と自然あふれる山々に囲まれたこの土地は、創業者・竹鶴政孝がウイスキー造りを学んだスコットランドに似た環境です。
周囲の山の雪解け水が流れる余市川が、「余市」の仕込み水。
石狩平野では、麦芽の乾燥に使うピート(泥炭)や、蒸留に使う石炭が取れます。

ウイスキーの熟成がゆっくり進む寒冷な気候、樽を乾燥から守る湿潤で澄んだ空気がある余市町は、ウイスキー造りに適した場所なのです。

「余市」名前の由来

「余市」の名前は、蒸留所がある北海道余市町に由来しています。

竹鶴政孝はサントリーを退社した後、スコッチをお手本にしたウイスキー造りのために余市町の地を選びました。
スコットランドから持ち帰った知識で「本物のウイスキー造り」を目指し、彼はこの土地でウイスキー「余市」を生み出したのです。

「余市」の味

ウイスキー「余市」の特徴は、ピーティな香りと力強い味わいにあります。

これは、余市蒸溜所の周辺の気候や、製法により生み出されるものです。

同じく人気のジャパニーズウイスキーの中でも、「山崎」や「白州」はバランスの取れた味わいであるのに対して、「余市」は個性的なシングルモルトという違いがあります。

「余市」の歴史

日本のウイスキーの歴史で重要な存在である竹鶴政孝と余市蒸溜所。
昨今人気が高まるまで、「余市」が歩んできた歴史について解説します。

日本のウイスキーの父・竹鶴政孝

まずは、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝に触れていきます。

広島の酒造会社に生まれた竹鶴政孝は、ウイスキー造りを学ぶためにスコットランドに渡りました。
彼が学んだスペイサイド地域にあるロングモーン蒸留所は、小規模ながら質の高いウイスキーを造り続ける歴史ある蒸留所。
余市蒸溜所にあるラインアームが下向きのポットスチルは、ロングモーン蒸留所を参考に作られたそうです。

彼はロングモーン蒸留所での修行後、キャンベルタウンのヘーゼルバーン蒸留所でさらにウイスキー造りを学びます。
海の近くにあるヘーゼルバーン蒸留所の立地条件をもとに、余市蒸溜所の場所が選ばれました。

2つの蒸留所で学んだ技術を持ち帰った竹鶴政孝は、北海道で本格的なウイスキー造りを目指したのです。

余市蒸溜所の設立

日本に帰ってきた竹鶴は、サントリーの鳥井信治郎の誘いに応じ、山崎蒸溜所を設計。
サントリー退社後、スコットランドに似た寒冷で湿潤な気候である北海道余市町に蒸溜所を建設し、ニッカウヰスキーを創業します。
気候以外にも、港町で人材が確保しやすかったこと、資金源となったリンゴジュースが製造しやすいリンゴの産地であったことも、余市町の好条件でした。

ドラマによるブームで一時販売終了

連続ドラマ『マッサン』で竹鶴政孝の生涯や余市蒸溜所の建設のストーリーが世に広まると、「余市」を始めとする日本のウイスキーがブームになりました。
さらに、海外の品評会での受賞にも後押しされ、国内外からの需要が急増します。
需要が増えた結果、「余市」も一時は生産が追いつかない状態で、品薄になりました。
2015年には、熟成年数10年、12年、15年、20年の銘柄の販売を終了し、ノンエイジ商品のみをリリース。

ただし、「余市 10年」は、2022年に数量限定の再販が決まりました。

「余市」の製法

スコットランドで学んだウイスキー造りの技術を活かした「余市」の製造方法には、個性的な味わいを生み出す秘密があります。
余市蒸溜所ならではの製法について見てみましょう。

石炭による直火焚き

余市蒸溜所では竹鶴政孝がウイスキー造りを学んだロングモーン蒸留所にならい、石炭直火蒸留方式を採用。

蒸留に適切な火力を保つために石炭をくべ続ける作業は、ベテランの職人の技が必要であり、本場スコットランドでも現在は珍しくなっています。
それにもかかわらず、余市蒸溜所ではモルトの重厚でコクのある味わいや香ばしさを生み出すため、あえて石炭直火蒸留方式を取っているのです。
手間はかかっても、竹鶴政孝のウイスキーへの情熱を受け継いだ職人たちは石炭による直火焚きという方法を守り続けています。

しめ縄がかけられたポットスチル

余市蒸溜所のポットスチルは、下向きのアームを持つ単式蒸留タイプ。
アルコール以外の成分を含む蒸気を通しやすいポットスチルのため、風味豊かな力強い味わいのウイスキーになります。

なお、ポットスチルにはしめ縄がかけてあり、余市蒸溜所のシンボルです。

訪問も楽しめる余市蒸溜所

余市蒸溜所は一般客の訪問も受け付けています。
「余市」の味わいやラインナップはもちろん、蒸溜所そのものにも長い歴史があり、魅力的です。

蒸溜所の見学やミュージアムの情報をご紹介します。

ニッカミュージアム

2021年10月、旧ウイスキー博物館を改装してオープンしたのがニッカミュージアム。
余市蒸溜所でのウイスキーの製造工程や、代表的な銘柄に関する展示を通して、ニッカウヰスキーの魅力に触れられる施設です。
ブレンダーによるトーク映像も視聴できます。

さらにミュージアム内には、蒸溜所限定銘柄を含むウイスキーを有料で試飲できるコーナーもあります。

余市蒸溜所は見学もできる

蒸溜所の製造工場内も、一般客の見学ができます。
完全予約制のガイドツアーのみなので、ホームページから事前に申し込みましょう。

ガイドツアーは無料で参加でき、内容は約40分の蒸溜所見学と、約30分の試飲(1杯無料)や買い物です。

【アクセス情報】
・車:札幌から国道5号線を西に約50km、新千歳空港からは約2時間30分 
 ※車を運転する方はウイスキーの試飲はできません
・電車:JR余市駅から歩いて約2~3分
・バス:小樽駅前バスターミナルから「倶知安/岩内/美国/余別/余市梅川車庫行き」に乗り余市駅前で下車、約35分

「余市」のラインナップ

「余市」には、スタンダードなシングルモルトの他に、限定品やさまざまな樽を使って熟成したシリーズもあります。
それぞれの特徴や販売情報について解説しますので、購入時の参考にしてみてください。

シングルモルト余市

・アルコール度数:45%
・容量:700mL
・参考小売価格:4,500円(税別)

「余市」のスタンダードボトルで、熟成年数の記載がないノンエイジ商品です。

ピートの力強い味わいとスモーキーな余韻が特徴で、樽とフルーツの香り、麦芽の甘さも感じられます。

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シングルモルト 余市10年 ※2022年限定品

・アルコール度数:45%
・容量:700mL
・参考小売価格:8,000円(税別)

2015年に原酒不足により終売となった熟成年数表記のボトルですが、「シングルモルト 余市10年」が再販されることになりました。
北海道で先行販売され、2022年11月からは全国で9,000本の数量限定販売で、海外での販売も予定されています。

ウッディーで甘いオーク樽と熟したバナナのような香り、力強く複雑なモルトの香り、熟成を重ねた原酒の重厚な味わいが特徴です。

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シングルモルト余市 アロマティックイースト ※2022年限定品

・アルコール度数:48%
・容量:700mL
・参考小売価格:2万円(税別)

ウイスキーの多様性、奥深さを再発見する「NIKKA DISCOVERYシリーズ」の第2弾で、2022年9月に発売されたボトルです。
「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」との同時発売で、飲食店を中心とした業務用に販売

発酵工程で使用する酵母の違いによって生み出される香りに着目し、原酒の個性が引き出されています。
「余市」の力強い味わいを活かしつつ、リンゴやバナナのフルーティーな香り、吟醸香を思わせる洋梨の香りが重なったシングルモルトです。

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余市 モスカテルウッドフィニッシュ ※限定品

・アルコール度数:46%
・容量:700mL

2017年に3,500本限定で発売された銘柄です。
余市蒸溜所の原酒をポルトガル産モスカテル種の強化ワイン樽で約1年間追熟し、ノンチルフィルタードでボトリングしています。

ほのかなスモークとレーズンの香り、かりんとうのような甘さとオレンジを感じる味わいで、長いスモーキーな余韻があります。

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余市 ラムウッドフィニッシュ ※限定品

・アルコール度数:46%
・容量:750mL(米国)、700mL(欧州)

2017年に欧州・米国のみで3,500本限定で販売された商品です。

シングルモルト「余市」をラム樽で追加熟成させており、ラム由来のまろやかな甘みが特徴。
心地よいピートの香り、モルトの香ばしさ、オレンジやビターチョコレートの風味がバランスの良い銘柄です。

余市 マンサニーリャウッドフィニッシュ ※限定品

・アルコール度数:48%
・容量:700mL

2018年に限定リリースされたボトルで、マンサニーリャ樽で後熟したシングルモルトです。
マンサニーリャとは、スペインの海辺の町で造られる辛口シェリー酒。

ほんのりと感じる潮の香り、干しブドウやプラム、ハーブの香り、樽由来のウッディーでビターな味わいが特徴です。

余市 リミテッドエディション2019 ※限定品

・アルコール度数:48%
・容量:700mL

同じニッカウヰスキーのシングルモルト「宮城峡」の蒸溜所設立50周年を祝いリリースされたボトルです。
余市蒸溜所の1960年代・1970年代・1980年代・1990年代・2000年代のモルト原酒をヴァッティングして造られました。

ホットケーキやバニラの甘さ、磯を思わせるピート香、ダークチョコレート、香ばしい麦のコク、ピートのスモーキーさを感じる味わいに、ウッディーな余韻が続きます。

当初の販売価格は1本あたり30万円でしたが、現在は80〜90万円程度で販売されています。

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「余市」の蒸溜所限定ラインナップ

余市蒸溜所のみで購入できる限定銘柄。
「余市」の持つ特徴を際立たせた、実験的なラインナップです。

シングルモルト余市ウッディ&バニラ

・アルコール度数:55%
・容量:500mL

「ウッディ&バニラ」は、樽由来のウッディーさを前面に押し出しているボトルです。

バニラの香りと新樽から来るフレッシュな木材の香り、カカオ、ブドウの皮のような渋みも感じられます。

シングルモルト余市シェリー&スウィート

・アルコール度数:55%
・容量:500mL

「余市」原酒の中で、シェリー樽で熟成させた原酒の比率を多くヴァッティングしたボトルです。

シェリー樽由来のブラックベリーやドライラズベリーの酸味、レーズンやクッキーの甘みを感じられます。

シングルモルト余市ピーティ&ソルティ

・アルコール度数:55%
・容量:500mL

「余市」の特徴でもあるピート感、塩気が特に強く出ている原酒を多くヴァッティングしているボトル。

アルコールの風味が強く、とてもドライで厚みのある味わい、甘じょっぱさのある銘柄です。

終売となった「余市」の銘柄

ジャパニーズウイスキーの人気により、原酒不足のため販売終了となった銘柄があります。

2015年までは熟成年数10年、12年、15年、20年の熟成年数表記の銘柄がありましたが、現在は表記なしの銘柄のみの販売となっています。

【終売となった「余市」の銘柄】

  • シングルモルト 余市10年 ※終売後、2022年11月に数量限定で再販
  • シングルカスク 余市10年
  • シングルモルト 余市12年
  • シングルモルト 余市15年
  • シングルモルト 余市20年
  • シングルモルト 余市ノンピーテッド

「余市」のおすすめの飲み方

個性豊かなシングルモルト「余市」を楽しむための、おすすめの飲み方をご紹介します。

おすすめはストレート

力強い味わいを楽しむために、まずはストレートで味わってみてください。
スコッチを手本にしつつ、日本で進化してきた「余市」は、スコットランドのピートとはまた違う、スモーキーで個性的な味わいです。
ストレートで飲む場合、スモークした肉などウイスキーに負けない風味の料理と相性よく味わえるので、試してみてください。

ハイボールは魚介類にも合う

「余市」はハイボールにしてもおいしく味わえます。

ブラックニッカのハイボールに「余市」を少しフロートする「余市 フロート・ハイボール」がおすすめ。

ハイボールはピートの香りが穏やかになるため食事にもよく合い、特に貝類、刺身などの鮮魚との相性抜群です。
ワサビにも合うため、寿司と一緒に楽しむのもよいですね。

「余市」はまずい?おいしい?口コミや評価をチェック

ファンの多い「余市」ですが、口コミや評価を見ると「まずい」といった意見も。
評価が分かれる理由や、「まずい」と感じる理由について考察していきます。

まずいと評する人の意見

「余市」はまずい、と感じる人の意見を見てみましょう。

「余市」のクセの強い味わいや、ピート香が好みでなく、「まずい」と感じている意見が見られました。

また、「余市」人気によって価格が上がっていることから、「価格に見合わない」=「まずい」という意見もあります。

おいしいと評する人の意見

次に、「余市」がおいしいと思った人の声を見てみましょう。

「余市」の特徴であるスモーキーさ、重厚な味わいを評価する声が見られます。
香りや甘み、余韻のバランスの良さから「おいしい」と感じているようです。

Whiskeen編集部内での意見

Whiskeen編集部の現役バーテンダーも「余市」をすすめています。

モルトのコクとピートの香ばしさが調和した「余市」は、ジャパニーズウイスキーらしさを味わえる銘柄のひとつ。
一度は味わいたいシングルモルトです。

日本のウイスキーのおすすめ銘柄や選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。

最後に

日本のウイスキーの父・竹鶴政孝によって、本物のウイスキー造りを目指すために建てられた余市蒸溜所。

「余市」の名前を冠したシングルモルトは、本場スコットランドにも負けない力強さを持っています。

試行錯誤を重ねて造られる新しい銘柄もあり、ぜひ飲み比べてほしいウイスキーです。

  • この記事を書いた人

けい

Webライター/オンラインコーチングで活動中のノマドワーカー。海外旅行好きで旅行先のバーやレストラン巡りが趣味。ウイスキーは勉強中!ワイン、日本酒、ビールが好き。

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