ライウイスキーは、バーボンと同じくアメリカンウイスキーの一種。
ライ麦が主な原料で、ほのかな苦味やスパイシーさとライ麦由来の香ばしさが感じられ、他のウイスキーとは違った味わいが楽しめます。
この記事ではライウイスキーの定義や歴史、おすすめの飲み方をご紹介します。
魅力たっぷりのライウイスキーを深く知れば、味わいたくなること間違いなしですよ。
この記事の監修者

大中 ヨシ
都内勤務のバーテンダー兼ウイスキー専門のwebライター。ウイスキープロフェッショナル資格所有。休日には蒸留所や温泉を巡っています。普段はジャパニーズやスコッチを愛飲。推し蒸留所はキルホーマンです。
ライウイスキーの定義と歴史
ライウイスキーの製法には定義があり、アメリカの連邦アルコール法に明記されています。
それをクリアしなければ、ライウイスキーと認められません。
また、ライウイスキーの歴史は古く、17世紀末にドイツ移民の手により造られました。
そして、現在に至るまでアメリカの人々に愛され続けています。
では、ライウイスキーの定義や歴史について詳しく解説していきましょう。
ライウイスキーの定義はアメリカの連邦アルコール法に明記されている
連邦アルコール法に明記されている定義は以下の通りです。
- 原料の51%以上がライ麦であること
- アルコール度数40〜80%で蒸留すること
- 内側を焦がしたオーク樽(新樽)で2年以上熟成させること
- アルコール度数40%以上でボトリングすること
これらの条件をクリアして造られたもののみ、ライウイスキーと名乗ることができます。
参考:https://www.ecfr.gov/current/title-27/chapter-I/subchapter-A/part-5
ライウイスキーの原料「ライ麦」とは
ライウイスキーの主原料となるライ麦。日本人にとってはあまり馴染みがないかもしれません。
ライ麦パンの原料というくらいの印象ではないでしょうか。
そんなライ麦ですが、ヨーロッパやアメリカで盛んに栽培されています。
小麦の栽培が難しい寒冷地や痩せた土壌でも育つということから重宝されている作物です。
ライ麦は栄養価が高く、小麦と比べるとカロリーが低いので、最近ではヘルシー志向の方に人気が出てきました。
ライウイスキーの特徴である苦味やスパイシーさ、香ばしさは主原料のライ麦由来のものです。
ライウイスキーとバーボンの違いは原料
バーボンもライウイスキーもアメリカンウイスキーの一種。
2つとも造り方自体はそこまで違いがありません。
しかし、バーボンはトウモロコシを、ライウイスキーはライ麦を、それぞれ51%以上使用して造られます。
これがバーボンとライウイスキーの大きな違いです。
この違いからバーボンはトウモロコシ由来の甘さと香ばしさを感じ、ライウイスキーはライ麦由来の苦味、スパイシーさを感じられるのです。
ライウイスキーの歴史
ライウイスキーは17世紀末にドイツ移民によって造られたと言われています。
その頃はまだ土壌不良の地だったアメリカ。
そんな土地でも育つライ麦でウイスキーを造ったのが始まりです。
最初は主にペンシルベニア州、メリーランド州、バージニア州で造られていました。
のちにほとんどがケンタッキー州で造られるようになります。
19世紀頃になるとアメリカンウイスキーと言えばライウイスキーというほど当時のアメリカの人達から支持を得ていました。
酒場に集まる荒くれ者たちや西部劇に出てくるようなカウボーイも、ライウイスキーを好んで飲んでいたようです。
しかし、ライ麦の価格高騰や禁酒法の発令などでライウイスキーは一気に下火となります。
禁酒法が解禁になってもその頃にはアメリカンウイスキーの主流はバーボンとなり、ライウイスキーの人気が戻ることはありませんでした。
不遇の時代が長かったライウイスキーも、近年では以下の理由から人気が爆発的に伸びています。
- ライ麦が健康食材として注目され始めたこと
- ウイスキーの需要が増えたこと
- ライウイスキーを使用するクラシックカクテルが再び脚光を浴びたこと
- 禁酒法以前の時代のカルチャーに対するリスペクト
以上の理由から、現在ではバーボンと肩を並べるアメリカンウイスキーとして復活しています。
ライウイスキーの選び方・飲み方
ライウイスキーは他のウイスキーにはない苦味や胡椒のようなスパイシーさ、香ばしさが感じられます。
口あたりがキリッとしているので、甘めのウイスキーが苦手という方でもおいしく飲めるのではないでしょうか。
ではさっそく、ライウイスキーのおすすめの飲み方を紹介しましょう。
熟成年数の長いライウイスキーはロックやストレートで
ライウイスキーは熟成期間が長いモノほど味わいが深くなり、口当たりもスムースになります。
これは他のウイスキーでも言えることですね。
熟成期間が長いライウイスキーはロックかストレートで本来の味を楽しむことをおすすめします。
また、スモールバッチ(少量生産)のライウイスキーも、ぜひロックかストレートで飲んでいただきたいです。
ライウイスキーのアルコール度数は40度以上。ハイボールにしてもおいしい
ロックやストレートで飲むのに抵抗がある方は、ぜひライウイスキーのソーダ割りを試してみてください。
ライウイスキーはハイボールにしても美味しいという優秀なウイスキー。
ライウイスキーのキリッとした感じが炭酸と絶妙に合います。
ほのかな苦味があるので、ビールのような感覚で飲めますよ。
ライウイスキーはカクテルの優秀な材料
ライウイスキーは他のお酒と合わせても能力を発揮するので、カクテルにも使われます。
さまざまなリキュールやスピリッツと合わせても不思議と相性が良いのでライウイスキーを使ったカクテルがたくさん作られてきました。
代表的なクラシックカクテルで言えば「マンハッタン」や「オールドファッションド」「サゼラック」「ハンター」などが有名ですね。
BARへ行かれた際は一度、注文してみてはいかがでしょうか。
ライウイスキーのおすすめ銘柄
ここからはWhiskeen編集部が吟味したライウイスキーのおすすめ銘柄をご紹介します。
見聞きしたことある銘柄から、初耳の方もいるかもしれない銘柄までご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ジムビーム ライ

アルコール度数 | 40.0% |
容量 | 700mL |
希望小売価格 | 1,670円(税別) |
「ジムビームライ」は安い価格帯で購入できるので、ライウイスキー入門としておすすめできます。
ライウイスキーのクセも優しめなので非常に飲みやすい点が特徴です。
ハイボールにして飲むことをおすすめします。
ジムビームについては 【だから選ばれる】バーボン界の王道銘柄「ジムビーム」の魅力を解説 で解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

ワイルドターキー ライ
アルコール度数 | 40.0% |
容量 | 700mL |
希望小売価格 | 4,000円(税別) |
「ワイルドターキー ライ」は4年以上の熟成した原酒を使用したライウイスキー。
甘さ控えめでキリッとした味わいが特徴です。
ロックやストレートでも美味しいですし、ハイボールにしても美味しくいただけるライウイスキーとなっています。
「ワイルドターキー」については 「ワイルドターキー」各銘柄を解説!おすすめの飲み方も という記事で解説しています。
併せてチェックしてみてください。

ノブクリーク ライ

アルコール度数 | 50.0% |
容量 | 750mL |
希望小売価格 | 4600円(税別) |
「ノブクリーク ライ」は禁酒法以前のライウイスキーを再現しています。
コクがしっかりあり、スパイシーさもガツンとくるライウイスキー。
スモールバッチなのでロックかストレートで飲むのがおすすめです。
ノブクリークについては クラフトバーボンウイスキー「ノブ クリーク」【その力強さにベタぼれ間違いなし】 で解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

サゼラック ライ
アルコール度数 | 45.0% |
容量 | 750mL |
希望小売価格 | 6,500円(税別) |
バッファロートレース蒸留所が作る「サゼラック ライ」。
そして、「サゼラック ライ」を使ったカクテル「サゼラック」は、クラシックカクテルとしてあまりにも有名です。
1800年代ニューオリンズのコーヒーハウスで生まれたカクテル「サゼラック」は、最も歴史のあるカクテルと言われています。
ストレートやロックで飲んでも、とてもスパイシーで美味しいライウイスキーです。
テンプルトン ライ
アルコール度数 | 40.0% |
容量 | 750mL |
価格 | 3,608円 ※2022年9月最新の価格をAmazonでチェック |
「テンプルトン ライ」はインディアナ州にある「MGP社」が造るライウイスキー。
2018年からはアイオワ州に新設した「テンプルトン・ライ蒸留所」で造られています。
禁酒法時代には悪名高きギャング、アル・カポネもどハマりしていたとか。
「テンプルトン ライ」は90%以上ライ麦を使用しているので、香ばしさが強くパンのような風味を感じられます。
また、他のライウイスキーよりも甘く感じるのも特徴です。
ストレートやロックで飲むと、ライ麦の旨味をダイレクトに感じられます。
まとめ
ライウイスキーは禁酒法以前のアメリカンウイスキーのスタンダード。
そんな時代に思いを馳せてライウイスキーを飲むのも良いかも知れませんね。
ほのかな苦味とスパイシーさ、香ばしさが感じられるウイスキーはライウイスキーしかありません。
みなさんもぜひ、ライウイスキーをお試しください。