ジャパニーズウイスキーの父と呼ばれ、「万年筆1本とノートで、我が国のウイスキー作りの秘密を盗んだ」と、元イギリス首相から称賛された男がいます。
2014年から2015年にNHKで放映された、朝の連続テレビ小説『マッサン』のモデルとなった、竹鶴政孝です。
彼が設立したニッカウヰスキー社では、本物のウイスキーを日本で作りたいという想いが今なお受け継がれています。
そこで今回は、ジャパニーズウイスキーの礎を築いたニッカウイスキーについて、会社の歴史やおすすめウイスキーについて解説します。
ニッカウヰスキー社はどんな会社?歴史をひも解く
ニッカウヰスキー社は竹鶴政孝が生み出し、日本人のみならず世界でも高い評価を得ているジャパニーズウイスキーを代表するメーカーです。
では、そんなニッカウヰスキー社にはどのような歴史が刻み込まれているのでしょうか。
歴史
スコットランドでウイスキーづくりを学び、寿屋(現サントリー)で国産ウイスキーの誕生に携わった竹鶴政孝は、1934年に大日本果汁株式会社を北海道余市に設立しました。
会社設立時には、余市の特産品であったリンゴを搾ったリンゴジュースを販売して経営資金に充てながら、ウイスキーの熟成を待ったと言われています。
竹鶴政孝はスコットランドの風土・気候に似た冷涼で湿潤な土地で本物のウイスキーを作りたいという情熱と信念があったことから、ウイスキーの製法にはスコットランドの製法を取り入れながら石炭直火蒸留を北海道余市で稼働させ、カフェ式連続蒸留を宮城県仙台市の宮城峡で行なっています。
石炭直火蒸留
ウイスキーの本場スコットランドでも珍しくなった伝統的な技法。
火力を一定の温度に保つよう、熟練の職人が手作業で石炭をくべ続け、燃えたかすを取り出し続ける。
カフェ式連続蒸留
1831年にアイルランド出身のイーニアス・コフィが実用化を開始。少ない時間で大量に蒸留ができるため、ウイスキーの安定した供給を実現できた。スコッチを世界に広げた一役を買った。
そして、1940年に待望の最初のウイスキー「ニッカウヰスキー」が誕生しました。
その後、1956年に「ブラックニッカ」、1962年には「スーパーニッカ」を、1984年に「ピュアモルト」1985年に「フロム・ザ・バレル」を次々と発売していきます。
受賞歴も多数
2007年ウイスキーの世界的コンペティション「WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)」では、ニッカウヰスキーが発売した「竹鶴21年ピュアモルト」がブレンデッドモルトウイスキー部門の世界最高賞を受賞しました。
WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)
2001年から2年に1回開催されていた「ベスト・オブ・ザ」を前身に、世界各国からウイスキーメーカーがエントリーし、各カテゴリーに最高賞を決めるコンペティション。
2007年より毎回開催されている。
また、2009年には、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で「竹鶴21年ピュアモルト」が最高賞「トロフィー」受賞。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)
イギリスで毎年行われている国際的なスピリッツ(蒸留酒のことを指します)の品評会のこと。
世界の著名なマスターブレンダーらによる審査が行われ、金賞・銀賞・銅賞などを決定します。そして、その最高賞である「トロフィー」は金賞の中から選ばれる。
全部で5部門があり、ウイスキー部門・ブランデー部門・ラム部門・ホワイトスピリッツ部門・リキュール部門がある。
つまり、2009年は前述のWWAでも最高賞を受賞し、Wで世界レベルでの最高評価および栄光を手にしています。
ニッカウヰスキーで取り扱うウイスキーの種類
ニッカウイスキーが日本で取り扱っているウイスキーは以下3種類です。
・モルトウイスキー
・グレーンウイスキー
・ブレンデッドウイスキー
詳しくご紹介します。
モルトウイスキーとは
モルト(大麦)のみを原料として、単式蒸留器で2回(もしくは3回)蒸留して造られるウイスキーです。
グレーンウイスキーとは
トウモロコシや小麦などの穀類を主な原料として、連続式蒸留機で蒸留して造られるウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーとは
モルトウイスキーとグレーンウイスキーなど、違うタイプのウイスキーをブレンドしたウイスキーです。
ニッカウイスキー14銘柄の紹介
竹鶴政孝が情熱を注いだニッカウイスキーには、さまざまな銘柄があります。
この項目では、編集部がおすすめするウイスキーを14種類ご紹介します。
・竹鶴ピュアモルト
・シングルモルト余市
・シングルモルト宮城峡、シングルモルト宮城峡 ピーテッド
・ニッカセッション
・ニッカカフェグレーン
・ニッカカフェモルト
・ブラックニッカクリア
・ブラックニッカリッチブレンド
・ブラックニッカ ディープブレンド
・THE NIKKA
・スーパーニッカ
・ハイニッカ
・フロムザバレル
・ニッカ伊達
見たことある銘柄や聞いたことある銘柄があるかもしれません。
詳しく見てみましょう。
竹鶴ピュアモルト
アルコール度数:43%
700mL:4,000円
竹鶴の名を冠した数量限定で発売したウイスキーです。
バニラのような甘くやわらかな香りと、りんごや杏のような果実を思わせる華やかな香りの調和が感じられます。
味わいは、ふくらみのあるモルトのコク、穏やかな樽香やピート香を伴うビターチョコのような甘くほろ苦い余韻が特徴です。
シングルモルト余市
アルコール度数:45%
700mL:4,200円
北海道余市は、ニッカウイスキー創始者である竹鶴政孝がウイスキー作りの理想の地として選んだ場所。
世界でも稀有な、石炭直火蒸溜の中で生まれたウイスキー原酒です。
重厚で力強く、複雑で深みのある味わいのシングルモルトウイスキーである「シングルモルト余市」はからは、やわらかな樽熟成香と麦芽の甘さ、豊かなオレンジの様な果実香の調和と力強いピートの味わいと香ばしさが感じられます。
また、穏やかに持続するオークの甘さとスモーキーな余韻が特長です。
シングルモルト宮城峡
アルコール度数:45%
700mL:4,200円
「シングルモルト宮城峡」は華やかでフルーティー、なめらかな味わいのシングルモルトウイスキーです。
りんごや洋梨を思わせる甘く華やかな香りと樽由来のやわらかなバニラ香が調和されています。
ドライフルーツのようなスイートさとなめらかな口当たり。モルトの甘みと樽香が優しく広がるやわらかな余韻が特徴です。
ニッカウイスキー創業者・竹鶴政孝が「余市」とは異なる個性を生み出す風土を求めて選んだのが杜の都と称される宮城県仙台市でした。
宮城峡蒸留所がこの地に建設された時、当時の宮城県知事から「仙台市青葉区ニッカ一番地」が贈られたという逸話も残っています。
アルコール度数:48%
700mL:20,000円
また、数量限定販売の「シングルモルト宮城峡 ピーテッド」もあります。
宮城峡モルトの特徴であるエレガントな華やかさはそのままに、ピートと調和した宮城峡モルトの芳醇な甘み、しっかりとしたボディ感が姿を現します。
ニッカセッション
アルコール度数:43%
700mL:3,800円
「ニッカセッション」は、華やかな香りが特徴のスコットランドのモルトとビターな余韻が特徴の日本のモルトが出会い、互いの個性を発揮しながら繰り広げる心地良い音楽のようなウイスキーです。
華やかな香りとモルトの香ばしさ、なめらかな口当たりとオークの甘さ。ビターを伴うピートの余韻が特徴的。
また、ウイスキーを使ったおつまみとしてウイスキーレーズンバターサンドは高い人気を得ていますので、チェックしてみてください。
ニッカカフェグレーン
アルコール度数:45%
700mL:6,000円
ウッディさと甘いバニラ香、チョコレートを思わせる甘い香りが調和した「ニッカカフェグレーン」。
蜂蜜のようななめらかな口当たり、軽快なボディと爽やかな味わい、すっきりとした後味が特徴です。
ニッカカフェモルト
アルコール度数:45%
700mL:6,000円
「ニッカカフェモルト」は、ニッカウヰスキーが保有する伝統的なカフェ式連続式蒸溜機で蒸溜された原酒のみでつくられたウイスキーです。
麦芽の甘さと芳ばしさ、ほのかなバニラの香りと軽快なモルト香が調和。軽やかな口当たり、ふわりと広がるクリーミーな甘さ、すっきりと爽やかな後味が特徴です。
「ニッカカフェモルト」および前述の「ニッカカフェグレーン」は、ニッカのカフェシリーズの中でも日本に先駆けてヨーロッパで発売されており、これまでにないニッカの新しいウイスキーとして欧州を中心に世界のウイスキーファンからも絶賛の声があるのだとか。
ブラックニッカクリア
アルコール度数:37%
300mL:470円
700mL:900円
1.8L:2,180円
ノンピートモルトを使用する事で、やわらかな香りとまろやかな味わいを実現したクセのないクリアな飲み心地のウイスキーです。
ノンピートとは?
ピートを使用せず乾燥させた、ピート由来のスモーキーフレイバーのない大麦麦芽のこと
ブラックニッカリッチブレンド
アルコール度数:40%
700mL:1,330円
2.7L:4,380円
シェリー樽で熟成を重ねたモルトウイスキーと、樽熟成したグレーンウイスキーを使用したブレンデッドウイスキーです。
甘くやわらかい樽の香りと、フルーティーで華やかな香りが広がります。
シェリー樽原酒をキーモルトとして、カフェグレーンを調和させた、スムースな口当たりと、飲みやすさの中にもコクがしっかりと感じられる味わいが特徴です。
ブラックニッカ ディープブレンド
アルコール度数:45%
180mL:480円
700mL 1,500円
「ブラックニッカ ディープブレンド」はふくらみのある豊かなコクと甘さ、心地良い樽の余韻が楽しめるウイスキーです。
新樽ならではのウッディな香りと、バニラを思わせる甘い香り。
そして、樽のコク深さと、濃密なモルトの甘さが深くとけあい、豊かで伸びのある味わいを実現しました。
ふくよかな味わいが感じられた後、心地良いピート香と樽のほろ苦くまろやかな余韻が口の中にゆっくりと広がります。
「ブラックニッカ ディープブレンド」はスイーツとの相性も良く、ニッカウヰスキー社の公式Twitterでもおすすめされています。
甘いものが好きなウイスキー好きの方はぜひ試してみてください。
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THE NIKKA
アルコール度数:45%
700mL:6,000円
熟成を重ねたバラエティ豊かな原酒を厳選してブレンドした、プレミアムブレンデッドウイスキー「THE NIKKA」。
豊かなモルト香と華やかな香りと甘い樽熟成香だけでなく、ふくらみのあるモルトのコクとカフェグレーンのやわらかな甘さが調和した、スムースで伸びのある味わいが特徴です。
香ばしく豊かな余韻が、ほのかなビター感を伴い、飲んだ後も心地よく続きますよ。
スーパーニッカ
アルコール度数:43%
50mL:320円
700mL:2,500円
竹鶴政孝の夢を傍で見守り、支え続けた妻・リタ。
リタの死後、政孝を深い悲しみから救い出したのは、リタと共に歩んできた本物のウイスキーづくりへの熱い想いでした。
「亡き妻に捧げるウイスキー」として生み出されたのが、「スーパーニッカ」です。
丸みを帯びたデザインもそんな優しさに包まれているように見えませんか?
カフェグレーンとのブレンドによるスムースな口当たりと、バランスの良いまろやかな味わいが特徴です。
華やかな香りと穏やかなピートの香りとウッディで甘い樽熟成香、そして絶妙な調和から生まれるほのかな味わいとコクが楽しめます。
ハイニッカ
アルコール度数:39%
720mL:1,200円
2級ウイスキーの時代から酒税法の限度一杯までモルトを使用し、カフェグレーンをブレンド。
やわらかなモルト香とカフェグレーンの香ばしく軽やかな香りが調和し、甘さとコク・ほのかなピートが感じられ、しっかりと伸びのある味わいです。
わずかに感じるビター感と、すっきりとしたキレの良い後味は、一度口にしたら忘れられないでしょう。
フロム・ザ・バレル
アルコール度数:51%
500mL:2,400円
「フロム・ザ・バレル」は、再貯蔵の後、割り水をせずにそのままボトルに詰められた、アルコール分51%の個性豊かなウイスキーです。
熟成されたモルトウイスキーとグレーンウイスキーはブレンドの後に再貯蔵(マリッジ)されることで、異なるウイスキー同士でも深く馴染み合います。
重厚な味わいとコク、豊かに広がる香りが特徴です。
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ニッカ伊達
アルコール度数:43%
700mL:3,500円
最後にご紹介する「ニッカ伊達」は、宮城県限定販売のこだわりのカフェモルトとカフェグレーンの特徴を活かしたブレンデッドウイスキーです。
心地良い樽熟成香とやわらかくモルティーな香り、バニラのような甘さとなめらかでクリーミーな味わいで、ピートのほどよい苦味が全体を引き締めます。
最後に
ニッカウイスキーの歴史からおすすめのウイスキーまでご紹介しました。
気になって飲んでみたいと思った銘柄は見つかりましたか?
飲むだけでなく、いろいろなおつまみとも相性がいいニッカウイスキー。
初めての方は「スーパーニッカ」や「ブラックニッカ」等、手に取りやすいものから試してみるのもいいかもしれませんね。
この記事をきっかけに、あなたの人生のひとコマに楽しいウイスキーライフを添えてみてください。